平成19年度 青森県立美術館常設展特別展示 「村上善男の軌跡」

2007年5月19日(土) ━ 6月24日(日)

コレクション展 終了
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平成19年度 青森県立美術館常設展特別展示 「村上善男の軌跡」

平成19年度 青森県立美術館常設展特別展示 「村上善男の軌跡」

東北の地に根をはり、東北の風土と一貫して向き合い続けた美術家村上善男 (1933 – 2006) 。
1950年代後半から活動を開始し、1960年代には注射針を画面に無数貼り付けた作品、さらには計測器具、新聞、各種統計図等にあらわれる数字を構成した作品で高い評価を得た村上は、1970年代に入って気象図や貨車をモチーフにした作品へと展開し、1982年以降は弘前市を拠点に活動を続け、古文書を裏返して貼り込んだ上から、あたかも釘を打つように白い点を描き、点と点とを結ぶ「釘打ち」シリーズを数多く手がけていきました。時代を追うごとにその画業は大きく展開しましたが、緻密な計算による画面構成と抑制の効いた色彩を持つ理知的な作風が、村上芸術の一貫した特徴と言えましょう。
本展では、そうした村上の仕事を美術館のコレクションを中心に振り返るとともに、デザインや文筆の仕事、さらには師である岡本太郎や、マルセル・デュシャン、ジャスパー・ジョーンズといった海外作家の作品など、村上が長年にわたって収集を続けたコレクション約30点を一堂に公開いたします。
形式的な伝統主義を越え、東北の磁場を自己に引きつけつつ、北の風土が持つ「根源性」、「普遍性」の探求を続けた村上の作品群をとおし、芸術と風土の豊かな関係性について想いをめぐらせていただければ幸いです。

村上善男(むらかみ・よしお)略歴

村上善男(むらかみ・よしお)略歴

岩手県盛岡市生まれ。岩手大学学芸部卒業。1953 (昭和28) 年に二科展で初入選し、以後1961 (昭和36) 年まで出品を続ける。1960 (昭和35) 年、第4回シェル美術賞受賞。同年には吉仲太造、馬場彬らと共に「集団α」を結成した。1960年代の注射針を用いた作品から、70年代の気象図や貨車をモチーフにした作品を経て、80年代から釘打ちをモチーフにした作品へと展開した。
1982 (昭和57) 年から弘前大学で教鞭をとり、後進の育成にも力を注いだ。
2006 (平成18) 年5月死去

開催概要

会期

2007年5月19日 (土) – 6月24日 (日)

休館日

5月28日 (月)、6月11日 (月)

開館時間

5月19日 – 5月31日 9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
6月1日 – 6月24日 9:00 – 18:00 (入館は17:30まで)

観覧料

常設展示料金にてご覧いただけます。
一般:500円 (400円)
高大生 300円 (240円)
小中生 100円 (80円)

※( )内は20名以上の団体料金

名称

平成19年度常設展特別展示 「村上善男の軌跡」

会場

青森県立美術館企画展示室

主催

青森県立美術館

展示内容

展覧会の見所

1 東北に根をはった美術家、村上善男50年の軌跡を紹介

「今、自分の生活する場所を唯一の精神の根拠とし、そこに、イメージを熟成させ、発想する。」 (『浮遊して北に澄む』、創風社、2001年) と語った村上善男の豊かな芸術世界を紹介する展覧会です。
青森県立美術館の収蔵品を中心とする計28点の優品によって、1950年代のデビュー期から晩年の2000年代に至る村上善男の活動の軌跡を振り返ります。

「作品 '65-X」 1965年

村上善男「津軽圏、弘前、品川町胸肩神社前線釘打圖」
1996年 ミクストメディア
227.3×181.8cm

2 絶筆の公開

村上家のご協力により、2006年1月に制作され絶筆となった作品も展示します。

 

3 村上善男コレクションの初公開

影響を受けた作家、交流のあった19作家、26点に及ぶ村上善男コレクションもあわせて展示。平成14年度に作家から一括して寄贈を受けた作品で、すべて初公開となります。

 

4 関連資料もあわせて展示

美術家であると同時に、文筆家、装丁家、デザイナーなどマルチに活動した村上善男の仕事の全体像を伝えうる資料を展示いたします。自著、装丁を手がけた書籍、デザインした展覧会ポスターなど、村上の好んだデザインの方向性が読み取れる資料群です。

「村上善男コレクション」出品作家データ

・荒川修作 (あらかわ・しゅうさく) 1936 – 愛知県出身
・粟津潔 (あわづ・きよし) 1929 – 東京都出身
・アルマン Arman 1928 – 2005 フランス出身
・アントニ・タピエス Antoni Tapies 1923 – スペイン出身
・アネグレット・ソルトー Annegret Soltau 1946 – ドイツ出身
・一原有徳 (いちはら・ありのり) 1910 – 徳島県出身
・猪熊弦一郎 (いのくま・げんいちろう) 1902 – 1993 香川県出身
・岡本信治郎 (おかもと・しんじろう) 1933 – 東京都出身
・岡本太郎 (おかもと・たろう) 1911 – 1996 神奈川県出身
・ジャスパー・ジョーンズ Jasper Johns 1930 – アメリカ出身
・菅井汲 (すがい・くみ) 1919 – 1996 兵庫県出身
・野田哲也 (のだ・てつや) 1940 – 熊本県出身
・ハンス・ベルメール Hans Bellmer 1902 – 1975 ポーランド出身
・フリードリッヒ・メクセペル Friedrich Meckseper 1936 – ドイツ出身
・ホアン・ヘノヴェス Juan Genove’s 1930 – スペイン・バレンシア出身
・堀内正和 (ほりうち・まさかず) 1911 – 2001 京都府出身
・前田常作 (まえだ・じょうさく) 1926 – 富山県出身
・マルセル・デュシャン Marcel Duchamp 1887 – 1968 フランス出身
・メル・ラモス Mel Ramos 1935 – アメリカ出身

関連企画

アート入門:「村上善男の軌跡展について」

特別展示中の作品を中心に、村上善男の画業の展開を紹介します。
日時:6月13日 (水) 14:00 – 15:00
詳細は普及プログラムのページをご覧下さい。