めがねと旅する美術展 世界をとらえる、秘密をのぞく、次元を越える、だまされてみる? あるいはレンズと鏡、そして技術革新と新視覚
現代は膨大な視覚情報が溢れている時代です。それらを「見る」ための器具として欠かせないのが、「めがね」です。視力を補うための装置であると同時に、「レンズ」もまた広義の「めがね」として、ミクロやマクロの世界を可視化したり、写真や映像となって、私たちに新しい世界観を提示してくれます。また、「色めがね」「おめがねにかなう」などの言葉があるように、「めがね」 にはものを見る際のフィルターといった意味が付されることもあります。
本展では、江戸時代後期の日本に視覚の革命を起こした、西洋由来の遠近法やレンズを用いた「からくり」にはじまり、列車や飛行機といった近代交通機関がもたらした新しい視覚、戦後から現代に至る目覚ましいサイエンス、テクノロジーの発展とともに変貌してきた視覚表現の軌跡を追います。あわせて、人類の普遍的な欲望である「秘められたものを見る」、 「見えないもの見る」ことの試みについても考察します。
本展は、「ロボットと美術」展(2010年度)、「美少女の美術史」展(2014年度)に続く「トリメガ研究所」企画の第3弾、最終章として「めがね」をキーワードに、江戸時代から現代までの「みること」に対する人々の飽くなき探求の営みをたどる視覚文化史展です。
出品作家(五十音順)
新井泉男、新井仁之/新井しのぶ、飯田昭二、家住利男、池内啓人、石内都、市川平、伊藤隆介、稲垣足穂、今和泉隆行(地理人)、入江一郎、岩崎貴宏、上田信、歌川国貞(二代)、歌川国貞(三代)、歌川重清、歌川豊春、歌川広重、歌川芳盛(二代)、江戸川乱歩、生賴範義、大洲大作、大畑稔浩、岡田半江、金氏徹平、金巻芳俊、岸田めぐみ、北尾政美、桑原弘明、黒川翠山、小池富久、小絲源太郎、五島一浩、今純三、今和次郎、佐竹慎、司馬江漢、鈴木理策、諏訪敦、高橋由一、高松次郎、田中智之、谷口真人、谷崎潤一郎、千葉正也、塚原重義、椿椿山、東京モノノケ、中ザワヒデキ、中村宏、七原しえ、丹羽勝次、野村康生、原在正、菱川派、平川紀道、不染鉄、前田藤四郎、松江泰治、松村泰三、松山賢、伝円山応挙、Mr.、棟方志功、元田久治、森村泰昌、門眞妙、安田雷洲、やぼみ、山口晃、山口勝弘、山田純嗣、山本大貴、宵町めめ、吉開菜央、吉田初三郎、米田知子、リュミエール兄弟、和田高広
東京大学大学院廣瀬・谷川・鳴海研究室+Unity Japan(松本啓吾、鳴海拓志、簗瀬洋平、伴祐樹、谷川智洋、廣瀬通孝)、東北芸術工科大学総合美術コース松村泰三研究室、東京大学大学院情報理工学系研究科廣瀬・谷川・鳴海研究室、北海道教育大学メディア・タイムアートコース映像研究室、めぐりあいJAXA実行委員会(五島一浩、澤隆志)、理化学研究所脳科学総合研究センター
出品作品・資料・装置
浅草・凌雲閣関連資料、アンティーク眼鏡、源氏物語屏風、重訂解体新書図譜、パノラマ画、眼鏡絵、洛中洛外図屏風、カメラオブスクラ、自働パノラマ鏡、ステレオグラム、ソーマトロープ、泰山鏡(眼鏡絵器具)、TVアニメーション「名探偵ホームズ」、反射式覗き眼鏡、ピープショウ、驚き盤(ヘリオシネグラフ)等
※出品作品・資料については変更される場合があります。また一部作品は前期(7/20~8/12)と後期(8/13~9/2)で展示替えを行います。
開催概要
会期
2018年7月20日(金)ー 9月2日(日) ※休館日なし
開館時間
9:00 – 18:00 ※入館は17:30まで
観覧料
一般:1,500円(1,300円)
高大生:1,000円(800円)
小中学生:無料
※( )は前売・20名以上の団体料金。
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料。
・めがねと旅する美術展とコレクション展のセット観覧料金
一般:1,900円(1,710円)、高大生:1,200円(1,040円)、小中学生:100円(80円)
※( )内は20名以上の団体料金
・めがねと旅する美術展前売券持参者のコレクション展セット観覧料金
一般:410円、高大生:240円
・青い森鉄道 企画きっぷ提示による割引(当日有効のもの)
http://aoimorirailway.com/
・三内丸山縄文春祭り(7/28-7/29)クイズラリーにて観覧料割引企画を実施します。クイズラリーのアンサーシートを提示で企画展観覧料を団体料金とします。
http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/facilities/
主催
めがねと旅する美術展青森実行委員会(青森テレビ、青森県観光連盟、青森県立美術館)
協賛
ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社
協力
株式会社@カマタ、青い森鉄道株式会社、株式会社JR東日本青森商業開発、津軽鉄道株式会社、株式会社アートボックス、株式会社東京メガネ
後援
NHK青森放送局、青森ケーブルテレビ株式会社、株式会社エフエム青森、青森県教育委員会
助成
一般財団法人 地域創造
キュレーション
トリメガ研究所
お問い合わせ先
めがねと旅する美術展青森実行委員会(青森県立美術館内)
〒038-0021 青森市安田字近野185 Tel.017-783-3000
チケット販売
前売券発売所
※前売り券 販売開始5月30日(水)- 販売終了7月19日(木)
ローソンチケット(L:21330)、セブンチケット、まるっとあおもり検索サイト「ポみっと!」
県内各プレイガイド
青森市
サンロード青森、成田本店しんまち店、さくら野百貨店青森本店、中三青森本店、県民生協11店舗、県庁生協(県庁北棟1階、県庁東棟1階)、はまなす会館(青森市勤労者互助会)、青森県観光物産館「アスパム」1階インフォメーション、リンクステーションホール青森、青森県立美術館ミュージアムショップ、青森県立美術館1階総合案内
弘前市
さくら野百貨店弘前店、紀伊國屋書店弘前店、弘前大学生活協同組合、中三弘前店、ヒロロ
五所川原市
ELMの街
八戸市
さくら野百貨店八戸店、中合三春屋店、ラピア、八戸ポータルミュージアムはっち
展示内容
「めがね」、それは見えないものを見るための、世界ののぞき窓。
レンズ、だまし絵、遠近法、顕微鏡、望遠鏡、VR・・・。それらは何をうつし、私たちは何を見てきたのか。アートとテクノロジーがあぶりだす人間の「夢」と「欲望」の世界へようこそ。
1. 世界をとらえる
遠くの景色やそこにいる人々を手に取るように観察したいという願望をかなえる装置が「遠眼鏡」、すなわち望遠鏡です。また、高層建築や飛行機などの登場により、私たちは鳥のような高みからの視点も手に入れることができました。ここでは江戸時代初期の洛中洛外図にはじまり、浮世絵師が描いた江戸の町、現代の作家による俯瞰する風景など、「世界を一望する」願望が反映された作品を紹介します。

《洛中洛外図屏風》
江戸時代(17世紀)
九州国立博物館蔵

諏訪敦《新宿からの富士》
2001年
東京ステーションギャラリー蔵

めぐりあいJAXA実行委員会
《陸域観測技術衛星「だいち」の眼-青森》
2018年
2. 秘密をのぞく
肉眼では捉えられないものを見ることに先人たちは情熱をそそぎ、望遠鏡や顕微鏡を作ってきました。このセクションのテーマである「のぞく」ことも、「普通は見えないもの」を見ようとする活動ではありますが、遠すぎたり小さすぎたりするから見えないというわけではなく、社会的に見てはならないとされるものを伺う、あるいは狭いのぞき穴の視覚を独占するというのがのぞきの視覚です。ここでは、源氏物語絵に描かれた垣間見のシーンから、のぞき見る装置を利用した現代作品までを紹介します。

《源氏物語屏風》(部分)
江戸時代
海の見える杜美術館蔵

生賴範義《口腔(口腔と咽喉)
『現代の家庭医学2 病気と治療Ⅰ』
(学習研究社 昭和44年2月10日)用下絵》
1968年
個人蔵

山口晃《百貨店圖 日本橋 新三越本店》
2004年
株式会社 三越伊勢丹ホールディングス蔵
©YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery

田中智之《渋谷駅解体2011》
2011年
作家蔵

(参考図版)岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー (コスモワールド)》
2011年
撮影:木奥恵三
©Takahiro Iwasaki, Courtesy of URANO
3. 次元を越える
風景画や静物画といったおなじみの絵画。これらは3次元の現実世界を2次元の絵画世界に落とし込んでおり、いわば次元を越えた翻訳ということができます(さらにそこに画家の思想や意図が付け加わるわけです)。現代の美術作品の中には、そういった絵画の性質に意識を向けたり、さまざまなメディアの特性を利用して見えないものを捉えようとする作品があります。ここでは、3次元と2次元を自由に行き交う作品、3次元を超える高次元を数学的方法論で表現した作品等を紹介します。

自働パノラマ鏡
1910年頃
日本カメラ博物館蔵

桑原弘明《星を売る店》
2012年
個人蔵
4. だまされてみる?
人間はそれまでの視覚の「常識」を揺さぶられるような新しいイメージに触れた時、その新鮮な視覚の魅力につい惹き込まれてしまいます。江戸から明治にかけては絵が立体的に見える「めがね絵」や「のぞきからくり」が流行し、現在も錯視を利用したトリックアート的な作品が広く人気を集めています。この驚きは「だまされている」という意識が前提となっています。分かっているからこそ味わえる不思議さ。視覚という機能の曖昧さが世界の見え方をより面白くしてくれるのです。みなさんも様々な視覚の「仕掛け」にだまされてみませんか。

山口勝弘《ヴィトリーヌNo.47(完全分析方法による風景画)》
1955年
東京国立近代美術館蔵

森村泰昌《批評とその愛人(4)》(7点組のうち1点)
1989年
静岡県立美術館蔵

千葉正也《タートルズライフ#5 ~地獄巡り》
2015年
Taguchi Art Collection copyright the artist, courtesy of ShugoArts

金巻芳俊《円環カプリス》
2018年
個人蔵
©Yoshitoshi Kanemaki, FUMA Contemporary Tokyo / 文京アート

(参考図版)金氏徹平《Teenage Fan Club #38》
2011年
courtesy :Eslite Gallery/Taipei
5. レンズと鏡
「眼鏡」や「顕微鏡」といった言葉が示すとおり、「鏡」はレンズと同じく、光、すなわち視覚を操作する道具として表現者たちをひきつけてきました。ここではガラスや鏡などの素材を用いて光の屈折を取り入れた作品や、レンズや鏡面がもたらす効果を利用した作品を紹介します。

中村宏《望遠鏡・富士山(女学生に関する芸術と国家の諸問題)》
1967年
高松市美術館蔵

市川平《TOKYO UNIT LIFE》(模型)
1993年
作家蔵
撮影:大洲大作

大洲大作《「遠/近 - 青森」》より近(青森、津軽線、2017年1月)
2018年
作家蔵
©Daisaku OOZU
6. 技術革新と新視覚
見ることに対する人間の欲望は尽きることがありません。古くは写真や映画、現在はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などテクノロジーの発展とともに新しい視覚性を切り拓く表現形式が多数登場しています。これらはエンターテインメントとして提供される一方、視覚とは何かという認知科学の分野からの研究も盛んに行われています。ここでは、新視覚をテーマにした様々な作品、そして研究成果を紹介します。

中ザワヒデキ《アナグリフの穴》(右壁)
1993年
作家蔵

池内啓人《VRゴーグル(SFカラー)》
2015年
作家蔵

鈴木理策《17,WM-792》
2017年
作家蔵
©Risaku Suzuki, Courtesy of Taka Ishii Gallery

Mr.《優芽-ルビーパイン-》
2018年
©2018 Mr. /Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
7. 新作アニメーション「押絵ト旅スル男」上映
「のぞきからくり」、二次元と三次元の間にある「押絵」、「双眼鏡」、凌雲閣という塔から町を見下ろす視点など、展覧会のコンセプトと共振する要素を多く持つ江戸川乱歩の「押絵と旅する男」をアニメ化し、会場内で上映します。

原作:江戸川乱歩
監督:塚原重義
キャラクターデザイン・作画監督:やぼみ
音楽:アカツキチョータ
プロデューサー:迫田祐樹
企画:トリメガ研究所(川西由里、工藤健志、村上敬)
キャスト:細谷佳正、梶裕貴、坂本頼光