アートは美しくなければならない 潘逸舟
青森県立美術館の支援団体「青森県立美術館サポートシップ倶楽部」との共催により、潘逸舟(はん・いしゅ)の個展を、「コレクション展 2024-2」内にて開催します。
1987 年中国・上海生まれの潘は、幼少期~思春期を青森で過ごし、現在は東京を拠点に活動するアーティストです。己の身体をベースにパフォーマンスや映像、写真、描画等の様々なメディアを用いて、社会と個人の間になりたつアイデンティティの動的なあり方について探求を続けています。本展では、潘が東北地方の海で自らを被写体に制作した最新の映像作品《波を耕す -日本海》(2024)とともに中高生の頃に手がけた油彩画を紹介します。油彩画のクラシカルに赤茶けた筆致の先で、波のまにまに無為な「耕し」を続ける潘の身体。ホワイトキューブから土の展示室を侵食する茶色の波。それらの全体は意図せぬ出会いにより分岐する潘のルーツの表象に留まらず、私たちが複雑で大きな流れの中にあってなお、踏みとどまって抗うための力能としての詩的/政治的形式を指し示すようです。アートは美しくなければならない。その言葉が含む多義性を噛みしめつつ、多くの方に展示を体験していただければ幸いです。
※本展タイトルは高校生の潘が青森で出会い最も影響を受け、現代美術を志す大きなきっかけとなったパフォーマンス・アーティストのマリーナ・アブラモヴィッチによる作品タイトル《Art must be beautiful…Artist must be beautiful…》(1975)を想起させる意図のもと付けられています。

潘逸舟
1987年中国・上海生まれ。9歳で来日し青森へ。弘前大学教育学部付属中学校、青森山田高校美術コースを卒業したのち上京し、2012年東京藝術大学大学院美術研究家先端芸術表現専攻を卒業。現在東京在住。
*主な国内での発表
2012年 個展「海の形」京都芸術センターギャラリー北
2017年 「この現実の向こうに」青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]
2020年 個展「いらっしゃいませようこそ」神戸アートビレッジセンター
2020年 「Thank You Memory -醸造から創造へ-」弘前れんが倉庫美術館
2021年 「りんご宇宙-Apple Cycle / Cosmic Seed」弘前れんが倉庫美術館、「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」東京都現代美術館、「ぎこちない会話への対応策 – 第三波フェミニズムの視点で」金沢21世紀美術館
2022年 「国際芸術祭あいち2022 Still Alive」愛知県美術館、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ」森美術館
2023年 「ホーム・スイート・ホーム」国立国際美術館、「イン・ビトウィーン」埼玉県立近代美術館
2024年 個展「波を耕す」ANOMALY(東京)
*主な海外での発表
2013年 「在地未来」何香凝美術館(中国・深圳)
2014年 「アジア・アナーキー・アライアンス」関渡美術館(台湾・台北)
2015年 「In the wake: Japanese photographers respond to 3/11」ボストン美術館、ジャパン・ソサエティ(アメリカ・ニューヨーク)
2016年 「Sights & Sounds: Highlights」ユダヤ美術館(ニューヨーク)
2017年 個展「The Drifting Thinker」MoCAパビリオン、上海当代美術館(中国・上海)
2023年 「How Far, How Close」Aranya Art Center(北京)
2024年 「The 11th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art」(オーストラリア・ブリスベン)
*主な受賞歴
2013年 「在地未来」何香凝美術館 新鋭賞
2014年 アジアン・カルチュラル・カウンシル グランティー
2020年 日産アートアワード2020 グランプリ
開催概要
会場
展示室I,J周辺(地下1階)
会期
2025年2/22(土)~4/13(日)
休館日
2025年2/25, 3/10,24
共催
青森県立美術サポートシップ倶楽部
チケット販売
一般 700(560)円 大学生 400(320)円 18歳未満および高校生 無料
※本料金で「コレクション展2024-2」もご覧いただけます。
※( )は団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
展示内容

潘逸舟《波を耕すー日本海 》(2024) シングルチャンネルビデオ ©︎HAN Ishu / courtesy of ANOMALY