富野由悠季の世界:ロボットアニメの変革者 ガンダム、イデオン、ダンバインからGのレコンギスタまで The World of TOMINO Yoshiyuki : An Innovator of Robot Anime Gundam, Ideon, Dunbine, Reconguista in G, and more
富野由悠季の作品(ものがたり)を覚えている者は幸せである。心豊かであろうから。
それまでの「勧善懲悪」、「単純明快」を常とするロボットアニメに「確固たる世界観」と「深いドラマ」を取り入れ、その構造を大きく変革させた演出家、富野由悠季(1941- )。本展は、大きな社会現象となった『機動戦士ガンダム』(1979年)をはじめ、「ガンダム」シリーズの他、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『戦闘メカ ザブングル』(1982年)、『聖戦士ダンバイン』(1983年)、劇場版『Gのレコンギスタ』(第3部2021年夏公開予定/全5部作)などで総監督を務め、国内外のアニメシーンのみならず、現代文化に対しても多大な影響を与えてきた富野の仕事を回顧、検証する初の展覧会です。全国6つの美術館の共同企画として2019年夏より全国巡回が続きましたが、今回の青森がその最終会場となります。
宇宙に憧れた少年時代、映像作家を志した青年時代を経て、1964年に『鉄腕アトム』の演出家としてデビューした富野。以降、約55年の長きにわたって第一線で活躍し、数々のアニメ作品を世に送り出してきました。本展では、富野が手がけた膨大な設定メモ、スケッチやアニメの設計図となる絵コンテ、さらにはキャラクターやメカニックデザイン、美術設定への修正指示などをとおして、どのようにして富野が「世界」と「ドラマ」を作りだしていったかを検証し、あわせてその「演出」の魅力にも迫ります。また、様々なスタッフの共同作業によって完成するアニメの特性を踏まえ、富野と共に仕事をした安彦良和、湖川友謙、大河原邦男、中村光毅、永野護、安田朗といったクリエーターの原画、アニメ作品本編の撮影に使われたセル画、各種イラストなども紹介します。
富野由悠季の仕事を約3,000点という膨大な作品、資料で回顧する本展をとおし、アニメというメディアの豊かな表現力を感じ取っていただくとともに、現代社会、文明に対する富野由悠季のメッセージをぜひ読み取ってください。
主な展示作品
「富野由悠季をかたちづくった、幼少期から大学時代までの貴重な資料」
『鉄腕アトム』(1963~66年)
『海のトリトン』(1972年)
『しあわせの王子』(1974年)
『ラ・セーヌの星』(1975年)
『勇者ライディーン』(1975-76年)
『無敵超人ザンボット3』(1977-78年)
『無敵鋼人ダイターン3』(1978-79年)
『機動戦士ガンダム』(1979-80年)
『伝説巨神イデオン』(1980-81年)
『戦闘メカ ザブングル』(1982-83年)
『聖戦士ダンバイン』(1983-84年)
『重戦機エルガイム』(1984-85年)
『機動戦士Zガンダム』(1985-86年)
『機動戦士ガンダムZZ』(1986-87年)
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)
『機動戦士ガンダム F91』(1991年)
『機動戦士Vガンダム』(1993-94年)
『闇夜の時代劇 正体を見る』(1995年)
『ガーゼィの翼』(1996-97年)
『ブレンパワード』(1998年)
『∀ガンダム』(1999-2000年)
『OVERMAN キングゲイナー』(2002-03年)
『リーンの翼』(2005-06年)
『Gのレコンギスタ』(2014-15年)
青森会場の見どころ
本展は福岡市美術館、兵庫県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館、富山県美術館、青森県立美術館の6館の共同企画として2019年夏より巡回してきましたが、今回の青森会場はその最終会場となります。一般的な企画展よりもスペースを拡張し、青森県立美術館ならではの魅力的な空間いっぱいに富野ワールドが広がります。
共同企画展のフィナーレにあたって、下記のとおり青森会場オリジナルの追加展示を行います。
2020年に放送40周年を迎えた『伝説巨神イデオン』の展示コーナーを拡充いたします。富野監督の作劇、演出のアイデアが詰め込まれた「イデオンノート」の重要箇所を一挙に公開します。
2019年12月に逝去した世界的インダストリアルデザイナーであるシド・ミードの功績を顕彰するため、『∀ガンダム』のためにデザインされたモビルスーツのスケッチを多数紹介します。さらに、∀ガンダムとターンXは高さ4mという巨大サイズでそのデザインの魅力をお伝えします。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したモビルスーツ「リ・ガズィ」のダミーバルーンを原寸大の胸像として再現します。モビルスーツの大きさが体感できる展示です。
人気声優、有名モデラーの模型作品を多数展示いたします。
展示の最後に「エンディング」のコーナーが追加されます。果たして何が展示されるのか…、誰も知らないラスト!


富野由悠季(とみの・よしゆき)
1941年11月5日、神奈川県小田原市生まれ。1964年、日本大学芸術学部映像学科卒業。同年に虫プロダクションへ入社、アニメの制作現場に入る。1967年に虫プロ退社後はフリーとして様々なアニメ作品の制作に参加。1972年の『海のトリトン』で初監督。1976年に設立された日本サンライズ(現サンライズ)の初オリジナル作品『無敵超人ザンボット3』(1977年)で総監督をつとめる。以降、サンライズを拠点として、空前の大ブームを巻き起こした『機動戦士ガンダム』(1979年)などのガンダムシリーズや、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『聖戦士ダンバイン』(1983年)など多くの話題作を手がけていく。現在、2014年に放映された『Gのレコンギスタ』に新作カットを追加、映像を再編集した劇場版『Gのレコンギスタ』(全5部作)が順次公開されている。また小説家、作詞家としても活躍。作詞家としては「井荻麟」(いおぎ・りん)、絵コンテマンとしては「斧谷 稔」(よきたに みのる)というペンネームを用いている。2019年、文化庁長官表彰。
開催概要
会期
2021年3月6日(土)~5月9日(日)
休館日
3月22日(月)、4月12日(月)、4月26日(月)
開館時間
9:30-17:00(入館は16:30まで)
※展示作品が多いため観覧に必要な時間が長くなることが予想されます。時間に余裕をもってご来館ください。
観覧料
一般1,500円(1,300円)、高大生1,000円(800円)、小中学生以下無料
※( )はWEBチケット料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
※コレクション展料金は含まれません。
※延期前の前売券で入場された方には、延期前のポスター1枚をプレゼントいたします。
主催
富野由悠季の世界展青森実行委員会(青森朝日放送、青森県観光連盟、青森県立美術館)
企画協力
神戸新聞社
特別協力
サンライズ、東北新社、手塚プロダクション、日本アニメーション、オフィス アイ
協力 青い森鉄道、JR東日本青森商業開発
後援
東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社、青森ケーブルテレビ、エフエム青森
お問い合わせ
〒038-0021 青森市安田近野185
富野由悠季の世界展青森実行委員会(青森県立美術館内)
TEL 017-783-3000 FAX 017-783-5244
チケット販売
総合案内窓口でのチケット購入
窓口で当日券をお買い求めいただけます。
チケット販売サイト「GETTIIS(ゲッティーズ)」でのWEBチケットの購入
(注)購入できる期間は3月1日から5月9日16:30までです。
【チケット販売サイトURL】https://www.gettiis.jp/event/detail/100007/tJfrXsz7
※お支払いはクレジットカード(VISA、Master Card)決済のみとなります。
※ウェブチケットでの観覧料は、一般1,300円、高大生800円となります。
※別途手数料(165円/枚)がお客様負担となります。
※WEBチケットでご入場の際には特製チケット(デカチケ)をプレゼントいたします。
※企画展示室に入場の際、手続き完了後に表示されるQRコードのご提示をお願いいたします。
※複数の人数分をご購入いただいた場合は、人数分のQRコードが購入者に発行されます。入場する時間が異なる場合は、お一人様にひとつずつQRコードをお渡しください。(スクリーンショットした画面を送ると便利です。)
※スムーズな入場のため、事前にQRコードをスクリーンショット等で画面保存しておくことをおすすめします。
※チケットご購入後のキャンセル・変更・払い戻しはできません。
※日時指定予約とは異なりますので、事前に購入いただいていても、混雑状況によりお待ちいただく場合がありますのでご了承ください。
※2番入口のみからの入館となります。
※検温/手指消毒後、総合案内でチケットを購入せず、エレベーターで地下2階へ降りてください。企画展の入場口でQRコードを機械に読み取らせてください。
※読み取り後レシートが発行されますので、お取りください。
※レシートを係員に見せ、特製チケット(デカチケ)と引換えてください。
※特製チケット(デカチケ)は再入場の際に必要ですので、お帰りまで保管してください。
展示内容
展示は下記の6部から構成されます。
第1部 宇宙(そら)へあこがれて
1.富野由悠季を形作ったもの:幼少期~青年期の作品・資料および『鉄腕アトム』、『アルプスの少女ハイジ』関連資料
2.それでも生きていかねばならない:『海のトリトン』(1972年)、『勇者ライディーン』(1975-76年)、『無敵超人ザンボット3』(1977-78年)

富野由悠季 宇宙船コックピット 1954年10月27日 個人蔵 ©オフィス アイ

『海のトリトン』 ©手塚プロダクション・東北新社
第2部 人は変わってゆくのか?
1.君は生き残ることができるか:『機動戦士ガンダム』(1979-80年)
2.コスモスに君と:『伝説巨神イデオン』(1980-81年)

『機動戦士ガンダム』
安彦良和 原画 『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』 1982年 ©創通・サンライズ

『伝説巨神イデオン』 ©サンライズ
第3部 空と大地の間で逞しく
1.命をかけて生きてます-活劇とエンターテインメント:『無敵鋼人ダイターン3』(1978-79年)、『戦闘メカ ザブングル』(1982-83年)、『OVERMAN キングゲイナー』(2002-03年)
2.歴史もの、名作もの、時代もの-人間ドラマはジャンルを超えて:『ラ・セーヌの星』(1975年)、『しあわせの王子』(1974年)、『闇夜の時代劇 正体を見る』(1995年)

『戦闘メカ ザブングル』 ©創通・サンライズ

『OVERMAN キングゲイナー』
吉田健一 キングゲイナー 設定ラフ ©SUNRISE・BV・WOWOW
第4部 魂の安息の地は何処に?
1.ファンタジー-バイストン・ウェル・ストーリー:『聖戦士ダンバイン』(1983-84年)、『ガーゼィの翼』(1996-97年)、『リーンの翼』(2005-06年)
2.スペースオペラ-ペンタゴナ・ワールド:『重戦機エルガイム』(1984-85年)

『聖戦士ダンバイン』 ©創通・サンライズ
富野由悠季 イメージラフ バイストン・ウェルの奇観シリーズ 1982年9月29日

『重戦機エルガイム』 ©創通・サンライズ
第5部 刻の涙、流れゆくその先へ
1.シャアの「逆襲」は成ったか?-『ガンダム』のシリーズ化と❝ニュータイプ❞の結末:『機動戦士Zガンダム』(1985-86年)、『機動戦士ガンダムZZ』(1986-87年)、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)
2.家族と戦争:『機動戦士ガンダムF91』(1991年)、『機動戦士Vガンダム』(1993-94年)、『ブレンパワード』(1998年)

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
富野由悠季 イメージボード アナハイム月面部 1987年4月7日 ©創通・サンライズ

『機動戦士Vガンダム』
富野由悠季 イメージボード ©創通・サンライズ
第6部 大地への帰還
1.刻は前に進むのか?:『∀ガンダム』(1999-2000年)、『リング・オブ・ガンダム』(2009年)
2.君の目で確かめろ!:『Gのレコンギスタ』(2014-15年)

『∀ガンダム』 ©創通・サンライズ

『Gのレコンギスタ』 ©創通・サンライズ