2013年1月19日(土)- 3月10日(日)

休館日: 1月28日(月)、2月12日(火)、25日(月)
開館時間: 9:30 - 17:00(入館は16:30まで)
観覧料: 一般500(400)円
高大生300(240)円
小中生100(80)円
※常設展+特別展を両方ご覧いただけます。
※( )内は20名以上の団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
常設展示+特別展示「寺山修司 dialogue ケネス・アンガー」
展覧会チラシ (PDF / 352KB)

展示の見どころ

神話的アンダーグラウンド・カルチャーの旗手として活躍した東西2人のアーティスト、寺山修司とケネス・アンガーの作品をダイアローグ形式で紹介する特別展示「寺山修司 dialogue ケネス・アンガー」を開催。その他、関野凖一郎による多色木版画の傑作に秘められた創作の秘密や、阿部合成の新収蔵作品を紹介する特集展示などもおこないます。

寺山修司「二頭女」スチール
1977年
ケネス・アンガー
Inauguration of the Pleasure Dome - Cameron as the Scarlet Woman, Samson De Brier as the Great Beast ed.1/7
1954年(2002年ニュープリント)
Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE
関野凖一郎 棟方志功像
1968年
関野凖一郎
「陸奥の四季」より青森駅(靑森)
1980年


各展示室紹介


【特別展示】寺山修司 dialogue ケネス・アンガー

展示室P、Q |「寺山修司 dialogue ケネス・アンガー」

本展覧会開催経緯は、三島由紀夫がケネス・アンガーの映画「スコピオ・ライジング」(1964年製作)をニューヨークで観たというエピソードが契機となっている。映画・演劇プロデューサーで日本アートシアター・ギルド(ATG)の主要な映画館「アートシアター新宿」の総支配人葛井欣士郎が新宿に映画館を開館する際、葛井が三島にその映画館の命名を依頼し、映画「スコピオ・ライジング」に因んで「蠍座」と名付けられた。その劇場で寺山修司がケネス・アンガーの映画に出会い影響を少なからず与えられた。
今回の展示では神話的アンダーグラウンド・カルチャーの旗手として活躍した東西2人のアーティスト、寺山修司とケネス・アンガーの作品を通した邂逅を基にダイアローグ形式で彼らの活動を紹介する。ケネス・アンガーの映画短編集「マジック・ランタン・サイクル」に収められている代表的な作品「スコピオ・ライジング」を上映。さらにまた映画のシーンを自ら写真作品化することによって「夢」や「魔術」、「エロス」、「暴力」などで彩られた映像的記憶(イコニック・メモリー)を再構築し、時代のイコンとして提示する。このようにイコン化されたイメージは、デヴィッド・リンチやガス・ヴァン・サントなど現代の映画や美術に大きな影響を及ぼしている。一方、寺山修司は天井桟敷を主宰し、人生そのものがアングラ文化であった。今回は寺山修司の映画作品「審判」と「二頭女—影の映画」の実験映像を上映することによってアンガーの映像や写真作品との対話を試み、今も古びない当時のアンダーグラウンド・カルチャーの時代精神をも浮かび上がらせていく。

関連イベント

寺山修司×ケネス・アンガー映画特集上映会
当館シアターにおいて、寺山修司の実験映画を上映する「寺山修司デー」と、ケネス・アンガーの『マジック・ ランタン・サイクル』を上映する「ケネス・アンガー デー」を開催いたします。

2013年2月9日(土) 寺山修司デー
2013年2月10日(日) ケネス・アンガー デー

定員:各日200名
料金:無料
申込:不要 ※当日直接会場へお越しください。

寺山修司「審判」上映
釘に関する日常的なドラマが進行されるスクリーンに、釘を打とうと観客が近づいてくる事で映像が遮られてゆく。同時にスクリーン自体、だんだんと釘の壁と化してゆく。
観客の行為によって上映のたびに異なる情景をつくる偶然性を内蔵した実験映画「審判」を、みなさんの手により上映します。
2013年3月10日(日) 16:00-
場所:展示室P
申込:不要 ※直接会場にお越しください。
料金:参加費は無料ですが、常設展観覧チケットが必要です。

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[特集展示1]関野凖一郎 版木から解き明かす創作の秘密

関野凖一郎(1914-1988)は、故郷、青森をはじめ日本や世界各地の風景を描き、また身近な人々から著名人までをモデルにした人物像などで、多くの人々に親しまれています。
 青森県立美術館では、関野のアトリエに残されていた版木をはじめとする貴重な資料を多数所蔵しており、2014年の生誕100年に向けて、その創作の全貌を明らかにすべく調査を進めています。
関野の創作の多くを占める版画作品では、繊細さと大胆さを兼ね備えた色遣いと、彫りや摺りの様々な技法を駆使した版画ならではの造形的な効果をいかして画面構成が練り上げられています。
なかでも関野が最もよく手がけた多色摺木版画は、複数の版木と色を用い、十回を超えることも珍しくない摺り重ねを経て作品が完成します。普段、作品を観ているだけでは分からない創作の秘密をご紹介しましょう。


展示室M | 人間を彫る 《棟方志功像》 

《棟方志功像》(1968年)は、敬愛する同郷の先輩画家、「わだばゴッホになる」と青森から世界に飛び出した棟方志功を描いた関野凖一郎の代表作です。
この作品に関して、当館では遺族から寄贈された版木とともに、版木を摺り重ねて作品が出来上がっていく過程を連続して解説した摺り重ね見本と、版木のいくつかを個別に摺った見本を所蔵しています。摺り見本の記述と版木に記されたNo.が一致しないことなどから、実際の制作工程そのままではなく、見本として分かりやすく整理されているのではないかと考えられますが、多色摺の版画が幾度もの摺り重ねによって完成していく様子が一目で実感できる、貴重な資料です。

展示室L |「雪」を描く

雪国に生まれた関野が描く雪景色をご紹介します。
《津軽金木(靑森)》(1976年)は、金木町(現在は五所川原市)にある、太宰治の生家を描いた作品です。白い雪が建物を覆い、「斜陽館」と書かれた入口の文字も半ば埋もれています。雪の部分をよくみると、影以外は色が何も摺られていないことが分かります。あえて色をつけず、和紙の地色をそのまま残すことで、雪深い津軽の冬を表現したのです。

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[特集展示2]阿部合成 新収蔵作品を中心に

阿部合成(1910-1972)は青森市浪岡生まれの画家です。画壇から背をむけ、独自の芸術を追究したその苦悩に満ちた生涯は、針生一郎の評伝のタイトル「修羅の画家」とともによく知られています。
また、阿部は青森中学で作家・太宰治の同級生であり、生涯を通じての親友としても知られ、1965年には太宰の故郷、金木町(現五所川原市)芦野公園の太宰治碑を制作しました。
青森県立美術館では開館前より阿部合成の作品を収集してきましたが、平成23年度に、コレクターの方より戦後の油彩画を中心に75点の作品の寄贈をいただきました。今回はその寄贈作品を中心に、3つのコーナーに分けて戦後の阿部合成の作品を展示します。

展示室J | 死の国から ~シベリア抑留の記憶

阿部合成は1943年、招集され満州に出征、敗戦後1947年まで約1年半の間シベリアに抑留されていました。過酷な収容所での生活は画家の心に大きな傷跡を残します。晩年の阿部の作品には「シベリア抑留者の原風景」とも評される骸骨が頻繁に描かれるようになります。
展示室Jには、『シベリアの想い出』と題された作品の他、こうした骸骨の描かれた作品、そして死者達への鎮魂の祈りを思わせる『マリヤ・声なき人々の群れ』などの作品を展示します。

展示室I | 帰還、そしてメキシコへ

展示室Iには戦後の混乱した生活や心情をうかがわせる『よいどれ』など帰還後の作品、その後1959年から1961年、1963年から64年と2回にわたって滞在したメキシコで、独自のスタイルを開花させた一連の作品を展示します。

展示室H | 晩年 道化とキリスト

展示室Hは、彼が好んで描いたサーカスや道化の主題と、最晩年、病に苦しみながら独自の表現を深めていったキリスト教的な祈りの作品を展示します。「道化」と「キリスト」は親友であった太宰の文学においても重要なテーマですが、阿部の作品にも、太宰とも共通する、人間の深淵を見つめるような絶望、苦悩する他者によせる共感に満ちた眼差しと、深い祈りの心がうかがえます。

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その他常設展示

棟方志功展示室 | 東北への祈り

1937年、東京銀座の鳩居堂で開催された日本民芸館主催「新作実用工芸展・棟方志功第1回新作展」に、棟方志功(1903-1975)は板画《東北経鬼門譜》を出品しました。東北の飢饉の悲惨な有様を詠った佐藤一英の詩「鬼門」に触発され制作したもので、板木120枚からなる大作です。
「わたくしは、東北の生まれですが、東北も一番はじの冬が長く夏が短い、苦難の多い土地に育ちました。そこでは、百姓は苦労して仕事をしても、わずかの収穫しか得られず、夏あたりから寒い風が吹いて、いつも凶作ばかり、豊作という言葉は聞いたことのない土地に生まれました。(中略)こういう宿命は自分ひとりのものでなく、土地のうけた宿命です。これを一つ仏の力をかりて幸あらしめる念願を仕事の上にあらわそうと思いました。」(棟方志功『板画の道』1956年)
青森で生まれ育った棟方は、画家を目指して上京した後も故郷を忘れることはなく、後年、随筆や自伝の中で子供の頃の思い出を綴っています。自然豊かな青森の風景や、色とりどりの凧絵やねぶた祭りなどの情景とともに繰り返し記されるのは、貧しかった生活や贅沢をすることなく亡くなった両親の思い出でした。棟方にとって故郷は懐かしく愛しい土地でありながら、どこかせつなく、もの哀しい想いのする土地でした。一英の詩を読んだ棟方は、故郷東北を仏の力で幸福にしたいという祈りの想いをこめ、作品を制作しました。


展示室N | 成田亨 怪獣デザインの美学

成田亨(1929−2002)は、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」という初期ウルトラシリーズのヒーロー、怪獣、宇宙人、メカをデザインし、日本の戦後文化に大きな影響を与えた彫刻家兼特撮美術監督です。美術家としての高い感性によってデザインされたヒーロー、怪獣は、モダンアートの成果をはじめ、文化遺産や自然界に存在する動植物を引用して生み出される形のおもしろさが特徴です。誰もが見覚えのあるモチーフを引用しつつ、そこから「フォルムの意外性」を打ち出していくというその一貫した手法からは成田の揺らぐことのない芸術的信念が読みとれるでしょう。


展示室O | 青木野枝+青森県立むつ養護学校 鉄のワークショップ

彫刻家・青木野枝(1958-)と青森県立むつ養護学校高等部の生徒達13人が3日間にわたるワークショップをおこない、初めての鉄による作品制作に挑みました。
制作の過程を記録した写真とともに、その作品をご紹介します。


展示室F | 奈良美智 インスタレーション

国内外で活躍する青森県出身の美術作家・奈良美智(1959- )は、挑むような目つきの女の子の絵や、ユーモラスでありながらどこか哀しげな犬の立体作品などで、これまで若い世代を中心に、多くの人の心をとらえてきました。
青森県立美術館では、開館前の1998年から、絵画やドローイングなど、奈良美智作品の収集を始めました。現在、160点を超えるそのコレクションの多くは、1988年から2000年まで、奈良が滞在したドイツで制作されたものです。
この展示室では、創作ユニット・grafとのコラボレーションにより、2006年に制作した小屋の作品の一つ、《ニュー・ソウルハウス》を中心に、当館のコレクションや作家からの寄託作品を展示しています。


アレコホール|マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の背景画

青森県は1994年に、20世紀を代表する画家、マルク・シャガール (1887-1985) が制作した全4幕から成るバレエ「アレコ」の舞台背景画中、第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。
ユダヤ人のシャガールは1941年、ナチの迫害から逃れるためにアメリカへ亡命します。バレエ「アレコ」の舞台美術は、画家がこの新大陸の地で手がけた初の大仕事でした。
1942年に初演をむかえたバレエ「アレコ」の振付を担当したのは、ロシア人ダンサーで、バレエ・リュスで活躍したレオニード・マシーン。音楽には、ピョートル・チャイコフスキーによるイ短調ピアノ三重奏曲をオーケストラ用に編曲したものが用いられ、ストーリーはアレクサンドル・プーシキンの叙情詩『ジプシー』を原作としていました。
シャガールは祖国ロシアの文化の粋を結集したこの企画に夢中になり、たくましい想像力と類いまれな色彩感覚によって、魅力あふれる舞台に仕上げたのです。

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