青森県立美術館では、美術館シアターを活用し、毎月1回程度の定期映画上映会を実施しています。上映する作品は、美術館所蔵の映像資料を中心に、展示と関係がある作品や、日常では観る機会の少ないものなどを取り上げています。
2008年4月の第1回目は、美術館所蔵のライブラリーの中から、フランス映画史に残る傑作として高く評価された伝説の映画監督「ジャン・ヴィゴ」の作品を上映します。
【ジャン・ヴィゴ監督】
生前4本の作品のみを残し、29歳で夭折したフランスの伝説的映画監督。作品はフランス映画史に残る傑作として高く評価され、フランスでは、1951年に、若手監督が制作した実験的な作品に贈られる「ジャン・ヴィゴ賞」が創設された。
2008年4月12日 (土)
『新学期 操行ゼロ』42min モノクロ フランス語 (日本語字幕)
全寮制中学の少年たちはいたずら盛り。
校長や先生たちは規則づくめで抑えつけ、管理しようとする。
規則違反のもっとも重い罰は「操行ゼロ」、日曜日の外出禁止だった。 理解してくれるのは新任の若い先生だけ。自由を奪われた少年たちは学園祭を自分たちの革命で大混乱におとしいれる。
ヴィゴ監督はフランス政府の教育行政を批判したことになり、1年間上映禁止になっていた。
※「操行」とは生活態度のこと。
『アタラント号』82min モノクロ フランス語 (日本語字幕)
河や運河を上り下りする大型はしけ(伝馬船)の若い船長と新妻の物語。
狭い船内の息が詰まる生活態度に嫌気がさした妻は一人であこがれのパリへ行く。戻ってくると船は出たあと。夫は寝室で、妻は安宿のベッドで、たがいに想いをはせる離れ離れのやるせなさ。愛と感情を凝縮した映像表現の極致。
※ヴィゴ監督29歳の遺作。