2007年2月11日 アーティストワークショップ柳谷暁彦「音の言葉」

2007年2月26日

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2007年2月11日 アーティストワークショップ柳谷暁彦「音の言葉」

現在、「国際芸術センター青森」で個展を開催している柳谷暁彦(やなぎや・としひこ)
さんのワークショップ「音の言葉」が2月11日(日)に行なわれ、中学生や主婦の方々など 22名が参加しました。

前半は、柳谷さんのレクチャー。1990年代初頭から現在までに制作された絵画作品17点 をスライドで投射しながら、創作のときの状況や作品に込められた思いなどを熱く語りました。柳谷さんの絵画は、1960年代のロックやブルースから強い刺激を受けて制作されていますが、レクチャーでは、霊感源となった音楽を、実際に柳谷さん自身のギターと、応援で駆けつけてくださったバンド仲間の西さんのドラムによって再現しながら、
どのような音がどのようなイメージになったのか、具体的にお話しがなされました。

後半は、参加者の皆さんが、各自持ってきた音楽にもとづいて制作を行ないました。
「新相馬節」、モーツァルト、ジョン・レノンにMr. Childrenと、参加者の方々がもっ
てきた音楽はヴァラエティーに富んだものでした。音の響きから、あるいは歌詞から、
それぞれがその音楽に対して抱く思いが、水彩絵具や粘土、針金、セロファンなどによ って表現されました。

作品が仕上がったあとは、一人ずつ自作を発表しあいました。同じリズムの繰り返しや 一つの言葉の繰り返しが、形の反復として現れたり、音楽とともに思い出されるさまざ まな出来事や湧き上がる心情が、複雑な色彩として描き出されたり、人間の感性をゆさぶる音楽特有の力が、ユニークな形や色として視覚化されていました。

発表会の中では、一人一人の作品に、柳谷さんからの率直なコメントが述べられました。ある参加者が白い絵具に赤色を重ねている部分を指摘し、「この白に赤を重ねたときの自分の気持ちを大事にしてください」と柳谷さんは語りました。

音楽を聞きながら私たちはいろいろに心を動かされますが、その感情や感激がいったい何によるものなのか、深く考えることは普段ありません。音を形や色にするプロセスを通じて、通常は意識しない感情について考え、そのことから新しいものの見方を発見する。柳谷さんのワークショップはそんなことを意図したものでした。

とても刺激的なワークショップを行なってくれた柳谷さんですが、3月には現在個展を開催中の「国際芸術センター青森」で、新たなワークショップを開催します。
http://www.acac-aomori.jp/

タイトルは「文字の言葉」。音楽に続き、今度は「文字」をテーマに、イメージとの関連を探ります。また新しい発見が待っているはずですので、ぜひ皆様、ふるってご参加ください。