プレスリリース

「詩・季・彩 ―石井康治 四季を詩う彩りのガラス」について

2022年3月3日

SHARE

「詩・季・彩 ―石井康治 四季を詩う彩りのガラス」について

青森の自然に魅せられ、北国の光と風が織りなす四季を彩り豊かなガラス作品にうつし取り、ガラス工芸に新たな息吹を吹き込んだ作家、石井康治(いしい・こうじ 1946-1996)の初の本格的な回顧展を開催します。

千葉県に生まれた石井は1971年に東京芸術大学工芸科を卒業し、ガラス壜を製造する東洋ガラス株式会社に就職して製品デザインを担当する一方、自身でもガラス作品の制作を始め、77年からは退社して創作活動に専念します。
制作の場を求めて訪れた青森で、四季のうつろいと共に自然がみせる豊かな色彩と鮮やかな変化に魅了され、1991年には、青森市郊外の三内丸山に念願のアトリエ「石井グラススタジオ青森工房」を開設。青森の四季折々の美しい表情を作品にとどめようと探求を重ね、「彩烈文(さいれつもん)」、「汎状文(はんじょうもん)」、「環象文(かんしょうもん)」、「彩花文(さいかもん)」、「彩硝文(さいしょうもん)」など、独創的な文様技法を次々と考案していきます。
1995年には、自身の創作における一つの到達点と自負する「樹映(じゅえい)」シリーズが生まれますが、翌96年の11月、青森で急逝します。

「色ガラスを用いて自分のイメージを詩のような感じで作りたい」―石井はこう語り、創作のテーマを「詩・季・彩」(し・き・さい)という言葉で表していました。生命の息吹と共に華やぐ春、爽やかな初夏から鮮烈な夏、秋の燦めく彩り、そして冬の雪がみせる様々な表象。残された作品は、今も彼の愛した青森の四季を謳う一編の詩のように私たちに語りかけてきます。

本展では、青森を制作の地に選び、その自然風土を、鮮やかで繊細な色彩と流麗で端正な造形による作品へと昇華させた石井の創作活動の軌跡を紹介します。

展覧会の詳細ページへ