棟方志功・崔榮林展

2007年11月10日(土) ━ 12月1日(土)

企画展 終了
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棟方志功・崔榮林展

青森県立美術館における青森県と韓国の国際交流事業の一環として、ソウルの国立現代美術館分館徳寿宮美術館との共同企画「棟方志功・崔榮林展」を開催します。
この展覧会では、これまで日本ではほとんど知られていなかったこの2人の交流を軸に、それぞれの国を代表する画家である彼らの作品を紹介するとともに、アジアの大きな枠組みの中で「世界のムナカタ」を見なおそうとする展覧会です。

棟方志功 『華狩頌』 1954年 青森市蔵 (棟方志功記念館寄託)

棟方志功 『華狩頌』 1954年 青森市蔵 (棟方志功記念館寄託)

崔榮林 『佛心』 1967年 国立現代美術館 (韓国) 蔵

崔榮林 『佛心』 1967年 国立現代美術館 (韓国) 蔵

展覧会のポイント:「友情は心の中に・・・」~新発見の手紙が語るもの

崔栄林 (チェ・ヨンリム 1916-1985) は、1938年頃、平壌博物館学芸員として赴任していた、棟方志功の青森時代の友人である弘前出身の考古学者・美術家小野忠明の紹介状を携えて来日、棟方志功の画室を訪れ、版画のみならず、民俗的な題材の選択や画風において大きな影響をうけたことが韓国ではよく知られていました。
崔は郷里に戻ったのち戦争が終わり、志功との交流は途絶えていましたが、今回の展覧会の調査により遺族のもとで発見された志功の手紙によって、1965年末から文通が復活し、志功の亡くなる年の1975年正月まで手紙のやりとりをしていたことが明らかになりました。最後の手紙の中で、志功は再会が果たせなかったことを残念がり、いつか必ず韓国を訪れ、お会いしたい、「何十年の友情は心の中におたがいに通ってゐますから、大丈夫です」と書いています。こうした書面からは隣国の志を同じくする友人へのあたたかな友情と尊敬がうかがわれ、国や民族にとらわれない「世界のムナカタ」の公平でおおらかな人間性、普遍性を感じさせます。

開催概要

会期

2007年11月10日 (土) – 12月24日 (月・振休)

休館日

11月26日

開館時間

9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)

観覧料

棟方志功・崔榮林展+アレコ
一般 800円 (700円)
高大生 560円 (460円)
小中生 320円 (220円)

 

棟方志功・崔榮林展+常設展
一般 1,200円 (1,100円)
高大生 800円 (700円)
小中生 400円 (300円)

※( )内は前売券および20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料 (入館の際に証明できるものをご呈示ください)
※前売券販売期間:10月17日 – 11月9日

主催

棟方志功・崔榮林展実行委員会 (青森県立美術館・日本放送協会青森放送局・財団法人棟方志功記念館)

共同企画

国立現代美術館分館徳寿宮美術館 (韓国)
(ソウル展:2008年1月22日 (火) – 2008年3月30日 (日)
会場:国立現代美術館分館徳寿宮美術館)

特別協力

財団法人棟方板画館、青森市

協賛

青森オリンパス株式会社、青森銀行、住友化学株式会社三沢工場、株式会社日本マイクロニクス

後援

駐日韓国大使館 韓国文化院、国際交流基金、大韓航空青森支店、東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社、河北新報社青森総局、毎日新聞社青森支局、読売新聞青森支局、朝日新聞青森総局、共同通信社青森支局、時事通信社青森支局、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、青森ケーブルテレビ、八戸テレビ放送、エフエム青森、コミュニティーラジオ局BeFM、FMアップルウェーブ、エフエムむつ

出品内容

崔榮林作品版画・油彩等約80点、棟方志功作品板画・倭画等約50点

お問い合わせ

棟方志功・崔榮林展展実行委員会 (青森県立美術館内)
住所 〒038-0021 青森市安田字近野185
Tel 017-783-5241 / 017-783-3000
Fax 017-783-5244

チケット販売

前売り券発売所

サークルKサンクス(サークルK:青森、秋田、岩手県内の各店舗 サンクス:東北各県、北海道央、道南地区の各店舗)、サンロード青森、イトーヨーカドー青森店・弘前店、成田本店しんまち店Pax、さくら野百貨店青森店・弘前店・八戸店、三春屋、県内JTB及びJTBトラベランド、県内日本旅行、県内近畿日本ツーリスト、県庁生協・青森県民生協、弘大生協、青森市文化会館、青森県立美術館ミュージアムショップ、棟方志功記念館

展示内容

1 棟方志功~突出した個性と世界に評価された普遍性

棟方志功 (1903-1975) は、青森市出身、はじめ油彩画家を志したが、のち版画を主に制作するようになり、「板画」と自ら命名した独自のスタイルによる木版画で、仏教や同時代の文学者の詩や物語などを題材に、既存の版画の概念をうちやぶる雄大な作品を制作、文展での特選や柳宗悦の後援などを得て、画壇に確固たる地位を築いた。さらに戦後はサンパウロやヴェネツィアのビエンナーレで版画部門グランプリを獲得するなど、国際的に高い評価を得、名実ともに日本を代表する芸術家となった。

2 崔榮林~韓国の悲劇から民族の魂に根ざした美術へ

崔栄林 (チェ・ヨンリム 1916-1985) は、高校時代に、当時平壌博物館学芸員として赴任していた、棟方志功の青森時代の友人である弘前出身の考古学者・美術家小野忠明から版画を学び、彼の紹介状を携えて1938年に来日、棟方志功に面会し、版画のみならず、民俗的な題材の選択や画風において大きな影響をうけたといわれている。
朝鮮戦争後、家族と離れ単身平壌から脱出、南に移住した崔は、朝鮮戦争の悲劇を反映した暗く重い抽象的な油彩画を描いていたが、韓国の画家たちが芸術における民族的なアイデンティティのあり方を模索する機運が高まりつつある時期に、棟方志功が、自国の伝統的な木版画によってヴェネツィアビエンナーレでグランプリを得て世界で高く評価されたことに勇気づけられ、再び版画を制作するようになる。また韓国の伝統的・民俗的な題材を黄土のような深みのある質感でユーモラスに描くようになり、韓国を代表する画家として広く親しまれている。亡くなる1985年には韓国の国展に出品した代表作など50点を国立現代美術館に寄贈した。

3 独自性と普遍性、地域性と国際性~アジアの近代美術の再評価

欧米の美術の学習や単なる自国の伝統の継承にとどまらず、伝統を咀嚼しながら国際的に評価される普遍的かつ独創的なスタイルを創造した棟方志功と、その影響をうけて広く自らの民族の心に根ざした美術を志した崔栄林という、それぞれの国の独自性とともに普遍性を志向した日本と韓国の画家の二人展を開催することで、両国の美術への理解を深め、文化交流の促進を図りたい。また、学術的側面からも、近年研究が進んでいるアジアの近代美術の相互交流や日本と韓国の近代美術の交流関係について具体的な事例にもとづき光をあてる貴重な機会であり、志功のヴェネツィアビエンナーレグランプリ受賞が韓国の美術界に与えた大きな影響についても本展を通じて検証され、カタログなどで発表される計画である。

4 世界のムナカタを韓国で紹介

また本展は、来年1月より共同企画館である韓国の国立現代美術館の分館である、ソウル市中心部の徳寿宮美術館で同内容で開催される。これは棟方志功を韓国ではじめて本格的に紹介する機会でもあり、棟方志功の芸術を青森県立美術館から「世界のムナカタ」として広く世界に向けて発信していく最初の重要な展覧会である。

関連企画

シンポジウム 「棟方志功・崔榮林展をめぐって」

日時:2007年11月10日 (土) 14:00-16:00
会場:青森県立美術館シアター (無料)
コーディネーター:三好徹 (青森県立美術館美術企画課長)
パネリスト:崔銀珠 (徳寿宮美術館館長)、奇惠卿 (徳寿宮美術館キュレーター)、武田公平 (棟方志功記念館館長補佐)、池田亨 (青森県立美術館学芸員)
共同企画館の国立現代美術館 (韓国) 徳寿宮美術館の担当学芸員等を交え、棟方志功・崔榮林の関連を軸に、二人を結びつけた小野忠明が指導した若者達が中心になって平壌につくられた美術団体「珠壷会」の意義など、韓国と日本の近代美術について考えます。

特別講演会 「柳宗悦と棟方志功の朝鮮芸術観」

日時:2007年12月2日 (日) 14:00-15:30
会場:青森県立美術館シアター (無料)
講師:日本民藝館学芸部長 尾久彰三氏
棟方の師であった柳宗悦と棟方が、どのように朝鮮の芸術を受容し、どのように考えていたかを探ります。

アート入門

日時:2007年11月23日 (金・祝) 14:00-15:00 ※11月14日の予定が変更になりました。
会場:青森県立美術館シアター (無料)
本展の内容について、担当学芸員が解説。

ギャラリー・トーク

担当学芸員による展示解説をおこないます。
日時:会期中の土曜日・日曜日 14:30 – ※12月2日 (土) は11:00 –
場所:青森県立美術館企画展示室
料金:無料 ※本展の観覧券が必要です。
※参加ご希望の方は14:30にB2F棟方志功・崔榮林展入口前にお集まりください。

関連ファイル

シンポジウム 「棟方志功・崔榮林展をめぐって」