青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来 AOMORI EARTH2019: AGROTOPIA –WHEN LIFE BECOMES ART THROUGH LOCAL AGRICULTURE

2019年10月5日(土) ━ 12月1日(日)

企画展 終了
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青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来 AOMORI EARTH2019: AGROTOPIA –WHEN LIFE BECOMES ART THROUGH LOCAL AGRICULTURE

青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来 AOMORI EARTH2019: AGROTOPIA –WHEN LIFE BECOMES ART THROUGH LOCAL AGRICULTURE

青森の大地(EARTH)に根ざしたアート(ART)の可能性を探究するシリーズ企画「青森EARTH」。今回のテーマは「農業」。地域の食や社会を支える農業をヒントに、人が生きる力を養う術(アート)として芸術を紹介する展覧会「いのち耕す場所」として開催します。
三方を海に囲まれ、奥羽山脈が中央を二分する青森。ここで人々は厳しくも豊かな大地をひたむきに耕し、固有の技術や農作物を得ることをとおして、今日まで互いの「いのち」をつないできました。本展はそんな青森の「いのち耕す」農業にまつわる章構成のもと、農業の現場を取材して制作された現代アーティストの新作を中心に、近代の芸術家の作品、青森の子ども達の版画作品、農具や「農の思想家」安藤昌益らの仕事をジャンル横断的に紹介します。
本展において農業と融けあう芸術は、人と自然を等しく活かす術(アート)となり、それらを展示する美術館は地域に根ざした「いのち耕す場所」として生まれなおすことになるでしょう。様々な危機に揺れる今日の世界で、本展が地域からアートの可能性を広げるための視座となれば幸いです。

展示の見どころ

1 農業とのコラボレーションから見えてくる、現代アートの「いま」
地域の芸術祭をはじめ今日の日本社会の中で現代アートはその存在感を強めていますが、一方で「現代アートって何だろう?」という根強い疑問もあります。そんな曖昧模糊とした「現代アート」に私たちの生や社会を支える農業から迫ること。そのことはアートのより一層深い理解につながるのではないでしょうか。地域社会の礎たる農業の現場にふれ、「アメニモマケズ」宮沢賢治のように思い悩む、国内外の気鋭の現代アーティストの作品をとおして、地域と現代アートの「いま」を見つめる本展。それは私たち一人ひとりの現代アート観を更新し、地域から社会をよりよく見つめるための視座を得る絶好の機会です。

雨宮庸介による青森のりんご栽培取材時の様子(2018)

雨宮庸介による青森のりんご栽培取材時の様子(2018)

2 田畑としての美術館
近代に成立し、様々な美術作品を収集展示してきた美術館。そんな美術館に本展をとおして、芸術作品とともに農具、肥料、作物の種子等、様々な農業関係資料が並びます。そうして農業と芸術の限りなく曖昧な境目から、人間が生きるための営みの核を探り、まだ見ぬアートとして提示する。そんな田畑としての美術館は、古く新しいアートの姿を芸術として生産する「いのち耕す場所」に生まれ変わることになります。

ジャン=フランソワ・ミレー 《落ち穂拾い(第二版)》1855 紙・エッチング 山梨県立美術館蔵

ジャン=フランソワ・ミレー 《落ち穂拾い(第二版)》1855 紙・エッチング 山梨県立美術館蔵

3 人は誰もが芸術家であり農夫である
20世紀を代表する芸術家ヨーゼフ・ボイスはかつて「人は誰もが芸術家である」と言いました。人間の生の全体性の中に芸術家を位置づけなおすボイスの発言は、本展理解のための重要な補助線の1つです。そしてこうしたボイスともつながるような実践を試みた先人たちとして、青森ゆかりの安藤昌益(1703~62)、青森出身の江渡狄嶺(1880~1944)がいます。両者はともに生業としての農業を見つめなおすことから、独自の哲学体系を築いた郷土の偉才たちです。そんな仕事をアートと呼ばずに何をアートとすべきでしょうか。本展では現代アーティストの仕事とともにそうした郷土の「農の思想家たち」の仕事を紹介することで、芸術を生の営みとして位置づけなおすものです。

《円角農想会図》月舘金治 『狄嶺研究の会第二集 農乗嘱文 農乗曼荼羅』(1977)から引用

《円角農想会図》月舘金治 『狄嶺研究の会第二集 農乗嘱文 農乗曼荼羅』(1977)から引用

開催概要

会期

2019年10月5日(土)-12月1日(日)

休館日

10月15日(火)、28日(月)、11月11日(月)、25日(月)

開館時間

9:30 - 17:00 *入館は閉館の30分前まで

観覧料

一般1,500円(1,300円)、高大生1,000円(800円)、小中学生無料

※( )内は前売券及び20名以上の団体料金
※障がい者手帳をご提示の方とその付添者1名は無料

主催

青森EARTH2019展実行委員会(青森テレビ、青森県観光連盟、青森県立美術館)

協力

安藤昌益資料館、青い森鉄道、JR東日本青森商業開発

後援

NHK青森放送局、青森ケーブルテレビ、八戸テレビ放送、エフエム青森、東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社、北鹿新聞社、青森県教育委員会、八戸市教育委員会、五所川原市教育委員会

お問合せ

〒038-0021 青森市安田字近野185
青森EARTH2019展実行委員会事務局(青森県立美術館内)
TEL 017-783-3000  FAX 017-783-5244

チケット販売

前売券発売所

ローソンチケット(Lコード21624)、セブンチケット、ポみっと!:8月31日(土)〜10月4日(金)
県内下記プレイガイド:8月29日(木)〜10月4日(金)
青森市:サンロード青森、成田本店しんまち店、さくら野百貨店青森本店、県民生協11店舗、県庁生協(県庁北棟1階、県庁東棟1階)、はまなす会館(青森市勤労者互助会)、青森県観光物産館「アスパム」1階インフォメーション、リンクステーションホール青森、マエダガーラモール店、青森県立美術館ミュージアムショップ、青森県立美術館1階総合案内
弘前市:さくら野百貨店弘前店、弘前大学生活協同組合、中三弘前店、ヒロロ
五所川原市:ELMの街
八戸市:さくら野百貨店八戸店、中合三春屋店、ラピア、八戸ポータルミュージアムはっち
むつ市:マエダ本店

展示内容

※セクションタイトル等は変更の場合がございます。

セクション1 ひと玉のりんごから

青森のりんご栽培取材をもとに「普遍的な林檎」を育てる、雨宮庸介による壮大な作品展開を紹介します。
参加アーティスト:雨宮庸介(アーティスト)

雨宮庸介《スワンソングAのために〈人生最終作のための習作〉より「林檎の彫刻(knowledge)」》2018
無発泡ウレタンに油彩・木
サイズ可変
Image courtesy of the artist
※参考画像

セクション2 土と心とを耕しつつ -「農民芸術」いまむかし

東北の詩人・宮沢賢治や青森出身の思想家・江渡狄嶺の農業と芸術を一致させる「農民芸術」的思想をヒントに思索と耕作、制作をつなげ、地域社会や農業との交わりから生まれる「アート」の過去と未来を考える場をつくります。
参加アーティスト:江渡狄嶺(青森出身の近代思想家)、ジョン・ラスキン(社会思想家/美術評論家)、ジャン=フランソワ・ミレー(画家)、常田健(画家/農民)、ザ・ユージーン・スタジオ(アーティスト)、岩名泰岳(画家)、青森の農具

ジャン=フランソワ・ミレー《耕す人》1856
紙・エッチング
山梨県立美術館蔵

常田健《ひるね》1939
麻布・油彩
常田健 土蔵のアトリエ美術館蔵

岩名泰岳《村の講》2017
カンヴァス・油彩 作家蔵
協力:タグチファインアート

セクション3 透きとおる農地で

青森と世界の農地の「いま」を取材したアーティストの作品を紹介します。
参加アーティスト:リ・ビンユアン(アーティスト)、丹羽良徳(アーティスト)

リ・ビンユアン《Freedom Farming》2014
HDヴィデオ、土地証明書
Image courtesy of the artist

丹羽良徳《土地所有権に催眠をかける》2019
HDヴィデオ
Image courtesy of the artist

セクション4 共に生きることの先へ

青森の子どもたちが土地の開拓や農業をテーマに集団で制作した版画作品とともに、他者との協働をテーマにした現代アーティストの作品を紹介。農業における集団性をヒントに、これからの社会における協働の可能性について考察する場をつくります。
参加アーティスト:青森の教育版画、田中功起(アーティスト)

十和田市立南小学校5年生《赤沼部落のりんご園》1978
紙・木版
五所川原市教育委員会蔵

田中功起《ひとつの陶器を五人の陶芸家が作る(沈黙による試み)》2013
HDヴィデオ、陶器
東京国立近代美術館蔵
Image courtesy of the artist

セクション5 いのちの根、満ちる大地

青森ゆかりの思想家にして医師・安藤昌益の米にまつわる思索を人間と自然との新しい関係の結び方を考えるヒントとして位置づけ、それらをもとに芸術の未来を考える場をつくります。
参加アーティスト:安藤昌益(青森ゆかりの近世思想家)、オル太(アーティストコレクティブ)、久保寛子(アーティスト)、塚本悦雄(彫刻家)、浅野友理子(画家)、大小島真木(画家)+アグロス・アートプロジェクト、三原聡一郎(アーティスト)

オル太《耕す家》2019
ミクストメディア
Image courtesy of the artist
※参考画像

久保寛子《現代農耕文化の仮面》2013(一部2019)
ミクストメディア
courtesy of the artist

浅野友理子《焚き火までの眠り》2019
パネルに和紙・油彩、岩絵の具、水干絵具
courtesy of the artist

大小島真木+アグロス・アートプロジェクト《明日の収穫》2017-18
帆布、アクリル絵の具、米絵の具、藍染料、綿布、糸
courtesy of the artists
撮影:小山田邦哉

関連企画

1 オープニングパフォーマンス

日時:10月5日(土)13:00~13:45(予定)
出演:オル太
集合:エントランスギャラリー
料金無料・申込不要

2 連続講座「美術館堆肥化計画」【青森県立美術館サポートシップ倶楽部共催事業】

農業にまつわる思想や社会実践をヒントに、美術館や大地に根ざしたアートの可能性を皆で考えるための連続講座企画趣旨や講師プロフィール等については下記「配布資料」をご参照ください。

 

集合:エントランスギャラリー

料金無料・申込不要。単発で参加可能

 

第1講「落穂ひろい ー安藤昌益ことはじめ」
講師=石渡博明(安藤昌益の会事務局長)
2019年11月16日(土)10:00-12:00台風の影響で延期になった10月13日の回です。

 

第2講「腐植の自由 ー農作業が培う自由のかたち」
講師=東千茅(農耕者/雑誌『つち式』主宰)、森元斎(哲学者)
2019年11月16日(土)13:30-16:30

 

第3講「作物は語る ー昌益村の営みについて」
講師=山内輝雄(百姓/「昌益村」村長)
2019年11月17日(日)11:00-12:00

 

第4講「安藤昌益勉強会in青森県美」
講師=安藤昌益勉強会(片岡龍(東アジア思想史家)、木村真喜子(安藤昌益を世界に発信する会)、山内明美、日中韓の若者らによる安藤昌益についての無境界勉強会)
2019年11月17日(日)13:30-16:30

 

第5講「ミミズの径行き ー飛び地のヴィジオネールⅡ」
講師=オル太(アーティストコレクティブ/企画展参加作家)、椹木野衣(美術批評家)、山内明美(歴史社会学者)、豊島重之(演出家/故人)
2019年11月30日(土)13:30-16:30

3 担当学芸員によるギャラリートーク

日時:10月6日(日)、12月1日(日)各日14:00~15:00
講師:奥脇嵩大(青森県立美術館学芸員/本展担当)
集合:エントランスギャラリー 料金無料・申込不要 *要企画展チケット

4 展覧会公式ブック、グッズ

ミュージアムショップでは、展覧会公式図録(2,500円+税/11月初旬発行予定。ミュージアムショップにて予約可)の他、アーティスト関連グッズ、展覧会関連書籍等を販売します。

関連ファイル

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