先日、五所川原市立五所川原小学校の1年生73名が美術館で「大きな絵」を描くプログラムを行いました。美術館と大きな絵といえばシャガールの「アレコ」。子ども達には事前のお出かけ講座で、アレコ第4幕「サンクトペテルブルクの幻想」の白馬だけを見てもらい、白馬の周りにどんなものを描きたいか想像を膨らませておくようにお願いしました。
当日はまずはじめに「アレコ」を鑑賞して、その大きさと色の鮮やかさを体感してもらいます。子ども達の日常からかけ離れた大きさにみなびっくりしていました。特に近くで見るとその大きさがさらに実感できます。もちろん、大きさに加えて、第4幕の全体像を初めて見る子ども達には様々な驚きがあったようで、大部分が自分たちが想像していた風景とはかなり異なっていたようです。
続いてワークショップへ移動していよいよ大きな絵を描きます。白馬から着想を得た題材を各クラス1枚の大きな絵(縦200㎝×横320㎝)に仕上げます。最初は大きな紙のスケールが掴めないようで、画用紙に描くように細かく描いていた子ども達も、刷毛やローラーを使ううちに、次第に大きな身振りで描くようになりました。最後はやや駆け足になりましたが、3クラスとも完成させることができました。今回は、先生が描く題材について事前に指導されていたので、それぞれの絵にはとても楽しくて独創的な物語がありました。一方で、大きな絵を即興で描いた場合はどのような感じになるのか、と興味深く思いました。
最後に、発表会の後、再び「アレコ」を鑑賞しました。改めて見ると「アレコ」には大きな筆致や刷毛のかすれた感じなど、先ほどまでの作業と重なる部分があるのに気づき、子ども達の作品を鑑賞するアプローチが最初よりも広がっているのを感じます。作業を取り入れることで、作品を見る引き出しがひとつ増えたようです。これからも作業と鑑賞を相関させたプログラムを行っていきたいと考えています。五所川原小学校は県教育委員会の研究指定校でした。ユニークなプログラムで楽しかったです。