展覧会

「ボックスアート展」私のオススメ その1

2008年10月16日

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「ボックスアート展」私のオススメ その1

突然ですが、美術館スタッフによる「ボックスアート展」オススメの1点を紹介するコーナーがスタート!!
第1回はF1とセナ好きの経営管理課藤田さんです。

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美術館での勤務以来それまでのイメージ(あるいは偏見)が異なっていたことに気付きました。それは、ここが決して敷居の高い空間じゃないし、展示作品も専門知識がなくてもじっと見つめると、様々なことを感じられるということ。文字や言葉を越えた感性の世界がそこには広がっているのです。
今回の「ボックスアート展」は、そうした作品の楽しみ方がダイレクトに伝わる展覧会だと思います。展示された200点のプラモデルパッケージ原画からは、どんな方でも子どもの頃に夢中になった思い出を呼び覚ます作品がきっと見つかるはずです。
そうした中、私が紹介するのはタミヤ製1/20「マクラーレン・ホンダMP4/4」です。このプラモデルは、約60年の歴史を誇るF1GPの中で最も華のあるドライバー故アイルトン・セナに初めてタイトルをもたらしたマシンを立体化したもの。最終戦日本GPまでもつれ込んだ1988年のタイトル争いでは、スタートミスで絶望的とも言える後方に沈み込んだセナがその後、タイトル争いのライバルでありチームメートであるプロストを神業の走りで追い上げトップに立ちました。空からの映し出したトップに立った瞬間の映像は今でも最も美しいパッシングシーンの一つとして語り継がれております。敬虔なクリスチャンだったセナはタイトルを決めた鈴鹿のスプーンカーブに神を見たと後に語っています。
セナを最初にチャンピオンに輝かせたF1マシンで1988年初版のこのキット、その後約10年経って再販された時には、この原画のようにタバコ公告規制の関係でタバコのロゴが隠されてしまいました。初版キットのパッケージと比較してみてください(ちなみにプラモデルは私のコレクション・笑)。このセナの象徴といえる赤と白のマシンの有名な原画は企画展示室Dでご覧いただけます。
当館の学芸員が企画し、他県の美術館で巡回してきたこの展覧会は、ここで最後の開催となります。ノスタルジーに浸れる作品をぜひ見つけ出してみてください。

県立美術館経営管理課 エアトン・フジタ