プレスリリース

「富野由悠季の世界」展の開催について

2021年2月3日

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「富野由悠季の世界」展の開催について

富野由悠季の世界:ロボットアニメの変革者
~ガンダム、イデオン、ダンバインからGのレコンギスタまで

The World of TOMINO Yoshiyuki : An Innovator of Robot Anime
–Gundam, Ideon, Dunbine, Reconguista in G, and more

展覧会「富野由悠季の世界」によせて
「概念の展示」は不可能なのだが…   

 
この展覧会の企画について、美術館の学芸員の方々からご提案をいただいたときには、嬉しかった反面、「展示するものなどはないのだからやめたほうがいい」と何度も伝えました。「演出」という仕事は、感覚的な仕事であると同時に、たいへん観念的な作業で、「概念(考え方)を示すことができる仕事」なのです。つまり、この一行半を展示で説明することはできないのです。しかし、美術館の学芸員の方々は、みなさん方がとても熱心で、ぼくの言うことを聞いてくれませんでした。(笑)
そして、彼らと話し合いをするうちに、「トミノは巨大ロボットを動かすだけではないという部分を記録してみたい」と思うようになりました。
それで、子供のころから学生時代までの記録を見直してみて、記憶の通りでありながらも、結局は、当時ただひとつ好きだった連載漫画『鉄腕アトム』に引っ張られながらも、アメリカのSF映画群から「映画的なるもの」に触発され、好きでもなかったアニメの世界に入ってしまったのです。しかも手塚治虫主宰のプロダクションに就職したのですから、たいへん幅の狭い道でした。
しかし、中高時代は漫画離れをして、ペン画や短編小説を試作し、大学時代は学生運動というほどのものではないにしても世間を覗くことができて、その結果、テレビ漫画『鉄腕アトム』の演出の仕事にはいり、それから、初監督作品『海のトリトン』から始まって、出世作となった『機動戦士ガンダム』を経て、『Gのレコンギスタ』まで55年間。
仕事を成立させるために、先に思い(観念的なこと)を吐き出してしまい、そのあと付けを考えるということを繰り返してきました。それは基礎学力のない情けないキャリアで辟易するのですが、しかしながら、「アニメは映画だ」というコンセプトだけは振り回してきたつもりです。
そのことは何なのだ!?
その説明はとても不可能なのですが、「映画というのはただ動く絵の陳列ではないんだよ」ということを知っていただきたい、もっと素敵で強固な媒体なのだ、ということを想像していただきたいのです。そのために、今回のような形で恥を晒してみせましたので、映像作家を目指す諸君には、ここから独自の道筋をお考えいただければ、と心から願うのです。

富野由悠季

Tomino Yoshiyuki
撮影 / 鈴木 心

富野由悠季(とみの よしゆき)

1941年11月5日、神奈川県小田原市生まれ。1964年、日本大学芸術学部映像学科卒業。同年に虫プロダクションへ入社、アニメの制作現場に入る。1967年に虫プロ退社後はフリーとして様々なアニメ作品の制作に参加。1972年の『海のトリトン』で初監督。1977年に設立された日本サンライズ(現サンライズ)の初オリジナル作品『無敵超人ザンボット3』で総監督をつとめる。以降、サンライズを拠点として、空前の大ブームを巻き起こした『機動戦士ガンダム』(1979年)などのガンダムシリーズや、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『聖戦士ダンバイン』(1983年)など多くの話題作を手がけていく。現在、2014年に放映された『Gのレコンギスタ』に新作カットを追加、映像を再編集した劇場版『Gのレコンギスタ』(全5部作)が順次公開されている。また小説家、作詞家としても活躍。作詞家としては「井荻麟」(いおぎ・りん)、絵コンテマンとしては「斧谷 稔」(よきたに みのる)というペンネームを用いている。2019年、文化庁長官表彰。

青森展の見どころ

※本展は福岡市美術館、兵庫県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館、富山県美術館、青森県立美術館の6館の共同企画として2019年夏より全国巡回してきましたが、今回の青森会場はその最終会場となります。一般的な企画展よりもスペースを拡張し、青森県立美術館の個性的な空間いっぱいに富野ワールドが広がります。

  1. 2020年に放送40周年を迎えた『伝説巨神イデオン』の展示コーナーを拡充いたします。富野監督の作劇、演出のアイデアが詰め込まれた「イデオンノート」の重要箇所を一挙に公開します。
  2. 2019年12月に逝去した世界的インダストリアルデザイナーであるシド・ミードの功績を顕彰するため、『∀ガンダム』のためにデザインしたモビルスーツのスケッチをパネル展示します。さらに∀ガンダムとターンXは高さ5mという巨大サイズでそのデザインの魅力をお伝えします。
  3. 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したモビルスーツ「リ・ガズィ」のダミーバルーンを原寸大の胸像として再現します。モビルスーツの大きさが体感できる展示です。
  4. 人気声優、有名モデラーの模型作品を多数展示いたします。
  5. 展示の最後に「エンディング」のコーナーが追加されます。果たして何が展示されるのか…、誰も知らないラスト!

会期:2021年3月6日(土)~5月9日(日) 
休館日:3月22日(月)、4月12日(月)、4月26日(月)
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)

観覧料:一般1,500円(1,300円)、高大生1,000円(800円)、小中学生以下無料 
※( )はWEBチケット料金(WEBチケットについては、下記の企画HPをご覧ください。)
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料 
※コレクション展料金は含まれません

企画HPアドレス
http://www.aomori-museum.jp/ja/event/92/

プレスリリース詳細はこちらをご覧ください。