青森県日韓演劇交流事業「青森の雨」

2008年8月30日(土) ━ 9月24日(水)

演劇 終了
SHARE

青森県日韓演劇交流事業「青森の雨」

舞台は青森から函館までのフェリー待合室。外は嵐。
それぞれの理由から出港を待っている4家族。実は、彼らは様々な家族の問題を抱えている・・・。
嵐の中で、時折現れる過去の人々やエピソード。
彼らや彼らの心は、様々な出会いによって変化していく・・・。

作・演出:박근형 (パク・グニョン)
翻訳:石川樹里
プロデューサー:長谷川孝治 (青森県立美術館舞台芸術総監督)
キャスト:
木村くに 秋山由美子 長尾秋人 田邉克彦 柴山大樹 福士賢治 小笠原真理子 濵野有希
이규회 (イ・ギュフェ) 김영필 (キム・ヨンピル) 박민규 (パク・ミンギュ) 고수희 (コ・スヒ) 김주완 (キム・ジュワン) 주인영 (チュ・イニョン)

박근형 (パク・グニョン)

박근형 (パク・グニョン)

1963年ソウル生まれ。劇作家・演出家。劇団コルモッキル代表。2004年より、ソウル芸術大学にて教鞭をとる。1999年「劇団コルモッキル」を旗揚げし、その年に制作した『青春礼讃』で韓国内の演劇賞である演劇協会 新人演出家賞、作品賞や、文化観光部・韓国演劇協会選定「最優秀公演ベスト5」(作品賞、演出賞)、韓国評論家協会「今年の演劇」(最優秀作品賞)、今日の若き芸術家賞 (文化観光部長官賞)、百想芸術大賞 (戯曲賞)、東亜演劇賞 (作品賞、戯曲賞) などを受賞。その後も多くの作品で数々の演劇賞を受賞するなど、韓国で現在もっとも注目される劇作家・演出家の一人である。

開催概要

会場・公演日程(青森公演)

2008年8月30日 (土) 14:00開演 (13:30受付開始・開場)
2008年8月30日 (土) 19:00開演 (18:30受付開始・開場)
2008年8月31日 (日) 14:00開演 (13:30受付開始・開場)
会場:青森県立美術館シアター

※夜公演終演後、青森駅行きの有料シャトルバス (300円) をご用意します。事務局までお問い合わせ下さい。

会場・公演日程(東京公演)

2008年9月6日 (土) 14:00開演 (13:30受付開始・開場)
2008年9月6日 (土) 19:00開演 (18:30受付開始・開場)
2008年9月7日 (日) 14:00開演 (13:30受付開始・開場)
会場:ザ・スズナリ (東京・下北沢)

会場・公演日程(ソウル公演)

2008年9月23日 (火・祝)・24日 (水)
会場:Small hall of ARKO Art Theatre

※ソウルの詳細情報は、実行委員会事務局までお問い合わせ下さい。

チケット料金

青森公演
一般ペア3,600円 (当日4,000円)
一般2,000円 (当日2,500円)
学生1,000円 (当日1,500円)

「青春礼讃」とのセット券 3,000円 (※青森公演のみ)
※青森県日韓演劇交流プレ事業「青春礼讃 (劇団コルモッキル公演) 」と、「青森の雨」2本をご覧いただけるセット券です。
※セット券の販売期間:8月8日まで。 (前売のみ取扱)

 

「青森の雨」のチケットをお持ちのお客様
青森県立美術館主催の企画展、常設展のチケットを割引価格 (団体料金と同額) でお買い求め頂けます。
※販売は「青森の雨」開催日のみに限ります

 

青森県立美術館主催の企画展・常設展のチケットをお持ちのお客様
「青森の雨」の当日券を割引料金 (一般100円、学生60円引き) でお買い求め頂けます。
※当日券の販売がある時のみに限ります。

 

メンバーシッププログラム会員割引
青森県立美術館メンバーシップ会員は、ご予約を割引料金にて承ります。(一人100円引き)
※当日券のご予約は受け付けられませんのでご注意下さい。

 

東京公演
一般ペア5,000円 (当日5,500円)
一般3,000円 (当日3,200円)
学生1,500円 (当日1,800円)

各種サービス

託児サービス
各公演の開場から終演までの間、お子様1人につき200円で託児サービスを行います。ご希望の方は、8月27日 (水) までに事務局へお申し込み下さい。

 

カフェ「4匹の猫」臨時営業のお知らせ
各公演日に限り、17:00 – 19:00 (ラストオーダー18:30)ま で、美術館のカフェが臨時営業いたします。パスタ類を中心とした軽食、デザート、ドリンクがお楽しみ頂けます。どうぞ、ご利用下さい。

主催・助成

主催:青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会/青森県立美術館
後援:在日本大韓民国民団青森県地方本部/大韓航空青森支店
助成:財団法人地域創造/財団法人むつ小川原地域・産業振興財団

お問い合わせ

〒028-0021 青森市安田字近野185
青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会事務局
Tel 017-783-5243
Fax 017-783-5244

チケット販売

青森公演

ローソンチケット (Lコード28240)、紀伊國屋書店、弘前大学生協、日弘楽器、サンロード青森さくら野青森店、成田本店しんまち店、青森演劇鑑賞協会、県庁生協、青森県民生協、三春屋、長崎屋八戸店、青森県立美術館ミュージアムショップ、チケットぴあ (Pコード388-616)

※チケットぴあのみ、7月12日からの発売です。

東京公演

ローソンチケット (Lコード 37484)、チケットぴあ (Pコード 388-617)

※7月12日からの発売です。

予約受付

青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会事務局
Tel 017-783-5243 Fax 017-783-5244
E-mail nikkan2008@aomori-museum.jp

※Eメールは、お手数ですが件名を「○月○日青森の雨予約」として下さい。

作品内容

「いかにして私は朴恨亨とわかり合い、 未だわかり合えていないか」

プロデューサー青森県立美術館舞台芸術総監督 長谷川孝治
人が他人と完全な意味で理解し合えることはあるだろうか。国家と国家がそれまでのいきさつコミで理解し合えることは果たして可能だろうか。
2006年2月。ソウルは雪と氷に閉じこめられていた。ソウル大学路 (テハンノー) の片隅にある飲み屋で、私は初めて朴恨亨 (パク・グニョン) と出会った。「右手で握手、左手でドツキ合い」が歴史が教えるところであり、私とて子どもではない。日本が韓国に対して行った愚挙のことを「それはわれわれの爺様の世代のことだから」という態度は取れなかった。歴史とは過去のどこかに「ある」のではなくて、現在の「ここ」にいつでもある。
ドブロクはでっかい薬罐で出てくる。朴さんも私も酒が嫌いな方では決してないので、注がれれば飲むし相手の杯が空になれば注ぎ足す。そして、どちらも料理には手をつけないでケムリが好きである。単純ではあるが、これだけの共通点を初対面で持ち得たことは僥倖であった。
「誰か悪いヤツがいる」
「うん」
「被害にあったヤツがいる」
「うん」
「被害者は、オレは被害者だって様々に言うけど、加害者はわざわざオレが加害者だって言わない」
「しかり」
「でも、被害者にだって悪いヤツはいる」
朴さんは随分考えてからそう言った。被害者と加害者という関係を対話の土台にすることはやめようと朴さんは提案し、それから私たちは演劇の深い所へ降りていった。
5月。私は朴さんの勤めるソウル芸術大学で特別講義をさせて貰った。相手は朴さんが教える劇作家コースの学生である。
「演劇は人間を考えるために人類に不可欠なツールです」という言葉を最初にもってきた私は、その真摯な学生達の視線に人間に対する興味と信頼を感じた。無関心であることと寛大であることは違う。そして、無関心であることは実は最大の侮辱でもあるのだ。
朴さんの劇団コルモッキルとは路地裏を意味するが、朴さんはテハンノー近辺のすべての路地裏とそこにある劇場のすべての埃を知っている。そして、私の知る限り朴さんには儒教的な狭隘さはなく礼儀正しさだけがある。
韓国内にいるときはすべての勘定を朴さんが持ち、日本国内にいるときにはすべての飲み代を私が払う。分かり易くて簡単でよろしい。
そのようにして私たちはお互いの芝居を見て、お互いの俳優たちを引き合わせた。俳優には俳優の流儀があって、彼らはそれぞれのやり方で他者を理解したはずだ。
しかし、朴さんも私も「私」というものがどこからやってきたのかがわからない。肉体は両親が作ってくれたが、「私」までは作ってくれなかった。このやっかいな「私」というものを考えている私とは一体なんだ。
私は演劇の究極の目的は「私」というものに肉迫することだと思っている。それができるならば、政治的な違いなどどうでもいいとさえ思っている。少なくとも芸術はそのためにある。
「わかる」とは、それまでわからなかったことを自分の物語の中に取り込むことだ。他者を私は永遠にわかることは残念ながらない。ならば、その物語をお互いが「私」の中に取り込めばいいだろう。それが今のところの私の結論である。
私は昨年『ソウルの雨』で日本と韓国のメタファーを長台詞に込めた。それしか私には朴さんたちを理解したと錯覚する術はなかったのだ。
さて、『青森の雨』である。朴さんがどうやって韓国と日本をつなげるのか、今回はプロデューサーの立場からじっくりと見せていただく。そして、深く関わらせていただく。私にもわからない「私」というのが一個在って、朴さんあなたならその「私」をどう理解しているのか、ものすごく興味があるのだ。

朴さんが興味を持っている寺山修司なら「私」のことをたぶんこう言うだろう。「私?そんなものはどこにもない。と同時に世界中に散らばって在る」・・・