「今和次郎 採集講義」関連:A-FACTORYの中の青森県立美術館

2011年11月5日

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「今和次郎 採集講義」関連:A-FACTORYの中の青森県立美術館

昨日、夜7時より、青森駅近くの、A-FACTORYにて開催された、A-FACTORYの中の青森県立美術館「考現学 モデルノロヂオ」編の様子をお届けいたします!
あ、ちなみに、このイベント、(ほぼ)毎月開催されているフライデー・アートナイトの番外編で開催されています。フライデー・アートナイトは、金曜日の閉館後に行われるイベントで、お仕事帰りや、デートでおこしいただけたら…♡と、今年から始まった企画。静かな美術館のなかで、ゆっくり学芸員のレクチャーを受けられ、さらにはコーヒーとちょっとしたお菓子がサービスで付くというスペシャルな企画。
その番外編でおおくりしている「A-FACTORYの中の青森県立美術館」も、同じような趣旨で開催しております。美術館を飛び出して、夜の時間に、ちょっとアートに触れてもらう機会を…♡と、A-FACTORYさんの主催でお届けしております。会場おとなりの、「ガレッテリア ダ サッスィーノ」のおいしいお料理(毎回違ってとてもおいしそう!写真左が今回のお料理!)と、ドリンク付きで、素敵なひとときを☆それでは昨日から始まった「考現学 モデルノロヂオ」編のレポートを少し…。(twitterでもレポートしておりましたので、よろしければそちらもご覧ください!)

今和次郎の活動は多岐にわたっています。農村調査に始まり、建築、デザイン、服飾研究、家政学…。そして、みなさんご存知の通り、「バラック装飾社」の活動から生まれた「考現学」があります。「考現学」は大変インパクトのある学問で、ご存知の方も多いかと思いますが、それ以外の活動は、なかなか知られていません。それも、一見ぱっと見ただけだと、本当に地味な活動だったから。例えば建築を見てみましょう。ただの普通の民家です。しかし今和次郎の一連の活動を通して観ることによって、そこに、今和次郎の考え方が凝縮されていることに、気がつきます。建築家(制作者)の個性を主張するための建物(作品)ではなく、そこに今住み、それを利用する人(鑑賞者)の生活の実情(視点)から、建築(物事)を考えて行く、つまり、内側からデザインされた建築に、今和次郎の大きな特徴があります。だから、外から眺めるだけだと、普通の家にしか見えないのです。
今和次郎は、農村調査、民家調査を経て、関東大震災で何もかもが一瞬で失われてしまった光景を目の当たりにします。漠然と、ずっと続くと信じられて来た、普通の暮らし、普通の風景が、あっという間に失われたのです。それを機に、「今」こそが大変重要なのだという発想にいきついた今和次郎は、「考現学」を提唱するに至ります。それは当時、とっても新しい発想で、実は我々にも多大な影響を与え続けています。。。

その影響についてを次回またA-FACTORYにてトークいたしますので、お時間のある方はぜひ☆

以上非常に簡単ではありますが、レポートをさせていただいた通り、今和次郎の残した資料は、その資料が発する意味を、受け身で待っているのでは、面白さはわからないかもしれません。今和次郎の資料に、ぐっと近寄り、その中に飛び込むかのようにご覧頂きたいと思います。和次郎の残した、新しい視点、とても魅力的なドローイング、そこに添えられた粋な文章、それら全て、そして活動の全てを一望していただくことで、これからの我々が考えなければいけないこと、やらなければいけないことのヒントが浮かび上がってくるのではないでしょうか。