奈良美智: The Beginning Place ここから
青森県立美術館は、国際的に活躍する美術家・奈良美智(なら・よしとも)の個展を開催いたします。
奈良美智は1959(昭和34)年、青森県弘前市に生まれました。愛知県立芸術大学で本格的に絵画を学び1987年に同大学大学院修士課程を修了すると、翌年にはドイツに渡り、国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学びながら制作を続けます。2000年に帰国してからは、国際的な評価へとつながる大規模な個展の数々を、国内はもとより欧米やアジア各地で開催しています。約40年に及ぶその歩みから生み出された、孤独にたたずむ鋭い眼差しの子どもの絵画やどこか哀しげな犬の立体作品は、国や世代を超えて多くの人々の心を捉えてきました。
本展は、前回の「君や 僕に ちょっと似ている」展(2012-13)から約10年ぶりの当館での個展となります。東日本大震災以後の奈良は、自らがよって立つ地盤を確かめるように、たびたび過去に意識を向けています。自分史に関わる土地に旅をしたり、旧作を新たな眼差しで捉え直したりなど、過去との出会いを通じて奈良は「自分の時間軸に一本の幹を見つけ」ようとしています。本展では、感性の起源(はじまりの場所)へと至る「一本の幹」を探り当てるべく設けられた5つのテーマの中で、近年の作品と共に学生時代にまでさかのぼる秀作の数々を展観いたします。
タイトルの「The Beginning Place」とは、奈良の創造の「はじまりの場所」としての「故郷」を示唆すると同時に、奈良の作品との出会いが生み出す「はじまりの場所」を意味します。過去と現在を行き来するように旧作と近作が織りなす展示空間から、美術館の外に続く作家の郷里の風景へと、この展覧会を通じた体験が、訪れる人にとって、希望をはらんだ何かしらの「はじまりの場所」となることを願ってやみません。
ArtworkⒸYoshitomo Nara
PhotoⒸRyoichi Kawajiri
お知らせ
開催概要
会期
2023年 10月14日(土) – 2024年2月25日(日)
休館日
10月23日(月)、11月13日(月)、27日(月)、12月11日(月)、25日(月) – 2024年1月1日(月・元日)、9日(火)、22日(月)、2月13日(火)
開館時間
9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
★10月21日(土)、11月18日(土)、12月9日(土)、2024年1月20日(土)、2月17日(土)はナイトミュージアムにつき20:00まで開館(入館は19:30まで)
主催
奈良美智展2023実行委員会(青森県立美術館、東奥日報社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、青森県観光国際交流機構)
企画協力
一般財団法人奈良美智財団
学術協力
蔵屋美香(横浜美術館館長)
チケット販売
観覧料
※心身に障がいがある方と付添者1名は無料
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リンゴ箱のプレミアムチケット【完売しました】
(2024年2月11日追記:本チケットは完売しました)
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リンゴ箱の廃材を利用した板に奈良作品の絵がプリントされたチケットです。プレゼントにも最適です。
このチケットは、実際に使用されていたりんご箱の廃材を再利用してつくられています。元の木材の風合いや、使用当時の板面の汚れ、チョーク・釘の痕、木材の節などをそのまま生かした作りとなっていますので、この点をご了承の上ご購入いただきますようお願いします。
展示内容
展示構成
1. 家
奈良作品にしばしば現れる「家」のモチーフの意味を初期作品の変遷をたどりながら考えます。
《Merry-Go-Round》 1987年、アクリル絵具・キャンバス、130.3×130.3cm、個人蔵 ©Yoshitomo Nara
※このセクションに展示されている2点の作品は下記のとおり展示替えがあります。
【展示期間: 2023年10月14日-12月24日】
Dream Time, 1988年、アクリル絵具、色鉛筆・キャンバス、116.7×9
Drawings, 1988年、アクリル絵具、色鉛筆、鉛筆、ペン、スタンプ・紙、
【展示期間: 2024年1月2日-2月25日】
Romantic Catastrophe, 1988年、アクリル絵具、色鉛筆・キャンバス、116.7×9
Untitled, 1988年、アクリル絵具、色鉛筆・紙、85×99cm、個人蔵(豊田市美術館寄託)
2. 積層の時空
近年の絵画作品やドローイング等を通じて奈良作品におけるレイヤー(積層)の重要性を浮き彫りにします。
《Hazy Humid Day》 2021年、アクリル絵具・キャンバス、220×195cm、作家蔵 ©Yoshitomo Nara
3. 旅
近年の感性の起源を求める旅から生まれた多様な表現(写真、陶芸等)を紹介します。
《サハリン》2014年、写真、作家蔵 ©Yoshitomo Nara
4. NO WAR
「反戦」のテーマと音楽との関係性や社会に浸透する奈良作品の力について考えます。
《No Nukes》1998年、アクリル絵具、色鉛筆・紙、36×22.5cm、長瀬雅之蔵 ©Yoshitomo Nara
5. ロック喫茶「33 1/3」と小さな共同体
高校時代に通い詰めたロック喫茶の店舗を再現し、奈良の創造の「はじまりの場所」の風景について考えます。
ロック喫茶「33 1/3」(弘前市)の前の奈良美智(右)と友人たち、1977年