AOMORI GOKAN アートフェス 2024 前期コレクション展

2024年2月10日(土) ━ 6月23日(日)

コレクション展 開催中
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AOMORI GOKAN アートフェス 2024 前期コレクション展

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 前期コレクション展

今回のコレクション展はAOMORI GOKAN アートフェス 2024にて「かさなりとまじわり」と題して行われる県立美術館が行う展示企画の一柱として位置付け開催されるものです。2021-23年度に青森県内各地で展開したアートプロジェクト事業「美術館堆肥化計画」の総合成果を示した展示「美術館堆肥化宣言」を主として、奈良美智や棟方志功の作品をご紹介します。作家のみならず青森の地に生きる人々の、多彩な活動や個性の「かさなりとまじわり」をお楽しみください。

開催概要

会期

2024年2月10日(土)~6月23日(日)

休館日

毎月第2・第4月曜(この日が祝日の場合はその翌日)および2月26-28日、3月18-19日、5月14-15日

会場

地下1階および地下2階展示室F,G

観覧料

(1)[4/12まで] 一般510(410)円、高大生300(240)円、小中学生100(80)円

(2)[4/13から]一般900(700)円、高大生500(400)円、小中学生100(80)円

※4/13以降はAOMORI GOKAN アートフェス 2024との連動にともない料金が変更となります

※( )は20名以上の団体料金および4/13以降AOMORI GOKAN アートフェス 2024 公式ガイドブック特典「スタンプラリー&パスポート」提示割引料金

※ 心身に障がいのある方と付添者1名は無料

展示内容

展示室N,O,P,Q,M,L,J,I,Hほか|コレクション展内特別展示「美術館堆肥化宣言」

展示の詳細はこちら

棟方志功展示室|棟方志功:交友から生まれたコレクション-棟方とコレクター-

当館が所蔵する棟方志功作品は約270作品。それらの当館に収まる以前の所蔵者は個人や団体など様々ですが、今回はその中から棟方と直接交友のあったコレクターの旧蔵品を中心に紹介します。

当館は昨年度、歌人の小林正一が収集していた棟方作品のご寄贈を受け、「小林正一コレクション」として所蔵しています。棟方作品を愛好し収集していた小林は、そこから想を得た歌「志功描く 女の顔はいとあやし 遊女とも見ゆ 菩薩とも見ゆ」が新聞の歌壇欄で第一位を獲得したことをきっかけに1959年頃棟方本人と初対面し、交友を深めるようになります。長野県出身である小林は、1973年には棟方の依頼で信州スケッチ旅行の案内役を務めたこともあります。当館の小林コレクションは、小林が詠んだ歌を棟方が気の向くままに板画化した《山懐頌》をはじめ、直接依頼して描いてもらったという晩年の優れた肉筆画の数々で構成されており、友情で結ばれた作家とコレクターがともに作り上げてきたかけがえのないコレクションとなっています。

安部登樹も棟方の友人であり作品を収集していました。安部は1945年頃に益子の陶芸家濱田庄司、次いで棟方と出会い、しばしば互いの家を行き来する仲になりました。その際に作品をもらって帰る、あるいは寄せられる、ということがあったといい、こうして自然と集まった作品や棟方に制作を依頼した作品によって安部のコレクションが形成されていきました。当館では安部邸の壁面に棟方自ら希望して描いた《鷲栖図》を収蔵しており、今回は棟方志功記念館に寄贈された安部の旧蔵品と併せて展示します。

作家と同時代の友人が収集したコレクションは、それぞれの趣味や人柄、作家との縁を反映し、多彩で意義深いものとなっています。棟方とコレクターとの交友に思いを馳せながらお楽しみください。

棟方志功
大和し美し 矢燕の柵
1936年
木版・紙
※画像転載不可

展示室F,G|奈良美智:Harmlos sein 純粋なるもの

国内外で活躍する青森県出身の美術作家・奈良美智は、孤独に佇む鋭い眼差しの子どもの絵画やどこか哀しげな犬の立体作品で、国や世代を超えて多くの人々の心を捉えてきました。青森県立美術館では、開館前の1998年から奈良の作品を収集し始め、現在、その数は170点を超えます。ここでは当館の収蔵作品と作家からの寄託作品を合わせて展示しています。

タイトル「Harmlos sein」は、小屋の作品《アオモリ・ヒュッテ 2》内に上映されている、奈良が撮った写真のスライドショーのタイトルを引用したもので、「無害なもの」や「無邪気な存在」を意味するドイツ語です。子どもたちの屈託のない笑顔、こちらをまっすぐに見つめる犬の眼差し、川面のきらめき、スライドショーに流れる写真は、生きとし生けるものの中に宿る最も純粋な部分を映し出すようです。

奈良の作品ではしかし、それら「無邪気な存在」が、時に涙をたたえていたり、怒りをむき出しにしたりしています。それは彼らの純粋な部分に何らかの圧力が加わった時、内側から湧き上がる抵抗の力の表れに見えます。奈良の作品世界はいつも、あらゆる存在に備わる「純粋なるもの」とそこから引き出される内発的な力を気づかせてくれます。

通年展示 アレコホール| マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台背景画

青森県立美術館の中心には、縦・横21m、高さ19m、四層吹き抜けの大空間が設けられています。アレコホールと呼ばれるこの大きなホールには、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール(1887-1985)によるバレエ「アレコ」の背景画が展示されています。青森県は1994年に、全4作品から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。 これらの背景画は、帝政ロシア(現ベラルーシ)のユダヤ人の家庭に生まれたシャガールが、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため亡命していたアメリカで「バレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)」の依頼で制作したものです。大画面の中に「色彩の魔術師」と呼ばれるシャガールの本領が遺憾無く発揮された舞台美術の傑作です。 残る第3幕の背景画《ある夏の午後の麦畑》は、アメリカのフィラデルフィア美術館に収蔵され、長らく同館の西側エントランスに展示されていましたが、このたび同館の改修工事に伴い、4年間の長期借用が認められることになりました。青森県立美術館での「アレコ」背景画全4作品の展示は、2006年の開館記念で開催された「シャガール 『アレコ』とアメリカ亡命時代」展以来です。背景画全4作品が揃ったこの貴重な機会に、あらためてシャガールの舞台美術作品の魅力をお楽しみください。

 

★フィラデルフィア美術館所蔵の第3幕は、長期の借用となるため、函館税関からアレコホールを保税展示場とする許可をいただいて展示しています。 アレコホールへのご入場には、コレクション展もしくは企画展の入場チケットが必要です。