A-FACTORYの中の青森県立美術館「考現学 モデルノロヂオ」最終回!

2011年11月19日

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A-FACTORYの中の青森県立美術館「考現学 モデルノロヂオ」最終回!

昨日、ご好評いただいておりました、A-FACTORYの中の青森県立美術館「考現学 モデルノロヂオ」が最終回を迎えました。第1回、第2回と、トークショーを開催してきましたが、最後はワークショップ。「今和次郎 採集講義」のポスターやちらしで、メインイメージとして使われている、「東京銀座風俗記録」を真似て、「青森駅前風俗記録」をすることに!小さなメモ帳とペンを持って、大衆にまみれ、怪しまれないように注意しながらの調査開始!
それぞれいろんな場所にばらけて、「靴」や、「コートの長さ」、「駅前のドトールに来た人の持ち物」、「出張中と思われる男性の服装」、「市場周辺の人の上着の様子」…などなど。みなさんそれぞれ興味あることを調査!!
やってみて気がついたのは、まずは、調査がいかに難しいかということ。
調査員は、やはり行き交う人々の様子をとらえるため、きょろきょろとしてしまい、どうしても怪しまれる。さらに、すれ違った人全てをとらえるのには、ものすごくスピードを要するため、あらかじめ調べる項目を表にしたりしながら調査しなければ、とてもではないけれど目で追えなくなるということ。
そして調べて行くと、調べていたことの側にあること、例えば、「上着」を調査していたのだけれど、「かばんの持ち方」に特徴があるような気がしてきて、それも調べたくなる。そうやって気にしながら見ていると、その「かばんの持ち方」や「かばんの形状、素材」によって、その後この人がどのように町で買い物をするのか…などなど、いろんな事が想像されていきます。ぜんぜん関係の無い人たちなのに、どうしても、愛情を持ってみてしまう。そうか!今和次郎や林丈二さんの資料から、人間愛が感じられるのは、このように調査して、いろんなことを想像することによって、自然と発生してしまうことなのか!!ということに気がつきました。
観察することで生まれる、感情移入や他者を思いやるきもち。これはなんだかいろんなことを考えさせられる現象でした。目の前にある物事に、じっくり向き合い観察する、そういう姿勢が、もしかしたら今の私たちに、もっとも必要なことなのかもしれません…。

そして、調査が終わって、「調査報告会」では、「鞄も何も持っていない軽装の男性は、絶対にコンビニで、スポーツ新聞を買う」とか「出張中とおもわれる男性の服装の基本は、コートの前を開けて、ネクタイを見せる」とか、「基本的に女性の方が着込んでいる。」「軽装の男性は、絶対に野球帽をかぶっていて、どうやらその人の特徴と、スポーツ新聞を買う人の特徴が一致する!」などなど、短時間にも関わらず、そこにいる人たちのいろんな特徴を発見することができました。これ、1年くらい続けたら、本当に面白いのではないか…と、教育普及スタッフ内で、このワークショップの定例化を検討するほど!

このように実際に今和次郎達がしていたような調査をしてみなければ、気がつくことができなかったことばかり。今和次郎の仕事は、現代の我々にも、たくさんいろいろなことを残してくれたんだと改めて思います。

そんな「今和次郎 採集講義」は、12月11日まで!まだの方はお急ぎください!!
そして、関連企画の「林丈二 採集放屁」も12月11日まで。こちらも併せてどうぞ。

あ、そうそう、この日のおやつは、A-FACTORY内のスキップエッグさんの「いちじくタルト」と「ホットコーヒー」。調査の後の冷えた体にしみわたしました〜。(写真右)