コレクション展2022-3

2022年11月23日(水) ━ 2023年1月29日(日)

コレクション展 開催中
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コレクション展2022-3

コレクション展2022-3

第3期コレクション展では特別企画として、津軽地方を拠点に活動する画家・櫻庭利弘さくらば・としひろの展覧会を開催いたします。櫻庭の代表的なシリーズに加え、交流のあった豊島弘尚、常田健、工藤哲巳など青森県ゆかり作家もあわせて紹介し、櫻庭が生きてきた時代性を浮かび上がらせます。また、没後記念展示として没後50年の阿部合成、没後30年の小坂圭二、没後20年の成田亨の3人展も開催します。個性豊かな青森ゆかりの作家の表現をお楽しみください。

開催概要

会期

2022年11月23日(水・祝)~2023年1月29日(日)

休館日

2022年11月28日(月)、12月12日(月)、26日(月)~2023年1月1日(日)、10日(月)、23日(月)

ナイトミュージアム

2022年12月10日、24日、2023年1月14、28日

会場=地下1階、地下2階展示室

展示内容

展示室N+棟方志功展示室|棟方志功:ねぶたの原色、冬の白と黒。

青森市で生まれた棟方志功、本業の板画の他にも多岐にわたる彼の芸業げいごうを大きく二つに分けるとすれば、色の有る無しで語ることができます。板画は、白と黒絶対の対比こそがいのちであるとし、当初板画の彩色は足りないところを補う補助的なものでした。対して倭画や油絵は、評価対象となる板画から解放されたかのような伸びやかな筆致と鮮やかで華やかな色遣いが特徴として挙げられます。これは一見相反するような色彩ではありますが、青森市で生まれた棟方にとって、どちらも目に焼き付いてきた色彩ではないでしょうか。棟方は自身の色彩感覚について、「強烈きわまる染料で、黄、赤、青、紫の、さまざまな極端な原色を駆使して作るのです。このネプタの色、これこそ絶対まじりけのないわたくしの色彩でもあります。」※1 と語り、幼い頃に見たねぶたの強烈な原色が身についていると自伝で振り返っています。青森市はねぶたが終わると秋に向かい、紅葉が終わるとつらく長い冬がやってきます。一面の銀世界といえば綺麗ですが、暮らしている人々にとっては耐え忍ぶ季節です。大地が雪で覆われ空はどんよりと重く、街には葉の落ちた木々が黒く立ち並びます。そんな一年の半分近くにも及ぶ冬が明けると待ち望んでいた草木の芽吹く春がやってきます。極彩色の夏から色のなくなる冬、四季のはっきりと感じられる青森の風土は、棟方の芸業においても多大な影響を与えたことでしょう。

このたびの展示では、色の有る無しの観点から棟方作品をご覧いただきます。白と黒の絶対の対比が美しい板画や、無彩色でありながら彩りが感じられる華麗な板画、また、ねぶたの原色にも似た激しく華やかな色彩など、青森の四季折々の色彩が、棟方作品の中にも感じられるのではないでしょうか。

※1 棟方志功「幼少年時代」『板極道』中央公論社、1964、p.21

作品内容

棟方志功
鷲栖図
1971
倭画、彩色・紙
275.0×803.0cm
※画像転載不可

展示室O、P、Q、M、L、J|[特別企画] デモシカ先生の絵画道(みち): 櫻庭利弘の歩み

津軽地方を拠点に活動する画家で元小学校教員の櫻庭利弘は、1934(昭和9)年、青森県西津軽郡深浦町に生まれました。定年退職するまでの42年間に及んだ長い櫻庭の教員生活は、1953(昭和28)年、当時の車力しゃりき村(現つがる市)にあった車力小中学校に代用教員として職を得たことに始まります。戦後の教員不足の時代にあって、「先生にデモなるか」「先生にシカなれない」と、消極的な動機で教職に就いた代用教員たちは当時「デモシカ先生」と呼ばれました。櫻庭は近年、教師としての半生を『デモシカ先生回想記』(青森文芸出版)と題した3巻の本にまとめました。そこには櫻庭と教え子たちの心温まる日々のエピソードや、櫻庭自身の信念のある生き様がいきいきと綴られています。

櫻庭は小学校教員として勤務するかたわら独学で油彩画を学び、50年以上にわたり制作を続けてきた画家でもあります。日本海に面した小さな集落で過ごした幼少時代、美しく神秘的な海の光景に感性を育まれた櫻庭は、その長い画歴において、深浦の海の生物や轟川に沈む石、岩木川の流木など、津軽の自然に触発されながら、人間の内面に潜む生と死の相克を、力強く鮮やかな色彩のうねりと渦の中に表してきました。

櫻庭は教員を退職後、自らのアトリエ兼展示スペースとして、また人々が集う場として金木町に「私設櫻庭利弘美術館」を設立しています。この交流の場ができる以前から、津軽を拠点とする櫻庭のもとには、工藤哲巳(1935-1990)、 田澤茂(1925-2014)など、青森に縁ある同世代の美術家たちや、撮影で青森に通った写真家の北井一夫(1944-)といった、さまざまな芸術家たちが訪れていました。

この展覧会は、櫻庭の教員そして画家としての歩みを資料と作品で振り返るPART1と、彼が交流を持った芸術家たちを紹介するPART2の二部構成となっています。津軽の地に根ざし、絵画の道を貫いてきた櫻庭利弘の歩みと彼が生きてきた時代を見つめることで、私たちの「今」もあらたな姿で浮かび上がってくることでしょう。

 

協力: 私設櫻庭利弘美術館、深浦町美術館

櫻庭利弘
不漁の浜
1975
油彩・キャンバス
53×45cm
私設櫻庭利弘美術館蔵
※画像転載不可

スケッチする櫻庭利弘

展示室C| [阿部合成没後50年] 真実と浪漫の系譜-阿部合成、小坂圭二、成田亨

今年、2022年は青森市浪岡出身の画家、阿部合成の没後50年に当たります。戦中に郷里の出征の情景を描いた『見送る人々』が戦時体制にそぐわないものとして批判され、自らも出征して過酷なシベリア抑留を経験した阿部合成は、日本社会との軋轢に苦しみつつ、苦悩とともに生きる人々への共感にあふれた作品を残しました。また、若き日に合成と出会い、その薫陶をうけたのが彫刻家の小坂圭二と、彫刻家・特撮美術監督の成田亨です。彼らの作品にみられる芸術への真摯な姿勢と、自由で想像力に富んだ造形は、師の阿部合成からうけついだものといえるでしょう。今回の展示ではそれぞれ没後30年、没後20年をむかえた彼らの作品を阿部合成の代表的な作品と共に展示。3人の芸術家の魂に宿された真実と浪漫の系譜を軸に紹介します。

阿部合成
自画像
1960
油彩・板
120.2×64.4cm
※画像転載不可

小坂圭二
ガダルカナルの落日
1979
ブロンズ
120.0×60.0×40.0cm
※画像転載不可

通年展示 展示室F,G| 奈良美智:1990年代を中心に

青森県出身の美術作家・奈良美智は、挑むような目つきの女の子の絵や、ユーモラスでどこか哀しげな犬の立体作品で、これまで国内外の多くの人の心をとらえてきました。

現在170点を超え、世界最大規模を誇る当館収蔵の奈良美智作品の多くは、美術館が開館する8年前の1998年に収集されています。その頃ドイツに留学していた奈良は、制作の拠点をケルンに置いていました。欧米での発表の機会が増え始め、個人コレクターの間でも人気が高かった奈良の作品は、当時既に散逸が危ぶまれていました。郷土が輩出した新しい世代のアートの旗手として奈良を注視していた青森県は、その年、1980年代後半の初期作品から当時の最新作にいたるまで124点の作品を一度に収集しました。本展はその年の収集作品を多数含む奈良の1990年代のドイツ時代の作品を中心にしつつ、作家から寄託されている2000年代以降の作品も合わせて展示いたします。

奈良は2000年にドイツから帰国。翌年以降、初の大規模な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」が横浜美術館を皮切りに、広島や弘前(現:弘前れんが倉庫美術館)など全国5か所で開催されると、奈良美智の名前は日本国内に広く知られるようになります。

通年展示 アレコホール| マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台背景画

青森県立美術館の中心には、縦・横21m、高さ19m、四層吹き抜けの大空間が設けられています。アレコホールと呼ばれるこの大きなホールには、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール(1887-1985)によるバレエ「アレコ」の背景画が展示されています。青森県は1994年に、全4作品から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。

これらの背景画は、帝政ロシア(現ベラルーシ)のユダヤ人の家庭に生まれたシャガールが、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため亡命していたアメリカで「バレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)」の依頼で制作したものです。大画面の中に「色彩の魔術師」と呼ばれるシャガールの本領が遺憾無く発揮された舞台美術の傑作です。

残る第3幕の背景画《ある夏の午後の麦畑》は、アメリカのフィラデルフィア美術館に収蔵され、長らく同館の西側エントランスに展示されていましたが、このたび同館の改修工事に伴い、4年間の長期借用が認められることになりました。青森県立美術館での「アレコ」背景画全4作品の展示は、2006年の開館記念で開催された「シャガール 『アレコ』とアメリカ亡命時代」展以来です。背景画全4作品が揃ったこの貴重な機会に、あらためてシャガールの舞台美術作品の魅力をお楽しみください。

 

★フィラデルフィア美術館所蔵の第3幕は、長期の借用となるため、函館税関からアレコホールを保税展示場とする許可をいただいて展示しています。

アレコホールへのご入場には、コレクション展もしくは企画展の入場チケットが必要です。

※展示室A、Bでは青森県郷土館巡回展「あおもり旅ものがたり」もご観覧いただけます。(入場無料)