青森県立美術館では、美術の歴史や作品の見方に関する知識を深め、
美術作品の鑑賞をより楽しむための講座として、一般の方を対象に「アート入門」を開催しています。
今年度の「アート入門」は、「エキシビション・アイズ-展覧会とあわせて楽しむ講演会-」をテーマに、
全10回のシリーズとして実施予定です。
4月29日(水・祝)に開催された第1回目の講座は、ウィーン展の関連講座。
予想を上回る大盛況で、200名以上の方々にご参加いただき、美術館のシアターは満席
となるほどでした。
講師は、山形大学教授の元木幸一先生。
「剥きかけのレモンと倒れたグラス ―静物画を読み解く―」をテーマに、
西洋の宗教画に見られるリアリズムへの要求が写実的な静物画へと行き着く過程を、
ときにユーモアを交えながら、そしてミステリアスかつスリリングにお話いただきました。
白いユリの花が「聖母マリアの純潔」を表す等、静物に与えられた象徴的意味という宗教的な要求
から生まれた「聖なる写実」に対し、「聖ヨハネの誕生」など宗教画の重要な場面における世俗的な
日常表現に見られる「俗なる写実」という位置づけの対比等が、スライドによって明らかにされてゆく
さまなどは、大変興味深かったです。
さっそくアンケートの内容に目を通すと……
:静物画の見方が変わりました。大変勉強になりました!!
:絵を「きれい」だけでなく、深く味わうことができるように思う。
絵を見る前に聞いてよかったです。
:歴史的背景や静物画誕生までの流れ、一枚の絵に色々な意味がこめられて
いていることがわかり大変おもしろかった。
:テーマ別にわかりやすく解説してくれて、それがとても良かった。
絵画芸術への見方が変わったように思う。
などなど、展覧会をこれからご覧になる方や、すでにご覧になった方からも大好評でした。
次回の「アート入門」は、6月28日(日)に、共催展 相田みつを全貌展
の関連講座として、「棟方志功と『書』」を演題に当館学芸員が解説を行います。
「アート入門」の全日程についても、近々お知らせする予定ですので、
皆さまのご参加をお待ちしております。