AOMORI GOKAN アートフェス 2024 後期コレクション展
今回のコレクション展は前期に引き続き、AOMORI GOKAN アートフェス 2024の青森県立美術館の企画、「かさなりとまじわり」の一環として開催します。
今回は、青森市出身の写真家・小島一郎の2009年以来、2度目の回顧展として開催する「生誕100年・没後60年 小島一郎 リターンズ」を中心に、今年3月31日の棟方志功記念館での展示終了後、青森県立美術館の展示スペースを拡張し、記念館との連携のもと行う最初の展示、「際々無限-つづいていく棟方志功」、シャガールの舞台背景画「アレコ」4点、奈良美智の今年度新規寄託作品などを展示します。本県出身の作家をはじめとするコレクションがおりなす「かさなりとまじわり」をお楽しみください。
開催概要
会期
2024年7月6日(土)~9月29日(日)
休館日
毎月第2・第4月曜(この日が祝日の場合はその翌日)
会場
地下1階および地下2階展示室F,G
観覧料
一般900(700)円、高大生500(400)円、小中学生100(80)円
※AOMORI GOKAN アートフェス 2024との連動にともない、企画展「かさなりとまじわり」もご覧いただけます。
※( )内は20名以上の団体料金。また9月1日までAOMORI GOKAN アートフェス 2024公式ガイドブック特典「スタンプラリー&パスポート」割引料金
※ 心身に障がいのある方と付添者1名は無料
出品作家
マルク・シャガール/奈良美智/棟方志功/小島一郎
※今回のコレクション展では、上記以外の作家の作品は展示しておりません。
展示内容
地下1階展示室|コレクション展内特別展示「生誕100年・没後60年 小島一郎 リターンズ Kojima Ichiro Returns
1924(大正13)年青森市に生まれ、昭和30年代の津軽や下北を歩き、郷土に生きる人々への深い共感を印象的なモノクロームの世界に焼きつけた写真家・小島一郎(1924-1964)。今年は小島の生誕100年、没後60年にあたる節目の年です。青森県立美術館では、2009年の大規模な個展「小島一郎 北を撮る」以来15年ぶりに、2度目の回顧展を開催いたします。
展示の詳細はこちら
棟方志功展示室|際々無限-つづいていく棟方志功 Interminable Investigation by Munakata Shiko 企画・展示構成:一般財団法人棟方志功記念館
「一柵ずつ、一生の間、生涯の道標を一ツずつ、そこへ置いていく。作品に念願をかけておいていく、柵を打っていく。そういうことで「柵」というのを使っているのです。この柵はどこまでも、どこまでもつづいて行くことでしょう。際々無限に」(棟方志功『板極道』1964)
2024年3月31日、青森市松原で長く市民や観光客に親しまれてきた棟方志功記念館は49年間続いた展示に幕を下ろしました。
開館の2か月前に、陳列作品は自分で選びたいと言っていた棟方が亡くなったため、ほとんどコレクションがないところから出発した記念館は、県や市をはじめ、棟方志功を愛する多くの人々から作品を借りてなんとか開館にこぎつけました。その後は作品収集につとめ、着実にコレクションを増やし、2012年に鎌倉の棟方板画館と合併したことにより、今やそのコレクションは国内最多を誇っています。
青森県立美術館における棟方志功作品の常設展示は、展示室内で唯一作家名を冠した棟方志功展示室を中心に、2006年の開館当初より県立美術館と棟方志功記念館が協力して構成してきました。松原の棟方志功記念館での展示が終了したのちも、運営を行っていた一般財団法人棟方志功記念館は存続していますので、所蔵している全作品および資料の保管場所を県立美術館内へと移すことで、両者の緊密な連携のもと、より一層充実したコレクション群からの展示が可能になります。
棟方志功展示スペースをこれまでの 2 倍以上に拡張し、棟方志功記念館と県立美術館による新たな棟方志功常設展示の出発となる今回は、記念館のコレクションを中心に、代表作《二菩薩釈迦十大弟子》をはじめ、棟方が独自の表現を切り開くまでの初期の版画や油絵、幅約 13mと棟方最大の板画《大世界の柵・坤》、故郷青森を思い描いた作品や、倭画の傑作、雄渾な書のほか、板木や写真など、新発見・未公開を含む豊富な資料を展示し、棟方志功の広大な世界の一端を紹介いたします。
棟方が際々無限にどこまでもつづいていくことを願った作品が、時を超え、場所を変えていつまでも愛され続けることを願って、これからも棟方志功記念館の活動はつづいていきます。
展示室F,G|奈良美智 NARA Yoshitomo
国内外で活躍する青森県出身の美術作家・奈良美智は、孤独に佇む鋭い眼差しの子どもの絵画やどこか哀しげな犬の立体作品で、国や世代を超えて多くの人々の心を捉えてきました。青森県立美術館では、開館前の1998年から奈良の作品を収集し始め、現在、その数は170点を超えます。
今春からは、絵画やドローイング、陶器など、作家からの寄託作品24点があらたに加わりました。これらはすべて2023年秋から24年冬にかけて当館で開催された作家の個展「奈良美智: The Beginning Place ここから」の出品作です。同展で初公開されためずらしい初期のドローイング《天使の家》(1987)から、近年の展開を知ることができる絵画作品《Invisible Vision》(2019)や大規模な立体作品《Ennui Head》(2022)まで、当館コレクションとあわせて、30年以上にわたる奈良美智の豊かな創造の歩みを展観します。
通年展示 アレコホール| マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台背景画
青森県立美術館の中心には、縦・横21m、高さ19m、四層吹き抜けの大空間が設けられています。アレコホールと呼ばれるこの大きなホールには、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール(1887-1985) によるバレエ「アレコ」の背景画が展示されています。
青森県は1994年に、全4点から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。残る第3幕の背景画は、アメリカのフィラデルフィア美術館に収蔵されていますが、現在同館から借用し、4点すべてを青森県立美術館でご覧いただくことができます。
これらの背景画は、帝政ロシア( 現ベラルーシ) のユダヤ人の家庭に生まれたシャガールが、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため亡命していたアメリカで、「バレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)」からの依頼で制作したものです。
大画面の中に「色彩の魔術師」と呼ばれるシャガールの本領が遺憾無く発揮された舞台美術の傑作です。
★フィラデルフィア美術館所蔵の第3幕は、長期の借用となるため、函館税関からアレコホールを保税展示場とする許可をいただいて展示しています。 アレコホールへのご入場には、コレクション展もしくは企画展の入場チケットが必要です。