古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ
本展概要
「史上最強の国家」と言われる古代ローマ帝国は皇帝アウグストゥスによって創建されました。
この展覧会は、アウグストゥス帝の時代を中心に、帝国の誕生から繁栄の極みまでを、壁画・彫刻・工芸など約110点の壮麗な作品によってふり返る、かつてない規模と充実した内容のローマ帝国展です。
ローマの偉人たちの勇壮な彫像、ポンペイの住宅を飾る豪華な壁画、そして貴重な宝飾品など、イタリア珠玉のコレクションから選りすぐった名品ばかり。また、最先端のコンピュータ・グラフィックス技術を駆使して、ポンペイの邸宅の遺構をリアリティあふれる映像で復元します。
ローマ帝国の富の数々が2000年の時を越えて青森にやってきます。
古代ローマ帝国とは?
古代ローマ帝国は、アウグストゥスが実権を握った紀元前27年から約300年にわたり繁栄を誇った帝国です。支配領域は、イタリア半島を中心とする地中海沿岸地帯全域にわたり、98年に帝位についたトラヤヌス帝の時代には、ほぼヨーロッパ全土にまで拡張しました。人類史上、比類ない長さと広さを誇った古代ローマ帝国の栄光は、強大な軍事力とともに、近代都市をも凌ぐほどに高度に整備された生活基盤や、劇場や公共浴場等を楽しむことのできる快適な都市生活といった巧みな平和政策にもよっていました。1世紀末に始まる五賢帝の時代は、ある歴史家によって「人類史上最も幸福な時代」と評されています。
この展覧会は、紀元前27年から後14年まで続いた初代皇帝アウグストゥスの時代を中心としながら、紀元前3世紀から紀元後3世紀までの作品で構成されています。
開催概要
名称
古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ
会期
2010年4月10日 (土) – 2010年6月13日 (日)
休館日
会期中無休 (開催日数:65日間)
会場
青森県立美術館 企画展示室
開館時間
4月10日 – 5月31日
9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
6月1日 – 6月13日
9:00 – 18:00 (入館は17:30まで)
観覧料
ローマ展
一般 1200 (1000) 円
高大生 700 (600) 円
小中生 300 (200) 円
本展+常設展
一般 1500 (1200) 円
高大生 900 (800) 円
小中生 350 (250) 円
※( ) 内は前売および20名以上の団体料金
※心身に障がいがある方と付添者1名は無料
※小・中・特別支援学校の児童生徒及び引率者が、学校教育活動として観覧する場合は、常設展に準じて無料
主催
古代ローマ帝国の遺産展実行委員会 (青森県立美術館、青森放送、東奥日報社)
後援
外務省、文化庁、イタリア大使館、青森県教育委員会、岩手県教育委員会、秋田県教育委員会、青森県市長会、青森県町村会、NHK青森放送局、エフエム青森、青森ケーブルテレビ
特別協賛
住友金属鉱山
協賛
日本写真印刷
協力
アリタリア-イタリア航空、日本貨物航空
学術協力
東京大学ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査団
映像協力
凸版印刷
展示協力
テクニカル、今木地製作所
お問い合わせ先
古代ローマ帝国の遺産展実行委員会事務局(青森県立美術館内)
青森県立美術館
〒038-0021 青森市安田字近野185
Tel 017-783-3000 / 017-783-5241
FAX 017-783-5244
チケット販売
前売券発売所
チケットぴあ (サークルKサンクス、ファミリーマート等 [Pコード764 – 002、764 – 003] ) 、ローソンチケット (Lコード25498) 、サンロード青森、イトーヨーカドー青森店・弘前店、さくら野百貨店青森店・弘前店・八戸店、三春屋、中三青森本店・弘前店、成田本店しんまち店Pax、紀伊國屋書店弘前店、県庁生協・青森県民生協、弘大生協、青森市勤労者互助会、青森市文化会館、青森県立美術館ミュージアムショップ
※2010年1月30日 (土) より4月9日 (金) まで販売
展示内容
展示概要 (全出品点数 111点)
第1章 「帝国の誕生」 (作品数 7点)
ローマ帝国を築き継承していった偉人たちの肖像彫刻を通して、帝国創建前後の大きな変革の時代を概観します。
第2章 「アウグストゥスの帝国とその機構」 (作品数 30点)
強大な実権を握った初代皇帝アウグストゥスは、ローマ建国の輝かしい歴史を顕彰するモニュメントを次々と造り出し、市民の心に、都ローマに生きることの誇りと希望を芽生えさせます。本章では、ローマの歴史や宗教にまつわるさまざまな作品から、帝国全土に平和をもたらしたアウグストゥスの統治の仕組みを探ります。
第3章「帝国の富」 (作品数 74点)
「人類がもっとも幸福だった時代」とも言われる古代ローマにおいて、人々はどのような暮らしを営んでいたのでしょうか。ローマ人のリゾート地として栄えたナポリ近郊の町、ポンペイ。紀元後79年のヴェスヴィオ山の噴火によって火山灰に埋もれたこのポンペイの有名な遺跡からは、平和を謳歌し、快楽を享受する人々の様子がいきいきと浮かび上がります。華やかな壁画や宝飾品、堅固な社会基盤を髣髴とさせる水道、暖房設備といった展示品の数々は、私たちに巨大な帝国の富とそこに生きた人々の暮らしの驚くべき豊かさを伝えてくれます。
みどころ
1 高さ2メートル、重さ3トン大理石のアウグストゥス《皇帝坐像》
ナポリ国立考古学博物館から借用した本展の主役、アウグストゥス帝の肖像彫刻と考えられている大理石の《皇帝坐像》です。高さ2.15m、重さは約3トンにのぼります。長い内乱で荒廃したローマの町を、さまざまな造営事業によって都にふさわしい壮麗な姿に変貌させたアウグストゥス。「煉瓦の街であった首都ローマを受けついで、大理石の都を残した」と自負したと語られています。帝国を統治する者としての威厳を伝える勇壮な彫刻です。
2 世界遺産・ポンペイの遺跡から「黄金の腕輪の家」
紀元後79年、帝国が絶頂にのぼり詰めるさなか、火山噴火の悲劇に見舞われたポンペイ。2000人の死者が出たと言われています。しかし、この悲劇は後世に生きる私たちに、比類なき文化遺産を提供することになりました。湿気を吸収する乾燥剤に似た成分の含まれた火山灰が、タイムカプセルとして機能したことで、劣化を最小限にとどめた状態で街全体が保存されたのでした。本展には世界遺産に指定されているこのポンペイの遺跡から、「黄金の腕輪の家」と呼ばれる個人の邸宅で出土した、居間を飾る壁画と食堂に設置されていたモザイクの噴水を展示します。また映像室では、この邸宅の在りし日の姿を、最先端のコンピュータ・グラフィックスで復元した映像が放映されます。これらの展示を通じて、現代人もうらやむほど豊かなローマ市民の暮らしぶりが浮かび上がるでしょう。
3 特別出品 《アレッツォのミネルウァ》
「日本におけるイタリア」年であった2009年、本展東京会場の開幕に合わせた、イタリア共和国大統領ジョルジョ・ナポリターノ閣下の来日を記念して、出展が決まった作品です。16世紀、イタリア中部トスカーナ州のアレッツォで出土したブロンズ像で、出土してまもなく、フィレンツェのウフィツィ美術館のコレクションを築いたメディチ家の(コジモ一世の)コレクションに入りました。古代のブロンズとして広く知られていたこの像ですが、2000年から8年がかりで修復が行われ、2008年にアレッツォで公開されたときは、この名高い像を一目見ようと、ヨーロッパ中から美術愛好者が押し寄せたといわれています。今回は、修復後、イタリア国外での初めての公開となります。ミネルウァは古代ギリシャにおいてはアテナとよばれた戦争の女神です。このブロンズ像はギリシャ彫刻を模倣しながらイタリア人彫刻家が制作したと推測され、ローマにおけるギリシャ美術の大きな影響を示す作品です。