描く人、安彦良和
『機動戦士ガンダム』キャラクターデザイナー兼アニメーションディレクター、『ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオン』『巨神ゴーグ』等を手がけるアニメ監督として著名であり、『王道の狗』『乾と巽-ザバイカル戦記-』といった数々の歴史物語の編み手でもある安彦良和の作品の魅力を存分に味わえる回顧展です。初公開を含むアニメ制作時の貴重な資料、端正美麗なカラーイラスト、漫画原稿など1,000点以上の作品資料をもとに約50年にわたる創作仕事の数々を紹介します。大学生だった安彦が学生運動に参加し、その思想を育むことになった「原点」の地である青森にて、圧倒的な画力や緻密な時代考証、独自の歴史認識にもとづくクリエーションの軌跡をたどること。それは戦後日本社会と私たちの来し方行く末を想う機会ともなることでしょう。
©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ ©創通・サンライズ©サンライズ ©安彦良和・THMS ©東北新社

1947年、北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれる。66年に弘前大学入学、学生運動をけん引したことから退学となり、上京。79年『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインとアニメーションディレクターを担当。83年に映画『クラッシャージョウ』で初監督。テレビアニメでは、83年放送の『巨神ゴーグ』で原作、監督を務める。一方、79年には『アリオン』で漫画家としてデビュー。89年以降は漫画に専念し、『ナムジ-大國主-』『虹色のトロツキー』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』などを発表。今年3月より集英社週刊ヤングジャンプにおいて、新連載『銀色の路ー半田銀山異聞ー』(ぎんいろのみちーはんだやまいぶんー)を短期集中連載として開始する。
お知らせ
開催概要
会期
2025年4月19日(土)-6月29日(日)
休館日
4月28日(月)、5月12日(月)、5月26日(月)、6月9日(月)、6月23日(月)
開館時間
9:30-17:00(展示室への入場は16:30まで)
★5月24日(土)は20:00まで開館(展示室への入場は19:30まで)
主催
安彦良和展青森実行委員会(青森県立美術館、東奥日報社、青森放送、青森県観光国際交流機構)
企画制作
毎日新聞社、MBSテレビ
企画協力
PONTOON
協力
アニメ特撮アーカイブ機構、潮出版社、NHK出版、科学映像館を支える会、Gakken、KADOKAWA、九月社、講談社、スタジオぬえ、創通、中央公論新社、東映、東北新社、バンダイナムコフィルムワークス、文藝春秋
特別協力
国立大学法人弘前大学
後援
デーリー東北新聞社、陸奥新報社、青森ケーブルテレビ、エフエム青森
チケット販売
一般1,700(1,500)円
大学生1,000(800)円
18歳以下および高校生無料
※( )は20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
※前売券、Webチケット等の販売はございません。
割引セット券(安彦良和展+コレクション展2025-1)
一般2,000円
大学生1,100円
18歳以下および高校生無料
※セット券に団体割引はございません。また、他の割引との併用はできません。
展示内容
展示構成
6章 安彦良和の現在(いま)
本展導入として、SFや歴史、神話をとおして「人間」を自由闊達に描く安彦の現在地を紹介します。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や最新のアニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』 、2024年に完結した長編漫画 『乾と巽-ザバイカル戦記-』などから、今なお第一線で活躍する安彦が社会に向けたメッセージを読み解きます。
※青森会場においては展示構成上の意図により、6章からご覧いただきます。

『乾と巽-ザバイカル戦記-』第1話より 漫画原稿 2018年
©安彦良和/講談社
1章 北海道に生まれて
安彦良和は、幼い頃から絵を描くのが大好きな少年でした。中学時代のイラスト入りの学習ノート、大学時代に描いた漫画などから、「描く人」の原点を探ります。

『遙かなるタホ河の流れ』上巻より
2章 動きを描く
『宇宙戦艦ヤマト』で一躍注目を集めた安彦は、様々な作品で生き生きとしたキャラクターを描きました。 花形アニメーターとして活躍した時代を振り返ります。

『無敵超人ザンボット3』ザンボット3 武装 ザンボット・ブロー 決定稿
©創通・サンライズ

『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』ポスター原案
©東北新社/著作総監修 西崎彰司
3章 カリスマ・アニメーターの誕生
社会現象を巻き起こした人気作『機動戦士ガンダム』で安彦が果たした役割を、貴重な資料や迫力あるイラスト原画によって紹介します。

『機動戦士ガンダム』(劇場版)宣伝ポスター用イラスト原画 1981 年
©創通・サンライズ

『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙(そら)編』(シャアとアムロの決闘) 原画 ©創通・サンライズ
4章 アニメーターとして、 漫画家として
監督を務めたアニメ『クラッシャージョウ』『ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオン』『巨神ゴーグ』『ヴイナス戦記』のほか、漫画デビュー作 『アリオン』、そして小説挿絵や自ら著した小説、実現しなかった企画まで、旺盛な創作意欲で駆け抜けた80年代を通覧します。

『クラッシャージョウ』『ジ・アニメ』1983年2月号表紙イラスト原画
©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ

『ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオン』宣伝ポスター用イラスト原画 1986 年
©安彦良和・THMS
5章 歴史を描く
古代出雲を舞台とした『ナムジ-大國主-』『神武』、日本近代の戦争を描いた『虹色のトロツキー』『王道の狗』『天の血脈』、キリスト教を主題とした『ジャンヌ』『イエス』など、ライフワークともいえる歴史漫画の数々を紹介します。

『王道の狗』最終話「孤影」より 漫画原稿 2000 年