今年も暑い夏がやってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
食欲が落ちてしまいがちなこの季節、食卓に涼やかなガラスの器が登場する機会も少なくないのではないでしょうか。
ということで、現在当館で開催している「夏のコレクション展」の中でも、ガラス作家・石井康治さんのガラス作品を特集展示しています。ご来館の皆様に、目をとおして涼しげなひとときを味わっていただければ幸いです。
ところで、こうしたガラスの器は、どのようにして作られているのでしょうか。
溶けたガラスを長い吹き竿の先に巻き取り、吹き竿から息を吹きこんで瞬く間に成形していく・・・こんな光景を一度は目にしたことがあるかもしれません。石井さんのガラス作品も、基本的には同じような工程で制作されています。けれど、彼の作り出す作品は、ガラスの表面に筆で絵を描いているのではないだろうかと見まごうばかりの、ニュアンス溢れる色彩と流れるような模様をその身にまとっているのです。彼の作品を見た人なら誰しも「どうすればガラスがこのように変貌するものだろうか?」と思わずにはいられません。
そこで今回、こうしたリクエストにお応えすべく、石井さんが生前制作をおこなっていた制作工房「石井康治グラススタジオ青森工房」を訪問する見学会 (8月22日 – 25日) を開催することになりました。
では現在、この工房はどんな姿になっているのか、その一端を少しご紹介しますと・・・工房は、石井さんが制作をされていた当時の姿を限りなく留めたまま今も静かに佇んでいます。大小様々の道具や材料が、その制作に必要な場所に置かれたまま次の制作を待っている、そんな雰囲気をもって迎えてくれるのです。こうした道具や材料を用いながら、いかにして、あの華麗な石井作品が生み出されたのか。見学会当日には、実際に石井さんの制作に立ち合われた工房関係者の方々にもお越しいただき、制作の過程や当時の思い出についてお話いただく予定です。
ご遺族のご厚意により今回特別に実現するこの見学会、ぜひお見逃しなく!
なお、見学会のお申込受付は、7月19日 (土) 9:00 – となっております。
○画像左:工房で制作中の石井康治さん
○画像右:工房内に置かれた作品