青森県立美術館開館10周年記念「オドロイテモ、おどろききれない 森羅万象:棟方志功とその時代」展
本展は西洋近代美術の受容、日本美術の伝統、郷土青森をはじめとする東北の民族的文化を強烈な個性のうちに融合させた棟方志功の芸術を、代表的な作品を網羅して紹介すると共に、彼が吸収し、影響を受けた同時代の芸術家達の作品や、棟方志功が版画部門のグランプリを受賞した1956年のヴェネチア・ビエンナーレの出品作品、同時に出品された他の日本人作家の作品とともに紹介し、現代における「世界のムナカタ」の意義を提示します。
オドロイテモ、おどろききれない・・・青森市に生まれた世界的板画家、棟方志功。その力強い線で彫られた板画は、没後40年を過ぎた現在も、新鮮な驚きと共に、私たちを魅了し続けています。
青森県立美術館開館10周年記念展の第一弾は、棟方志功をとりあげます。青森市の鍛冶職人の息子として生まれた棟方が、いかにして「世界のムナカタ」となったのか。本展では棟方志功がゴッホの向日葵の口絵を見て画家を志ざすきっかけとなった雑誌「白樺」とその周辺の洋画家たちの作品に始まり、棟方が愛蔵してきた、彼を世に出した民藝運動の作家たちによる陶芸作品の展示、国際版画大賞を受賞、世界的な評価を確立した1956年のヴェネツィア・ビエンナーレの再現展示など、棟方志功の生涯と代表作を、彼をとりまく同時代の美術と共に展示するというこれまでにない切り口で、棟方志功の全貌に迫ります。棟方志功作品は代表的な大作を中心に約100点、その他近現代の作家達の作品約50点に加え、小説『鍵』の挿絵等をめぐる谷崎潤一郎との書簡など、初公開の資料も展示されます。
幅約13メートルの最大の板画「大世界の柵」をはじめとする大作の青森県立美術館の広大な空間へのダイナミックな展開や、「縄文と棟方志功」のコーナーなど、青森県立美術館ならではの特徴あふれる展示により、本展は、新たな驚きとともに、棟方志功の尽きせぬ魅力を伝える展覧会となるでしょう。
開催概要
会期
2016年4月16日(土)〜6月5日(日)
休館日
4月25日(月)、5月9日(月)、5月23日(月)
開館時間
5月31日まで/9:30-17:00(入館は16:30まで)
6月1日以降/9:00-18:00(入館は17:30まで)
観覧料
一般1,300(1,100)円、高大生800(600)円、小中学生以下無料
※()内は前売り券および20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
常設展とのセット券
一般1,700(1,510)円 / 高校・大学生1,000(840)円
※( )内は20名以上の団体料金
※前売券持参者の常設展観覧料は、一般410円 / 高校・大学生240円
企画展割引企画を実施中です。
以下の場合、団体料金といたします。
ねぶたの家ワ・ラッセ(JR青森駅そば)のチケットの提示
ねぶたの家ワ・ラッセhttp://www.nebuta.jp/warasse/
※企画展開催期間中のチケットに限ります。
青い森鉄道(株)の企画切符・定期券の提示
青い森鉄道http://aoimorirailway.com/
※当日有効の切符に限ります。
主催
棟方志功展実行委員会(東奥日報社、青森テレビ、青森県観光連盟、棟方志功記念館、青森県立美術館)
協力
日本民藝館、青い森鉄道株式会社、ねぶたの家ワ・ラッセ、JR東日本青森商業開発
後援
NHK青森放送局、青森ケーブルテレビ、エフエム青森、河北新報社青森総局、毎日新聞青森支局、読売新聞青森支局、産経新聞社青森支局、北海道新聞函館支社、東日本旅客鉄道盛岡支社、青森県教育委員会、青森市教育委員会、青森市
お問い合わせ
棟方志功展実行委員会(青森県立美術館内)
〒038-0021 青森県青森市安田字近野185
Tel: 017-783-3000
Fax: 017-783-5244
チケット販売
前売券発売期間
2016年3月5日(土)-4月15日(金)
前売券発売場所
ローソンチケット[Lコード26887]
ポみっと!チケット
チケットぴあ[Pコード767-476](※3月11日(金)から発売)
青森市:
サンロード青森、成田本店しんまち店、さくら野百貨店青森店、県民生協11店舗、県庁生協(県庁舎地下1階)、青森市職員生協(青森市役所、青森市民病院、柳川庁舎)、はまなす会館(青森市勤労者互助会)、青森県観光物産館「アスパム」1階インフォメーション、青森県立美術館ミュージアムショップ(※3月12日(土)から発売)、青森県立美術館1階総合案内(※3月12日(土)から発売)
弘前市:さくら野百貨店弘前店、紀伊國屋書店弘前店、弘前大学生活協同組合
五所川原市:ELMの街
七戸町:鷹山宇一記念美術館
八戸市:さくら野百貨店八戸店、中合三春屋店、八戸ポータルミュージアムはっち
展示内容
1 ワはゴッホになるっ~棟方志功前夜 東京と青森の近代美術
棟方志功が独自の版画の表現において「棟方志功」の個性を開花する前夜。青年・棟方志功は「白樺」に掲載されたゴッホの『向日葵』の挿絵をきっかけに、油彩画家ゴッホになることを夢見ていました。ここでは、「白樺」の関連作家や、ゴッホやセザンヌなど後期印象派の影響のもと制作を行っていた岸田劉生、中村彝、萬鉄五郎、梅原龍三郎などをはじめとする洋画家達、郷土青森の洋画家・版画家達の作品、版画をはじめるにあたり大きな影響をうけた川上澄生の作品など、画家の道を歩みはじめた棟方をとりまく同時代の美術状況を紹介し、これらの時代背景のもと、様々な可能性を模索する若き日の棟方志功の作品を展示します。
2 民藝運動とともに~師・柳宗悦のもとで
棟方志功は、1936年、初期の代表作「大和し美し」を柳宗悦に見いだされ、柳、河井寛次郎、濱田庄司といった民藝運動の主導者達との交流がはじまりました。棟方は彼らの指導のもと、日本やアジアの伝統、仏教などをはじめとする教養を身につけ、これらを題材に次々に優れた作品を生み出します。本章では、彼らとの交流の中で制作された作品だけでなく、棟方が愛藏した柳宗悦の書や河井寛次郎、濱田庄司の茶碗などを展示し、棟方志功と民藝運動の深い関わりを紹介します。
3 傑作の森~戦争、疎開、そして世界へ
1945年、戦争末期に棟方志功は家族で福光(現富山県南砺市)に疎開しました。版木など材料が不足する中、現地の、あるいは彼らを訪ねてくる各地の文化人たちとの交流の中で、棟方は仏教や詩歌などを題材に、板画や板画本、倭画など表現の幅を大きく広げていきました。ここでは福光在住時代の作品を中心に、戦争をはさみ、新たな可能性を追求しながら傑作を生み出した時期の作品を紹介します。
4 世界のムナカタ ヴェネツィア・ビエンナーレと晩年
1956年、棟方志功はヴェネツィア・ビエンナーレで版画部門の大賞をうけ、一躍「世界のムナカタ」として国内外に名をとどろかせました。ここでは、一部実際に展示された作品も含め、同展に出品された版画作品と、同じビエンナーレに出品された須田国太郎、脇田和、山口長男、植木茂、山本豊市といった日本人作家の作品を展示します。また、これ以降、欧米への旅行時に制作された作品や、最大の版画作品である「大世界の柵」、最晩年にインドを訪れた際に制作された板画や一連の油彩画など、晩年までの作品を紹介します。
5 文学と女性像~魔性と仏性
棟方は文学にも大変関心が深く、若い頃から挿絵や本の装丁の仕事や、詩歌を題材にした板画作品などを数多く手がけてきました。なかでも、吉井勇、谷崎潤一郎の歌や小説を題材にした板画、挿絵は、棟方志功が戦後に力を注いだ作品であり、「流離抄板画柵」や「鍵板画柵」など、多くの傑作がうまれました。また、現代の女性達をテーマにしたこれらの作品は棟方の女性像に新たな展開をもたらし、「鍵」をきっかけに制作され人気を得た大首の女性像は、晩年の棟方志功の人気を高める原動力のひとつとなりました。ここでは吉井、谷﨑の作品を題材にした板画作品と、そこから生まれた大首などの美人像を展示し、妖艶でしかも仏性をそなえた棟方の独自の女性表現について探ります。
6 青森の子・棟方志功~故郷と父母への祈り
晩年の棟方志功は、「世界のムナカタ」として広く知られるようになり,国際的な評価に加え、文化勲章の受章などで国内外での高い評価を確立しました。しかし、一方で故郷への思いを年々強め、恐山や津軽三味線など、故郷を題材にした作品を数多くつくるようになります。ネブタを自らのルーツとして愛し、「青森の子 棟方志功」と称した彼の故郷への思いは、貧しい中自らを育ててくれた父母への深い思いへとつがなります。この章では望郷の思いで生み出された作品群、そして父母への祈りから生み出された最後の本格的な板画作品「捨身飼虎の柵」までを展示します。
7 アニミズムと縄文~棟方志功の東北
棟方志功については、その東北的な特質がしばしば「縄文」や「アニミズム」という言葉によって語られてきました。本章では、棟方が目にし、命名した「風韻堂コレクション」の縄文土器や土偶に加え、彼の作品に関連する民俗資料、共通する題材をとりあげた太宰治・宮沢賢治との比較を通じ、棟方志功と東北の精神風土との関連について考察します。