「ミナ ペルホネンと青森県立美術館の制服」

2011年9月24日

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「ミナ ペルホネンと青森県立美術館の制服」

現在当館では美術館の南側の施設のにぎわい創出をねらいとしたthe south side プロジェクトを実施中です。今日から3回にわけて、このプロジェクトのことをお話ししていきたいと思います。
 1回目の今日は、ワークショップ前の廊下にある「ミナ ペルホネンと青森県立美術館の制服」の展示コーナーについてです。
 青森県立美術館がファッションブランド、ミナ ペルホネンのデザイナー・皆川明さんにフロアスタッフの制服を依頼したのは2009年のことです。初めて「制服」というジャンルに挑戦してくれた皆川さんは、かたいイメージのある制服の印象を刷新するようなデザインを考えてくれました。
 美術館のサインや建物の魅力を深く理解する皆川さん。サインマークから少しグレーがかった水色を、館内の土の空間からブラウンを取り出し、ファブリックのカラーとしました。また刺繍には、「ミナ ペルホネン」の初期の代表的な柄である「タンバリン」を使って「ミナ」らしさを出しています。そうしてできた生地を贅沢に用いて、あたたかで、ゆったりとして品格あるデザインに仕立てました。
 そのどこか保母さんの上っ張りを思わせる親しみやすさとやわらかさは、これまでの「制服」の概念を大きく変えるものでした。
 来館者の方々から、そして着用するスタッフから愛されて、今年で三年目をむかえるこの制服ですが、使われ続けることで、少しずつ生地にほつれが出てきました。
 その修繕について皆川さんにご相談したところ、大胆なリメイクプロジェクトを提案してくれました。その手法は「パッチワーク」。
 皆川さんはこのプロジェクトについて、こんな言葉を寄せています。

「日本人は昔から衣類は何度も直して着続けてきました。東北地方ではその中でこぎん刺しなどの刺し子の美しい文化も生まれ育んでこられました。物を大切に長く着続けることで一着一着の個性が生まれる、そのような日本の習慣に見習って今回の制服リメイクプロジェクトは生まれました。」

 皆川さんがこれまでに創りだしたさまざまなファブリックの端切れが、新たな生命を得て、美術館の制服に息づこうとしています。そしてそれはそのまま美術館の個性を形作る大事なものとなっていきます。
 「パッチワーク」の制服は、10月下旬の今和次郎展からスタッフが着用いたします。