青森県立美術館ドラマリーディングクラブ定期公演「仰臥漫録」(抄)

2019年6月8日(土) ━ 6月8日(土)

演劇 終了
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青森県立美術館ドラマリーディングクラブ定期公演「仰臥漫録」(抄)

青森県立美術館ドラマリーディングクラブ定期公演「仰臥漫録」(抄)

原作 正岡子規 『仰臥漫録』
脚本・構成・演出・選曲 長谷川孝治(青森県立美術館舞台芸術総監督)

 

俳人、正岡子規の『仰臥漫録(ぎょうがまんろく)』を原作とした公演です。同作品は、子規の死の直前1年間の、日々の食事や体調、俳句を綴った生活記録です。「仰臥」とは仰向けのこと。寝返りも打てないほど重い病の床にあった子規は、何を食べ、何を思い、どんな句を読んだのか―。
ドラマリーディングクラブ員の朗読に合わせて、映像や音響、照明が変化する、臨場感あふれる演出をお楽しみください。

開催概要

日時

2019年6月8日(土) 開演15:00 開場・受付開始14:30

会場

青森県立美術館シアター(全席自由)

※受付場所は美術館1階シアター前となります。
※受付順のご入場となります。

料金

一般  1,000円
大学生・60歳以上  500円

出演

金恵美子 田中昌子 㑹津悦子 小野寺圭子 福田寿枝 菊地泰子 今ゆき子
(以上、青森県立美術館ドラマリーディングクラブ)
新井和之(ゲスト出演 演劇「津軽」太宰治役)

無料託児サービス

※美術館内にて開場から終演までの間、託児サービスを行います。
5月31日(金)までに事務局へお申し込みください。
※1歳から小学3年生までのお子様が対象です。

公演当日のご注意

※待合所として、コミュニティホールをご利用いただけます。
※シアター内でのご飲食はご遠慮ください。
※受付場所は美術館1階シアター前となります。
※受付順のご入場となります。

チケット販売

チケットは、下記プレイガイドでのチケット販売の他、事務局予約も受付いたします。

 

■チケット販売プレイガイド(公演前日まで)

青森市:成田本店しんまち店 / 青森県立美術館ミュージアムショップ
弘前市:ヒロロ
八戸市:ラピア
五所川原市:ELMインフォメーション


■事務局チケット予約/小・中・高校生無料ご招待!

事務局あての電話・FAX・Eメールのいずれかの方法にて、前売チケットのご予約を受付いたします。
また、小学4~6年生・中学生・高校生の皆さまを先着60名様まで無料招待いたします。電話・FAX・Eメールにて以下項目を事務局までお伝えください。

(1)ご希望の券種・鑑賞人数
(2)
ご予約者(代表者)氏名
(3)
ご予約確認のため代表者のご連絡先(電話番号/FAXEメールアドレスのいずれか)
(4)
ご招待者の氏名・学校名・学年(学生招待お申し込みの方のみ)

※ご予約受付は、6月7日(金)17時まで。
※公演当日受付にてご精算となります。
※ご予約で満席となった場合は、当日券の販売はございません。
※お申込の氏名・連絡先等の個人情報は厳重に管理し、本公演以外の目的では使用いたしません。


【予約受付先】

青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会事務局
電話:017-783-5243(平日9:0017:00)  FAX017-783-5244
Eメール:drama@aomori-museum.jp

展示内容

演出家からメッセージ

生きるということと言葉と格闘するということ

はじめて『仰臥漫録』を読んだ衝撃をわたしはまだ忘れない。
喰って糞して寝る。喰って糞して寝る。そのプリミティブな行為がこれでもか、これでもかと出てくる。
死ぬか、生きのびるか。我が身に明日はあるかないか。言葉が出てくる場所はどこか。
なべて、詩人は冥土に属していて、言葉はおそらく詩人が生まれる前からあって、詩人は冥土と「ここ」を行き来して言葉を紡ぐ。ひとつの作品を書くとは、少しの間死んでいることなのであるから。
朝起きる、台所に立って朝食の準備をする。火を起こし、鍋をかけ、炊飯器からご飯をよそう。そして、孤食だったり家族食だったりする食卓から離れて茶碗や皿や箸を洗い、お茶を喫する。昼、ある者は弁当を広げ、またある者は台所で蕎麦や索麺を茹でてたぐる。それから又器を洗って、それを拭きながら夕飯の献立を考える。晩、家族が帰ってきたり、相変わらず孤独に料理をこさえて食す。そしてまた食器を洗い、翌日の下ごしらえや買い物をして、眠る。
そんな淡々とした、平凡な暮らしは嫌だ。あたしもしくはオレはもっと別で変化に富んだ一生を送りたい。ただ、台所と寝床をいったりきたりする生活は生きる事じゃない。そう思う人もいる。それは間違ってはいない、しかし、間違ってはいないが原則的ではない。
うろ覚えだが、太宰治の長兄である津島文治氏に「めし」と題するエッセイがあって、その中で氏は「めし、このめしを噛みしめること、それが生きることだとわたしは思う」と書いていて深く感じ入ったこともあった。
『仰臥漫録』には食魔のような子規と、詩人の子規がいる。生きることはすなわち言葉を探すこと(自分を探すことに等しい)である詩人が、食欲と死を発見欲と生に昇華する瞬間がある。その刹那に出る一句のなんと美しいことか。
連綿と出てくる食物記録は、言葉渉猟の助走である。
淡々として平々凡々たる生活は、だから退屈だが貴重なのだ。だから原則だがスプリングボードなのだ。
コンビニエントでコストパフォーマンスがいいことが生きる目標になってしまっている現在。便利でもなくお得でもない『仰臥漫録』は貴重である。
そして、生き抜く悲惨も生きている幸福もある。さらには人間にとって必然である死ぬことに関しての大なる参考書でもあるのだ。

脚本・構成・演出・選曲 長谷川孝治(青森県立美術館舞台芸術総監督)

関連ファイル