青森県立美術館開館10周年記念「生誕80周年 澤田教一:故郷と戦場」 Sawada Kyoichi: From Home to Battle Zone

2016年10月8日(土) ━ 12月11日(日)

企画展 終了
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青森県立美術館開館10周年記念「生誕80周年 澤田教一:故郷と戦場」 Sawada Kyoichi: From Home to Battle Zone

青森県立美術館開館10周年記念「生誕80周年 澤田教一:故郷と戦場」 Sawada Kyoichi: From Home to Battle Zone

1936(昭和11)年に青森市に生まれた澤田教一は、1965年、戦火の絶えないインドシナ半島に赴き、カメラマンとして活躍しました。ベトナム戦争が拡大の一途にあった時期、激戦地での撮影を続けた澤田は、34歳で銃弾に倒れるまでの約5年間に、数々の傑作を世に出し、報道写真界の頂点に上りつめます。ピュリツァー賞受賞作に含まれる《安全への逃避》(1965年)では、戦闘で故郷を追われながら、必死に生き抜こうとするベトナムの人々の姿を捉え、世界中に戦争の過酷な現実を突きつけました。
当館は、澤田教一夫人の澤田サタ氏から、2014年度より、フィルムや電送写真原稿など、多くの資料を寄託されました。この展覧会では、それらの調査に基づき、未発表のカットを含む写真や資料300点余りを展示いたします。写真に写し出された故郷と戦場、そこに交錯する生と死を通じて、澤田教一が身を賭して追いかけたものにせまります。

澤田教一 Sawada Kyoichi 略年譜

澤田教一 Sawada Kyoichi 略年譜

1936年
青森県青森市に生まれる。
1954年
青森県立青森高等学校卒業。 同期に寺山修司がいた。
1955年
米軍三沢基地内のカメラ店で働きながら、本格的に写真を撮り始める。
1961年
プロの写真家カメラマンを目指し上京。同年12月 UPI通信社東京支局写真部に入社。
1965年
UPIサイゴン支局にカメラマンとして赴任。9月、代表作となる《安全への逃避》を撮影。この写真で12月、第9回世界報道写真コンテスト第1 位を受賞。
1966年
《安全への逃避》を含む一連のベトナム 戦争の写真で ピュリツァー賞を受賞。
《泥まみれの死》、《敵をつれて》が、第10回世界報道写真コンテストで第1位、第2 位を受賞。 ベトナム戦争の写真でU.S.カメラ賞を受賞。
1968年
2月、テト攻勢下のフエを撮影。 9 月、 UPI 香港支局写真部長として転勤。
1970年
UPI サイゴン支局に再び赴任。5 月、カンボジアでUPI プノンペン支局の ロバート・ミラー記者と共に取材に向かう途中、共産主義勢力の兵士に捕まり、8時間あまり拘束されるが無事生還。10月、カンボジア取材中、プノンペン近郊で銃殺され、34歳で死亡。
カンボジアを取材した一連の写真により、 死後、1971年のロバート・キャパ賞を受賞。

開催概要

会期

2016年10月8日(土)-12月11日(日)

休館日

10月11日(火)、24日(月)、11月14日(月)、28日(月)

開館時間

9:30-17:00(入館は16:30まで)

観覧料

一般1,300円(1,100円)、高大生800円(600円)、小中学生無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
※小・中・特別支援学校の引率者が、学校教育活動として観覧する場合は無料。
※コレクション展観覧料は含まれません。

 

三内丸山縄文秋祭り(10/15、10/16)クイズラリーにて観覧料割引企画を実施します。
クイズラリーのアンサーシートを提示で企画展観覧料を団体料金とします。
縄文時遊館 http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/facilities/

 

青い森鉄道(株)の割引企画を実施します。
(「生誕80周年 澤田教一:故郷と戦場」開催期間中)

以下の企画切符・定期券の提示で企画展観覧料を団体料金とします。
1 青い森ホリデーフリーきっぷ(大人)
2 青い森ホリデーフリーきっぷコンビニ券(大人)
3 中学生・高校生専用 学トクホリデーフリーきっぷ(高校生)
4 ラビナお買い物きっぷ(大人)
5 青い森鉄道線内の駅が含まれる各種定期乗車券(大人・大学生・高校生)
※当日有効の切符に限ります。
青い森鉄道 http://aoimorirailway.com/

主催

澤田教一展実行委員会
(東奥日報社、青森放送株式会社、公益社団法人青森県観光連盟、青森県立美術館)

企画協力

IZU PHOTO MUSEUM

助成

公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、公益財団法人朝日新聞文化財団

協賛・展示協力

株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン

機材協力

株式会社DNPフォトイメージングジャパン

協力

ゲッティ・イメージズ、株式会社カシマ、株式会社写真弘社、株式会社堀内カラー、青い森鉄道、JR東日本青森商業開発

学術協力

青森中央学院大学、立教大学・生井英考研究室

後援

駐日ベトナム社会主義共和国大使館、NHK青森放送局、青森ケーブルテレビ、エフエム青森、青森県教育委員会

展示内容

初期作品等未発表写真多数

本展ではサタ夫人所蔵のオリジナルフィルムに含まれる未公開のカットから、あらたに制作したプリントを多数展示いたします。青森でのアマチュア時代に撮った米軍三沢基地内やその周辺の風景写真がまとまった形で公開されるのは今回が初めてです。
またベトナムやカンボジアでの未公開写真からは、同行した米軍の戦いぶりだけでなく、彼らが捕えた解放戦線の容疑者や兵士たちが見せる表情を通じて、戦争の姿を伝えることに対する澤田の強い関心が浮かび上がってきます。

澤田教一
小川原湖〈青森県上北郡東北町〉周辺
1955-61年

澤田教一
米軍三沢基地内
1958年

テト攻勢下のフエ

1968年、テト攻勢の際に、誰よりも早くフエに入り前線で撮影した攻防戦のシリーズを、澤田の最高傑作と呼ぶ人は少なくありません。戦闘の勃発から収束まで、約1か月にわたるフエの取材でのクライマックスを大型写真と連続カットの写真、計36点で、大展示室の壁面を利用して展示。戦場写真の迫力と緊張感を伝えます。
展示用のインクジェットプリント制作にあたっては、木村伊兵衛賞、伊奈信男賞、日本写真協会作家賞などの受賞歴のある写真家の北島敬三氏が監修しました。

澤田教一
フエ
1968年

《安全への逃避》連続ネガとピュリツァー賞受賞写真帳を複製で展示

ベトナム戦争の象徴的なイメージとして広く知られている《安全への逃避》。今年3月、青森県立美術館の調査によって、そのオリジナルネガフィルムが米ペンシルバニア州ピッツバーグ近郊の地下収蔵庫に保管されていることが確認されました。前後のカットとともに連続する3カットをパネルで紹介します。
また、1966年に澤田に授与されたピュリツァー賞は、《安全への逃避》他、全28点の写真を収録した一冊の写真帳を対象としていました。ピュリツァー賞審査用に一冊のみ制作され、現在コロンビア大学に保管されるこの写真帳の全貌を、コロンビア大学から提供された高精細の画像をもとに日本で初めて紹介します。

関連企画

●講演会「カメラマンの戦場」  【終了しました】

UPI 通信社時代の同僚で、澤田教一と交流のあったフォトジャーナリストの今城力夫氏。物静かでいながら強い意志と行動力を持つ澤田のことを「まるで無音の鑿岩機のような力強さと、精度の高いコンピューターが昆虫の触角のような働きをしているようだった」と語っています。今城氏に、澤田の生前のエピソードや戦地でのカメラマンたちの現場についてお話しいただきます。

 

講演会
日時:10月8日(土)14:00~15:30
講師:今城力夫氏(フォトジャーナリスト/元UPI通信社)
演題:「カメラマンの戦場」
参加料:無料
定員:200名
場所:青森県立美術館シアター

 

【講師プロフィール】
1939年、台湾台中市(父親赴任先)生まれ。1961年11月、UPI通信社東京支局写真部に入社。一か月後に入社した澤田教一と同僚として交流をもった。1984年AFP通信社へ移り国際写真局開設に携わった後、1994年UPIへ再入社。1996年まで勤務したUPI通信社時代には、ベトナム戦争(1967年11月~1968年2月)、非同盟国首脳会議(1976年、1983年)、韓国光州事件(1980年)などを取材。1978年には、アジア・パシフィック写真局長に就任。1996年、APワイドワールドフォトズ(現AP Images)に入社。翌年より同社ディレクター。2007年秋、AP Imagesを退職。現在はフリーフォトジャーナリスト。

●映画「SAWADA サワダ」(1997年)上映会+ アフタートーク  【終了しました】

青森県出身の五十嵐匠監督による澤田教一の軌跡をたどったドキュメンタリー映画を上映後、監督と澤田教一夫人のサタ氏をお招きして、アフタートークを開催します。
日時:10月15日(土)
映画上映:13:00 -
アフタートーク:15:00 -15:30
定員:200名・参加無料(事前申込不要)
場所:青森県立美術館シアター

 

【五十嵐匠(いがらし・しょう)監督 プロフィール】
1958年、青森県生まれ。立教大学在学中より自主映画を制作し、卒業後、四宮鉄男監督に師事。1983年よりフリーの監督として活動、澤田教一の軌跡を追った映画『SAWADA サワダ』(1997年)で毎日映画コンクール文化映画部門グランプリ、キネマ旬報・文化映画グランプリなど数々の賞を受賞。その後も報道写真家、一ノ瀬泰造をモデルにした『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999年)、童謡詩人、金子みすゞの半生を綴った『みすゞ』(2001年)などの作品を多数監督。その他、テレビドラマやドキュメンタリーも手がける。
最新作は、第44回吉川英治文学賞受賞の重松清による同タイトルの小説を映画化した『十字架』(2015年)。

●[株式会社ニコン主催]ニコンポートフォリオレビュー+澤田教一展鑑賞ツアー  【終了しました】

テーマを持って撮影されている方、写真展の開催を目指す方々のための公開講評会。講評後は、講師や展覧会担当学芸員とともに澤田教一展の鑑賞ツアーを行います。
日時:10月29日(土)13:00 -16:30
講師:北島敬三氏(写真家・ニコンサロン選考委員)
場所:青森県立美術館スタジオ
申込方法:電話[ 青森県立美術館017-783-3000 ] にて受付
定員:15名・参加無料(申込先着順)

 

○当日提出する作品について
・六切りまたはA4 以上のプリント。
・1枚ずつバラにして机に並べられるようにし、テーマでまとめてなるべく多くお持ちください。
・点数制限はありません。
・スライドおよび画像データは不可。

●映画「ドゥン ドット( 焼いてはいけない)」(2009年)上映会+アフタートーク

ベトナムを代表するダン・ニャット・ミン監督による、ベトナム戦争で戦死した、実在の女性医師を描いた映画を上映します。本作は、アジアフォーカス・福岡国際映画祭2009「福岡観客賞」受賞作です。上映後は、映画の歴史的背景やベトナムの映画事情などを、東南アジア映画研究者の坂川直也氏にお話しいただきます。

日時:11月23日(水・祝)
映画上映:13:00-
アフタートーク:14:50 -15:30
定員:200名・参加無料(事前申込不要)
場所:青森県立美術館シアター

●ベト風(かぜ)キッチン

青森中央学院大学で学ぶベトナムからの留学生たちのご協力を得て、ベトナムの本場の味を楽しんでいただきます。青森リンゴ入りおこわ、揚げ春巻やベトナムコーヒーをぜひご賞味ください。

開店日:10月8日(土)、9日(日)、29日(土)、11月5日(土)、6日(日)
時間:各日12:00 -15:00
販売場所:青森県立美術館1 階 コミュニティホール

★会期中、青森県立美術館内カフェ「4 匹の猫」では、留学生たちのレシピによるベトナム料理《炒めフォー》も提供しています!

●漫画家・西島大介さんの漫画で、ベトナム戦争をわかりやすく解説

ベトナム戦争を題材にした人気コミック『ディエンビエンフー』(小学館)の西島大介氏が描き下ろした漫画「澤田教一と行くベトナム戦争史」のリーフレットを会場で無料配布します。

●展覧会のエッセンスがつまった公式写真集『澤田教一 故郷と戦場』が羽鳥書店から刊行されています。

図版327点
寄稿:生井英考、石川文洋
A4判変型 並製 296頁(カラー240頁)
本体価格 4,500円+税
ISBN 978-4-904702-64-2 C0072

ミュージアムショップまたはオンライン書店[Amazon、honto]でもご購入できます。

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