常設展(6月15日~9月1日)

2013年6月15日(土) ━ 9月1日(日)

コレクション展 終了
SHARE

常設展(6月15日~9月1日)

青森県美+弘前市博コレクション「北国の彩り」ほか

花々が一斉に咲き誇る春から新緑が芽吹く初夏、そして生命が輝く夏。地上を厚く覆う白い雪が解け、長い冬が去った後、北国の季節は足早に訪れ、時を惜しむように天と地は強い光と色彩で溢れていきます。
本展では、「光」と「色彩」をキーワードとして、青森の風土を創作の原点として独自の美を創造した作家たちを特集展示します。

開催概要

会期

2013年6月15日~9月1日

展示内容

展示室H | 企画展「種差 -よみがえれ 浜の記憶」関連企画

豊島弘尚:鮫港大潮風巻(さめのみなとは しおしまく)
「北方」の風景や光に着想した「精神の風景画」を一貫して描き続けている豊島弘尚。青森県上北郡横浜町に生まれ、田名部(現むつ市)や八戸で育った豊島の作品には、下北という半島や鮫、種差の海辺など北の大地で培った原記憶が内包されています。今回の展示ではそうした豊島の「八戸」をモチーフにした作品を特集。美術館のコレクションに加え、2012年5月の個展(始弘画廊)で発表された新作を紹介します。

豊島弘尚「墓獅子舞B」
1968年
キャンバス・油彩

展示室IJK | 特集 北国の彩り1 佐野ぬい:回想のハーフタイム

弘前に生まれた佐野ぬい。雪国に育った少女は、やがて色彩豊かな作品を描く画家となります。特に青色を愛し、「青の画家」と呼ばれるようになりました。
今回の展示では、県立美術館と弘前市立博物館のコレクションから、青をはじめとする色彩に注目しつつ、半世紀を超えた創作の歩みを振り返ります。洗練された色彩とリズムが織りなす佐野ぬいの世界が、県立美術館の大きな白い展示室の空間に広がっていきます。

佐野ぬい「回想のハーフタイム」
1994年
キャンバス・油彩

展示室LMN | 特集 北国の彩り2 石井康治:樹映

青森の自然に魅せられた石井康治は、現在、県立美術館が建つ場所に間近い青森市三内にアトリエを構え、四季折々の光と風をガラス作品にうつし取っていきました。熱したガラスを中空の棹に巻き取り、息を吹き込んで膨らませ、色彩を溶着させて最終的なかたちをつくる。石井の作品は、吹きガラスならではの色彩とフォルムが生み出す流麗な造形美を湛えるとともに、青森の自然を愛した作家の想いを映した詩情をただよわせ、観る者を惹きつけてやみません。
今回は、寄託作品と昨年度寄贈をうけた作品から、初夏から夏をテーマにした作品を中心に紹介します。

樹映-夏の景
石井康治「樹映-夏の景」
1995年
ガラス、宙吹き(寄託作品)
撮影:大堀一彦

棟方志功展示室 | 棟方の富士-日本の美を描く

日本一の山、富士山は古来多くの人々を魅了し、絵の画題にも取り上げられてきました。棟方も板画、倭画、油絵といくつもの富士を描いています。なかでも草野心平の「富士山」の詩を彫り込んだ板画の連作は旅行先のアメリカで制作したものであり、大小様々に描かれた富士に異国の地から馳せる想いが込められています。
色とりどりに描かれた富士山のほか、仏像からインスピレーションを得て制作した《二菩薩釈迦十大弟子》、いろは文字に四季折々の草花の紋様を彫り込んだ《いろは板画柵》など、棟方が板画で表現した日本の美を紹介します。

展示室F | 奈良美智 インスタレーション

国内外で活躍する青森県出身の美術作家・奈良美智(1959- )は、挑むような目つきの女の子の絵や、ユーモラスでありながらどこか哀しげな犬の立体作品などで、これまで若い世代を中心に、多くの人の心をとらえてきました。
青森県立美術館では、開館前の1998年から、絵画やドローイングなど、奈良美智作品の収集を始めました。現在、160点を超えるそのコレクションの多くは、1988年から2000年まで、奈良が滞在したドイツで制作されたものです。
この展示室では、創作ユニット・grafとのコラボレーションにより、2006年に制作した小屋の作品の一つ、《ニュー・ソウルハウス》を中心に、当館のコレクションや作家からの寄託作品を展示しています。

アレコホール | マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の背景画

青森県は1994年に、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール (1887-1985) が制作した全4幕から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。
ユダヤ人のシャガールは1941年、ナチの迫害から逃れるためにアメリカへ亡命します。バレエ「アレコ」の舞台美術は、画家がこの新大陸の地で手がけた初の大仕事でした。
1942年に初演をむかえたバレエ「アレコ」の振付を担当したのは、ロシア人ダンサーで、バレエ・リュスで活躍したレオニード・マシーン。音楽には、ピョートル・チャイコフスキーによるイ短調ピアノ三重奏曲をオーケストラ用に編曲したものが用いられ、ストーリーはアレクサンドル・プーシキンの叙情詩『ジプシー』を原作としていました。
シャガールは祖国ロシアの文化の粋を結集したこの企画に夢中になり、たくましい想像力と類いまれな色彩感覚によって、魅力あふれる舞台に仕上げたのです。