展覧会

展覧会カタログ先攻販売&A-FACTORYの中の青森県立美術館

2011年11月13日

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展覧会カタログ先攻販売&A-FACTORYの中の青森県立美術館

11月12日より販売をスタートした、「今和次郎 採集講義」のカタログ!こんなにかっこよく仕上がりました!!!(写真左)こちらは、15日より全国の書店にて販売されますが、青森県立美術館ミュージアムショップでは、ただいま先行販売中☆展覧会をご覧になった方には、ぜひお手にとっていただきたいです!ついつい欲しくなってしまうこと間違いありません。今和次郎の研究者である先生方の論文や、今回この展覧会のための調査で発見された、青森に残されている、今和次郎設計の民家の資料など、資料性はもちろんのこと、ビジュアルブックとしても魅力ある一冊になりました!デザインは、当館VIを担当しております、菊地敦己氏!本当にかっこいい本!
ぜひみなさま、展覧会観覧後は、ミュージアムショップへおたちよりくださいね!

そして、先日11日(金)に開催された、恒例のイベントA-FACTORYの中の青森県立美術館「考現学 モデルノロヂオ」編のご報告。第二回目の今回は「考現学の現在」と題して、考現学が今に至るまで与え続けている影響についてお話いたしました。
今和次郎が「考現学」を提唱したのは1986年。それ以前にも、その素地となるようなグループが存在しました。1972年に創設された「日本生活学会」は、今和次郎が会長を勤めたこともある学会です。その趣旨文に、「われわれは生活の中で展開される人間の可能性に、かぎりなき信頼と愛情とをもちつづけたい。」という一文があります。これはまさに、今和次郎の生涯をとおしての活動にも通じるものではないでしょうか。1976年に設立された「現代風俗研究会」は、広く民間に開かれた学会として知られています。会員は、設定されたテーマをそれぞれ調べ、はがきに調査結果を書いて報告するというユニークな活動が注目を集めました。そうした70年代の流れがあって、1986年、「路上観察学会」が設立されます。(路上観察学会のメンバーである林丈二さんの資料展示も、常設展示内で開催していますよ〜)路上観察学会とはいえ、学会といえるような活動はしておらず、メンバーそれぞれが好きなことを調査し続けているグループです。「学会」という言葉自体、一種のパロディのように使われており、そのネーミングセンスからも感じ取れるように、彼らは、面白いと思ったことを真剣に遊びたおします。そこに路上観察学会のおもしろさ、醍醐味がひそんでいるのではないでしょうか。
そうした活動が、テレビ文化と交わり、自然と、マスメディアへも影響を及ぼしていきます。
ちょっと時代をさかのぼりますが、1962年新聞にとりあげられた今和次郎の調査活動を紹介。警察官の制服を、和服に変えることによって、人間の心理に、どのような影響を及ぼすか調べるものでした。これって…いまでいう「どっきり」の先駆けですよね。和次郎のやっていた活動が、マスメディアを通し、エンターテイメントとなると、今のテレビにそのままつながってくるのではないでしょうか。タモリがはじめた声帯模写、その後生まれるコロッケの物まねは、声帯模写から形態模写へ。今を生きる人に着目し、詳細に書き写す。これはまさに「考現学」的発想ですよね。さらにそのタモリは、日本坂道学会の副会長であったり、ブラタモリという番組があったりと、まさに「考現学」的な活動をしています。タモリをよく描いていた青森出身のナンシー関さんの活動も、「考現学」的ではないでしょうか。その人の特徴をひとことでとらえた消しゴム版画は、まさに有名人の標本のようでした。
今では気がつくことさえ困難なくらい当り前になっていることが、実は、「考現学」が起こらなければ存在しなかったかもしれないということに、本当にびっくりです!知らず知らずのうちに私たちは様々な影響を受けているのですね。

このように、我々の生活の様々な面に影響を及ぼした今和次郎の初の大規模な回顧展である「今和次郎 採集講義」!ぜひお見逃しなきよう!!!!

そして、次回のA-FACTORYの中の青森県立美術館は、ワークショップになります。ぜひお時間ある方は、今和次郎的視点で、青森を観察してみませんか?お申し込み方法や、詳細はこちらをご覧ください。