ボックスアート ~プラモデルパッケージ原画と戦後の日本文化

2008年9月20日(土) ━ 11月3日(月)

企画展 終了
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ボックスアート ~プラモデルパッケージ原画と戦後の日本文化

ボックスアート ~プラモデルパッケージ原画と戦後の日本文化

AFV、飛行機、船、スーパーカーからSF、ロボットまで…、僕らの夢と憧れをのせて、日本のプラモデルは今年誕生50年。

創造の楽しみを与えてくれるプラモデル。戦車、飛行機、船、ロボット…、夢や憧れを形にして所有できるプラモデルは、1960年代の高度成長期に多くの子どもたちの支持を集め、その後工業製品としての進化をみせながら、今年日本で誕生50年を迎えました。ワクワクしながらパーツを組み立て形にしていく喜びは、プラモデルというホビーならではの楽しみと言えましょう。
そのキットの「顔」となるのが、ボックスアート (箱絵) です。消費者の購買欲を高めることを目的に描かれたボックスアートは、パッケージの装飾という役割を大きく超え、工作の過程で完成形を想起するための「資料」として、あるいはプラモデルを手にして空想の世界に遊ぶための物語を提供する「素材」として、人気を博します。
初期プラモデルのボックスアートは、戦時中に流布した視覚イメージを受け継ぎ、迫力ある劇的な様子が描かれ、多くの人々を魅了しましたが、特撮映画や劇画、アニメと並んで、そこには戦後の大衆文化の「主流」が示されています。そして、プラモデルを受容する層の意識の変化とともに様式を大きく展開させるなど、戦後の社会性や人々の精神史を検証する上でも注目すべき絵画と言えます。
本展は、戦時下の視覚イメージと、学校教材として活用された木製模型という2つのジャンルが、戦後どのような経緯でプラモデルという製品になっていったのかを様々な資料によって紹介するとともに、プラモデル草創期から現在に至るまでに送り出された時代を代表するプラモデルのボックスアート約160点の原画を展示することで、プラモデルと日本文化の関係性を多角的に考察する美術展です。あわせて懐かしいプラモデルの数々や、国内を代表するモデラーによるジオラマ作品も展示するなど、プラモデルの歴史を総体的に振りかえります。

 

プレスリリース (展覧会の見所)
※8月16日に誤字等を修正した最新版をアップしました。

開催概要

名称

ATV開局40周年記念「ボックスアート ~プラモデルパッケージ原画と戦後の日本文化」
Box-art of plastic models and Japan’s postwar culture

会期

2008年9月20日 (土) – 11月3日 (月・祝)

休館日

9月22日 (月)、10月14日 (火)、10月27日 (月)

開館時間

9:30–17:00 (入館は16:30まで)

※9月20日 – 9月30日は9:00 –18:00 (入館は17:30まで)

会場

青森県立美術館企画展示室

主催

株式会社青森テレビ

共催

青森県立美術館

後援

青森県教育委員会、青森市教育委員会、東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社、河北新報青森総局、NHK青森放送局、エフエム青森、青森ケーブルテレビ

協力

株式会社タミヤ、株式会社ハセガワ、株式会社アオシマ文化教材社、株式会社バンダイ、日本プラモデル工業協同組合、ロックウェーブ、有限会社工藤模型

特別協賛

スパンアートギャラリー

協賛

青森オフセット印刷株式会社、株式会社ホンダ四輪販売北・東北、トヨタカローラ青森株式会社、H.F.G (h.uematsu)

企画

工藤健志 (青森県立美術館学芸員)、村上敬 (静岡県立美術館学芸員)

企画協力

モマ・コンテンポラリー

観覧料

ボックスアート展

一般 1,300円 (1,000円)
大学生・高校生 800円 (500円)
中学生・小学生 500円 (300円)

 

ボックスアート展+常設展

一般 1,700円 (1,400円)
大学生・高校生 1,100円 (800円)
中学生・小学生 600円 (400円)

※( ) 内は前売り及び20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料 (入館の際に証明できるものをご提示ください。)
※JAF会員証をお持ちの方は当日券購入時に提示すると、会員特別割引が適用になります。

お問い合わせ先

青森テレビ営業局営業推進部

030-8686 青森市松森1-4-8 Tel 017-741-2238

 

青森県立美術館

030-0021 青森市安田字近野185 Tel 017-783-3000 Fax 017-783-5244

チケット販売

前売券販売期間

2008年8月19日 – 9月19日

前売券販売所

県内サークルKサンクス、JTB東北・トラベランド青森県内各店、サンロード青森、さくら野百貨店 (青森店・弘前店・八戸店)、成田本店しんまち店BF、ELMインフォメーション、日弘楽器、三春屋、ラピア長崎屋、むつ松木屋、県内模型店等 (青森市:青森ワールド模型、工藤模型、サカタ模型 弘前市:ニシムラ模型 八戸市:ミウラ電波模型 五所川原市:模型クラブ 三沢市:サルビア むつ市:旅館とびない本館 おいらせ町:コムカイ模型)、青森県立美術館ミュージアムショップ

展示内容

タミヤ 1/35「ドイツ パンサータンク」 1961年 画:小松崎茂

タミヤ「スーパーカー」 1962年 画:小松崎茂

アオシマ「アトランジャー 合体マシン8号 ターゲットキャリア」 1977年 画:根本アートセンター

タミヤ 1/24「ランボルギーニ・カウンタック LP500S」 1978年 画:島村英二

ハセガワ「日本戦艦 大和」 1962年 画:上田毅八郎

ハセガワ 1/48「F-104J スターファイター航空自衛隊」 2000年 画:小池繁夫

タミヤ 1/12「HONDA F-1」 1967年 画:川上恭弘

関連企画

※すべて参加無料ですが、展覧会チケットが必要となります。

シンポジウム:「ボックスアート展とは何か」

本展企画者が展覧会のコンセプトや見方についてお話しします。
パネラー:村上敬 (静岡県立美術館学芸員) 、工藤健志 (青森県立美術館学芸員)
モデレーター:中村光信 (モマ・コンテンポラリー)
日時:9月20日 (土) 10:00 – 11:00
会場:企画展示室A

ワークショップ:「ボックスアートの出来るまで」

ボックスアートはどのように生み出されるのか、第一線で活躍するイラストレーター開田裕治さんが、そのプロセスを解説します。その体験をもとに、君もボックスアートを描いてみよう!
講師:開田裕治 (イラストレーター)
日時:9月20日 (土) 13:30 – 17:00
申込方法:電話・Fax (※9月1日より青森県立美術館にて受付開始。先着順)
※中学生以下の参加者は保護者の付き添いが必要です。

講演会:「戦後日本文化とプラモデル」

世界中に多くのファンを持つ模型メーカー「タミヤ」の代表取締役会長である田宮俊作氏が、タミヤの歴史を振り返りつつ、星が2つ並んだ有名なロゴマークの誕生秘話や、『タミヤニュース』といった広報物、静岡ホビーショーの運営などについてお話しします。
講師:田宮俊作 (株式会社タミヤ代表取締役会長)
聞き手:工藤健志 (青森県立美術館学芸員)
日時:9月21日 (日) 14:00 – 15:30
会場:美術館シアター (200席・当日先着順)

講演会:「プラモデル黎明期とハセガワ」

飛行機模型の雄として知られる模型メーカー「ハセガワ」の常務取締役で、模型史研究家でもある長谷川勝人氏が、ソリッドモデル (木製模型) からプラモデルへと転換していく1950-60年代の模型史の歩みを、様々な資料によって紹介します。
講師:長谷川勝人 (株式会社ハセガワ常務取締役)
日時:10月5日 (日) 14:00 – 15:30
会場:美術館シアター (200席・当日先着順)

講演会:「良質なボックスアートに出逢えた少年たちは幸せである」

1970-80年代のバンダイ製プラモデルのパッケージデザインの多くを担当し、さらにはバンダイの広報誌『模型情報』の編集長として、ユーザーとメーカーの橋渡し的存在であった加藤智氏が、ボックスアートの魅力を熱くお話しします。
講師:加藤智 (元バンダイ「模型情報」編集長、株式会社キャラアニ代表取締役社長)
10月19日 (日) 14:00 – 15:30
会場:美術館シアター (200席・当日先着順)

ワークショップ 「ダンガンレーサー青森カップ」

ダンガンレーサーを組み立ててレースをしよう。目指せ優勝! チャンピオンには豪華な景品も!!
講師:島脇秀樹 (プロモデラー)、横山一敬 (青森テレビ営業局局長)
日時:10月12日 (日) 13:30 – 16:30
会場:コミュニティギャラリーA
申込方法:電話・Fax (※9月1日より青森県立美術館にて受付開始。先着順)
※中学生以下の参加者は保護者の付き添いが必要です。

講演会:「<航研機>復元ものがたり」

昭和13年、航続距離の世界記録を樹立した「航研機」の開発には多くの青森県出身の技術者が関わっており、現在復元された機体は三沢航空科学館に展示されています。その復元の過程を、プロジェクトの中心メンバーであった大柳繁造氏が紹介します。
講師:大柳繁造 (青森県立三沢航空科学館館長)
日時:10月26日 (日) 14:00 – 15:30
会場:美術館シアター (200席・当日先着順)

講演会:「戦後日本のサブカルチャー 〜文化の本流ここにあり?」

漫画、アニメ、ゲームなどの日本文化は現在世界中に大きな影響を与えています。そうした戦後の大衆文化がどのように成立したのかを、政治、社会、思想といった様々な背景と関連させながら考察します。
講師:工藤健志 (青森県立美術館学芸員)
日時:11月2日 (日) 14:00 – 15:30
会場:美術館シアター (200席・当日先着順)

ギャラリートーク

展覧会の見どころを担当学芸員が分かりやすくお話しします。
日時:9月23日 (火・祝)、10月13日 (月・祝)、26日 (日)、11月3日 (月・祝) 各14:00 –
会場:展示室内 ※展覧会チケットが必要です。

併設企画 「発掘された小松崎茂 ~1970年代のパッケージ原画を中心に」

小松崎茂 (1915 – 2001) は戦後の日本文化に大きな影響を与えた画家兼イラストレーター です。小松崎の画風は、雑誌の挿絵やプラモデルのボックスアートによって、多くの人々の心の中に深く浸透しています。
小松崎は当初日本画家を志して堀田秀叢に師事しますが、やがて挿絵画家に転向、昭和14 (1939) 年に科学雑誌『機械化』の挿絵を手がけ、一躍人気を博します。そして、昭和23 (1948) 年に起こった絵物語ブームの際には「地球SOS」 (『冒険活劇文庫』) を発表し、山川惣治と並ぶ人気作家となりました。
一方、昭和36 (1961) 年にタミヤのプラモデル「パンサータンク」のボックスアートを手がけて以降、イマイの「サンダーバード」シリーズやバンダイのキャラクターモデルのパッケージイラストを担当、そのドラマチックな表現様式によって1960年 – 70年代のプラモデルブームを支えたのも小松崎でした。さらには「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「マジンガーZ」など子ども向け番組のイラストを数多く発表することで、番組そのものの人気が高まっていくなど、漫画、アニメ、特撮、SFといった現在隆盛を極める日本文化の基礎形成にも重要な役割を果たした作家と言えます。事実、激しい筆致と独特の色使いを持つ小松崎作品を、「昭和」という時代の象徴の一つとして捉えている人も多いのではないでしょうか。そうした小松崎のもとには多くの弟子が集まり、高荷義之や大西将美、上田信 (青森県出身) といった現在も活躍中の人気イラストレーターが、そこから育っていきました。
本展は、初期ボックスアートの様式を確立し、後のイラストレーターや戦後の大衆文化に大きな影響を与えた小松崎茂が1960年代後半から70年代にかけて数多く手がけたキャラクターイラストの仕事を、近年バンダイから発見された原画によって振りかえる「ボックスアート展」の併設企画です。小松崎はバンダイ模型 (当時) からの依頼で1971年から77年にかけて、サンダーバードシリーズの再販キットや、「仮面ライダー」から「ジャッカー電撃隊」までの特撮番組、「マジンガーZ」から「ダンガードA」までのアニメ番組プラモデル「マスコミ・シリーズ」のボックスアートを計200点ほど制作しましたが、本展ではその中から40点を厳選して展示いたします。

 

  • 特別協力:株式会社バンダイ、昭和ロマン館、株式会社トイズワークス
  • 企画協力:テクノプロ株式会社
  • 観覧料:観覧料はボックスアート展に含まれます

関連ファイル

ボックスアート ~プラモデルパッケージ原画と戦後の日本文化

「発掘された小松崎茂 ~1970年代のパッケージ原画を中心に」