『寺山修司 劇場美術館:1935~2008』併設開催:「土方巽と日本のアヴァンギャルド」
寺山修司 (弘前市出身/1935-83) は県立青森高等学校時代、「俳句」によって表現活動をはじめ、早稲田大学進学後は「短歌」の世界へ、その後凄まじいスピードでラジオ、テレビ、映画、そして競馬やスポーツ評論の世界を駆け抜けていったマルチアーティストです。1967年には「演劇実験室◎天井棧敷」を立ち上げ、人々の旧来的な価値観に揺さぶりをかけ、さらには多岐にわたる活動の中、美術、デザイン、音楽といった様々なジャンルで新しい才能を発見し、育てていったことも特筆すべき業績の一つと言えましょう。
本展は、美術館の5つの企画展示室それぞれを寺山の小宇宙と見立て、文学、演劇、映画、美術、音楽、スポーツといった様々なジャンルの作品、資料の展示を行います。その総体として、多岐にわたる寺山の活動が一望でき、その存在の意義が理解できる寺山修司展としては過去最大級の規模となります。
さらには、今年没後25年を迎える寺山の現在を、テラヤマ美学の最大の理解者である美輪明宏による「毛皮のマリー」の舞台装置、衣裳で現出させ、様々な関連資料もあわせて公開します。
コミュニティギャラリーでは、寺山修司と同時代に活躍した多彩な才能を紹介する同時開催展として、秋田県出身の舞踏家土方巽の資料を中心に、澁澤龍彦、種村季弘、唐十郎といった作家、演出家の仕事を紹介し、寺山の活躍した時代の世相を振りかえります。
「昭和」という時代に注目が集まる現在、寺山の華やかで多彩な活動をとおしてその時代に想いを馳せていただくとともに、寺山が残した言葉や思想から混沌とした今の時代を生き抜く智慧を感じ取っていただければ幸いです。
-「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」 寺山修司
開催概要
会期
2008年4月1日 (火) – 5月11日 (日)
休館日
4月14日 (月) / 開催日数:40日間
開館時間
9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
観覧料
寺山修司展+アレコホール
一般 1,000円 (900円)
高大生 600円 (500円)
小中生 300円 (200円)
寺山修司展+常設展
一般 1,400円 (1,200円)
高大生 840円 (680円)
小中生 380円 (260円)
主催
寺山修司展実行委員会
(青森県立美術館、青森朝日放送株式会社)
お問い合わせ
寺山修司展実行委員会 (青森県立美術館内)
住所 〒038-0021 青森市安田字近野185
Tel 017-783-5242 / 017-783-3000
Fax 017-783-5244
チケット販売
前売券販売所
サークルK サンクス (サークルK:青森、秋田、岩手県内の各店舗 サンクス:東北各県、北海道央、道南地区の各店舗)、サンロード青森、イトーヨーカドー青森店・弘前店、成田本店しんまち店Pax、さくら野百貨店青森店・弘前店・八戸店、三春屋、県庁生協・青森県民生協、弘大生協、青森市文化会館、紀伊國屋書店、青森県立美術館ミュージアムショップ
展示内容
展示室A:空には本 ~寺山修司の文学
展覧会導入部。代表的な俳句、短歌、詩、アフォリスムや紹介するとともに、全著作、自筆原稿、愛用品等を展示いたします。また寺山修司の活動歴や履歴を参照できるコーナーも設けます。
展示室B:あゝ、荒野 ~昭和零年 新宿、あしたのジョー、そしてニューヨーク
このセクションでは、寺山の活動した時代の空気を伝える森山大道の写真 (『あゝ、荒野』所収のオリジナルプリント) や、鋤田正義撮影のニューヨーク・ラママでの貴重な写真 (初公開) 、寺山が愛した競馬、ボクシング等のスポーツに関連する資料を一堂に紹介します。
展示室C その1:犬神家の人々 ~寺山修司幻想写真館
このセクションでは荒木経惟からカメラの手ほどきを受けた寺山の撮影した、幻想写真を公開いたします。
展示室C その2:世界の涯てへ連れてって ~演劇実験室◎天井棧敷
このセクションでは、1967年から活動を開始した寺山修司主宰の「演劇実験室◎天井棧敷」に関連する資料を展示いたします。天井棧敷の全ポスターをはじめ、演劇「百年の孤独」の舞台模型、台本、スチール写真等の資料に加え、「百年の孤独」と「天井棧敷アンソロジー」の映像も上映いたします。
映像室:さらば映画よ ~青少年のための映画入門
映像室では寺山映画作品の映像等を 3台のプロジェクターにより上映します。また展示室Cから映像室に至る通路には、映画ポスターや、台本、スチール写真等の資料も展示いたします。
展示室D:「毛皮のマリー」 ~美輪明宏VS寺山修司
寺山が美輪のために書き下ろした1967年初演の舞台を、寺山没後の1994年に再演し、2001年からは演出も手がけている美輪版「毛皮のマリー」の8m×11mの巨大な舞台美術セットを設置します。照明、音楽を用い、演劇の雰囲気を再現するとともに、舞台上には衣裳の数々も展示します。
展示室E 前通路:仮面画報 ~寺山修司とアーティストたち
寺山は生前数多くのアーティストと仕事を行いましたが、このセクションでは横尾忠則、宇野亜喜良、林静一を取り上げて展示します。
展示室 E:われに五月を ~百年たったら、その意味わかる
展覧会の最終展示室となるこのセクションでは、寺山の没後に開催された様々なイベントのポスターや資料、没後出版された書籍の展示をとおして、現在もなお寺山が強い影響力を持ち続けていることを紹介します。また、寺山とゆかりのあった人々のインタビュー映像や、音楽家としての和田誠や湯浅譲二や武満徹といった音楽家とのコラボレーション資料や、ラジオドラマ、映画サントラ等の視聴コーナーも設けます。