常設展(2014年6月14日-9月7日) 寺山修司×宇野亜喜良:ひとりぼっちのあなたに ほか

2014年6月14日(土) ━ 9月7日(日)

コレクション展 終了
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常設展(2014年6月14日-9月7日) 寺山修司×宇野亜喜良:ひとりぼっちのあなたに ほか

開催概要

会期

2014年6月14日-9月7日

展示内容

展示室H|寺山修司×宇野亜喜良:ひとりぼっちのあなたに

本展は、これまでの寺山修司(1935-1983)と宇野亜喜良(1934- )の仕事を紹介するものです。
寺山修司没後30年であった昨年、寺山修司記念館のある青森県三沢市の「三沢まつり」に宇野デザインのテラヤマ山車が登場し、観客の話題を独占しました。1965年に発刊されたフォアレディース・シリーズ、宇野がアートディレクションを手がけ、その第一回目が寺山修司詩文集『ひとりぼっちのあなたに』だったことから出会った2人。
その後、宇野亜喜良は、寺山が戯曲を提供した劇団人間座『アダムとイブ-わが犯罪学』(1966年)、劇団人形の家『人魚姫』(1967年)、さらに寺山修司が主宰した演劇実験室・天井棧敷の『新宿版千一夜物語』(1968年)、『星の王子さま』(1968年)、『毛皮のマリー海外公演』(1969年)などの演劇ポスターや舞台美術を手がけます。1969年には『毛皮のマリー』のドイツ人俳優による上演の美術監督のため、寺山とドイツのエッセンに渡独。また、寺山の生前に出版された、宇野の装幀による寺山著作本は47冊にも上ります。寺山修司没後も復刻される書籍の装幀を多数手がけ、近年も寺山作の演劇の構成・美術・衣裳など、寺山演劇作品に積極的に取り組んでいます。
今回は、宇野装幀による寺山の生前の著作本、『寺山修司抒情シリーズ(フォアレディース・シリーズ)』表紙・イラストレーションの原画、美術的評価も高い演劇実験室・天井棧敷を始めとする演劇関連のポスター、チラシ、パンフレット、舞台美術プラン、そしてテラヤマ山車の原画などを展示します。
宇野亜喜良の耽美で華麗な世界「アキラックス・ワールド」と、寺山修司の言葉「テラヤマ・ワールド」が融合し、創造された作品世界をお楽しみいただきたいと思います。

寺山修司
『ひとりぼっちのあなたに(For Ladies)』(新書館)
(アートディレクション:宇野亜喜良)
1965年
ポスターハリス・カンパニー蔵

演劇実験室・天井桟敷 公演『星の王子さま』ポスター
(宣伝美術:宇野亜喜良)
1968年
青森県立美術館蔵

宇野亜喜良
感傷的な四つの恋の物語『ひとりぼっちのあなたに(For Ladies)』原画
1965年
刈谷市美術館蔵

寺山修司 TERAYAMA Shuji(1935-1983)
1935年、青森県弘前市に生まれる。早稲田大学教育学部国語国文学科中退。詩人、劇作家、演出家、映画監督。青森高校時代から俳句雑誌『牧羊神』を創刊編集する。1957年、21才で第一作品集『われに五月を』刊行。ラジオドラマやテレビシナリオなども書く。1967年、演劇実験室・天井棧敷を旗揚げ。1971年、第一長編映画『書を捨てよ、町へ出よう』(サンレモ映画祭グランプリ)。1972年、ミュンヘンオリンピック芸術展示に招かれ、野外劇『走れメロス』を上演。1974年、長編映画『田園に死す』をカンヌ映画祭コンペティションに正式出品。1978年から天井棧敷公演『奴婢訓』を欧米で公演し、高い評価を受ける。1979年、『マルドロールの歌』でフランス・リール国際短編映画祭で国際批評家大賞。1983年死去。

 

宇野亜喜良 UNO Akira(1934- )
1934 年、愛知県名古屋市に生まれる。名古屋市立工芸高校図案科卒業。カルピス食品工業、日本デザインセンター、スタジオ・イルフイルを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞、日本絵本賞等を受賞。1999 年、紫綬褒章受章。2010 年、旭日小綬章受章。主な作品に『宇野亜喜良60 年代ポスター集』『サロメ』『少女からの手紙』『奥の横道』『MONO AQUIRAX +』、 絵本に『あのこ』(今江祥智・文)『白猫亭』『上海異人娼館』(寺山修司・原作)、詩画集『ami』等多数。展覧会のキュレーションや舞台美術等も手掛ける。

 

企画協力:テラヤマ・ワールド
協力:刈谷市美術館、三沢市寺山修司記念館

展示室G|棟方志功 棟方のヴィーナス

棟方志功(1903-1975)の描く人物像の大半は神仏、そして女人図でした。
「裸體(ハダカ)の、マッパダカの顔の額の上に丸い星をつければ、もう立派な佛様になって仕舞うんだから、ありがたく、恭(かたじ)けない」と棟方は語り、神仏でありながらなまめかしく、女性でありながら菩薩のような微笑をたたえた、神仏とも人間ともつかぬ人物像を数多く描きました。
1959年に初めて海外を訪れてからは、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」はじめルーブル美術館で見たサモトラケのニケ像など、海外の女神をモチーフにした作品も制作しています。女性を神仏のように神秘的な存在と崇める一方、力強い健康的な美を棟方は好み、生命力あふれるたくましい姿の女性像を描いています。
1955年頃より、美人大首絵も数多く手がけました。ふくよかな顔に大きな切れ長の目と小さな口、赤い頬、そして額には星をつけた、棟方独特の大首絵には、慈愛あふれる母のイメージも投影されています。
棟方が描いた華やかなヴィーナス(美の女神)たちをご覧ください。

展示室F|奈良美智 インスタレーション『A to Z Memorial Dogマスター型』『ニュー・ソウルハウス』

国内外で活躍する青森県出身の美術作家・奈良美智(1959 – )は、挑むような目つきの女の子の絵や、ユーモラスでありながらどこか哀しげな犬の立体作品などで、これまで若い世代を中心に、多くの人の心をとらえてきました。
青森県立美術館では、開館前の1998年から、絵画やドローイングなど、奈良美智作品の収集を始めました。現在、160点を超えるそのコレクションの多くは、1988年から2000年まで、奈良が滞在したドイツで制作されたものです。
この展示室では、創作ユニット・grafとのコラボレーションにより、2006年に制作した小屋の作品の一つ、《ニュー・ソウルハウス》を中心に、当館のコレクションや作家からの寄託作品を展示しています。

アレコホール|マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の背景画

青森県は1994年に、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール (1887-1985) が制作した全4幕から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。
ユダヤ人のシャガールは1941年、ナチの迫害から逃れるためにアメリカへ亡命します。バレエ「アレコ」の舞台美術は、画家がこの新大陸の地で手がけた初の大仕事でした。
1942年に初演をむかえたバレエ「アレコ」の振付を担当したのは、ロシア人ダンサーで、バレエ・リュスで活躍したレオニード・マシーン。音楽には、ピョートル・チャイコフスキーによるイ短調ピアノ三重奏曲をオーケストラ用に編曲したものが用いられ、ストーリーはアレクサンドル・プーシキンの叙情詩『ジプシー』を原作としていました。
シャガールは祖国ロシアの文化の粋を結集したこの企画に夢中になり、たくましい想像力と類いまれな色彩感覚によって、魅力あふれる舞台に仕上げたのです。