映画上映「脱皮の記念碑」開催しました

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開催中の「あなたの肖像-工藤哲巳回顧展」の関連イベントで、映画上映を行いました
上映した映画は「脱皮の記念碑」というもので、これは、工藤哲巳が1969年に鋸山 (千葉県房総) で岸壁モニュメントを製作した際の記録映画です

記録映画はモニュメント製作の様子が中心ですが、工藤哲巳が行ったハプニングパフォーマンスや、作品なども映っていて、大変興味深いものでした

このモニュメントは私有地にあるため普段は見られないのですが、モニュメントの模型が当館の所蔵品としてあり、今回の展覧会でも展示していますので、ぜひご覧ください!
(写真右側です。 工藤哲巳 「脱皮の記念碑」 1969年)

トークセッション「工藤哲巳と津軽」開催しました

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本日4/27に工藤哲巳展関連イベント トークセッション「工藤哲巳と津軽」を開催しました!
内容をまとめましたのでご覧ください。

トークセッション「工藤哲巳と津軽」
日時:4月27日(日) 13:30−15:00
会場:青森県立美術館B1FワークショップルームA
トーカー:
太田美知(美術家)
飯田高誉(青森県立図書館総括副参事)
司会:
池田亨(青森県立美術館美術企画課長)


少年期と80年代を青森で過ごし、晩年に津軽や縄文をモチーフに取り上げるようになった工藤哲巳ですが、彼と交流のあった青森の作家・太田美知さんをお招きして、担当学芸員とともに、青森が世界的な芸術家・工藤哲巳にどんな影響を与えたのかを考察しました。

トークセッションは、まず、工藤と両親の関係や、工藤が幼少期を過ごした五所川原に伝わる「虫送り」などの風習、津軽塗や「ずぐり」(津軽独特の独楽)など青森の伝統工芸のかたちや色彩が実は工藤の作品に深い影響を与えているのではないか、という当館学芸員の池田の考察からはじまりました。

それをうけて、太田さんは、工藤に自分の作品が「津軽的」と評され気に入られ、よくよくみれば、自分の作品に工藤と同じく津軽塗の色彩が現れていたことや、幼少期の津軽の思い出が作品に深く影響を与えていることをまず話されました。そしてその後、当時、気鋭の評論家であった中原佑介や多木浩二などがBゼミという美術学校に集い前衛的な美術を模索していた70年代の状況や、反芸術の旗手であった田中信太郎氏から工藤を紹介されたこと、工藤に出会う前は得体の知れない怖い人というイメージがあったが実際に会うと僧侶のような人で物腰が柔らかくて寛大だったというような工藤の人柄についてなど当時の時代背景や工藤との交流を、貴重な資料を交えながら、お話ししてくださりました。

その後のディスカッションでは、飯田氏が、草間彌生が種苗農家に生まれたことや横尾忠則がこどものころ空襲で赤く燃えた空をみていたことなどを例に、実は工藤に限らず幼少期の原体験的な記憶が芸術家の制作に大きな影響を与えていることを補説したり、「インポ哲学」は「インド哲学」とかけているのではないか、カゴの中に鼻が入っているのは咽喉とインコをかけているのではないかなど、実は工藤の作品は見かけのシリアスさとは反対にダジャレが含まれていてユーモラスなものが多々見られることを語らったりするなど、工藤哲巳にとっての青森と、工藤哲巳という人物についての理解がさらに深まるトークセッションとなりました。

ダジャレが含まれている作品名が気になる方は、ぜひギャラリートークで学芸員に質問してみてくださいね!

報告(文責):
山本沙織(青森県立美術館広報担当)+高橋洋介(青森県立美術館エデュケーター)

工藤哲巳展 ちょっとお得なプレゼント実施中です!

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プレゼント実施期間:
4月19日(土) - 6月8日(日)

青森県立美術館Facebookページはこちら
https://www.facebook.com/aomori.museum

工藤哲巳展関連イベント シンポジウムを開催しました

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4月12日(土)に工藤哲巳展関連イベントシンポジウム「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造」を開催しました!
シンポジウムの内容をまとめましたのでご覧ください!

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シンポジウム 「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造」
4月12日(土) 13:00−14:30 
会場:青森県立美術館1Fシアター
パネリスト:
上田篤(京都精華大学名誉教授)
島敦彦(国立国際美術館副館長)
飯田高誉(青森県立図書館総括副参事)
司会:池田亨(青森県立美術館美術企画課長)

青森県立美術館での工藤哲巳展初日に開催されたシンポジウム「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造」では、大阪万博「お祭り広場」の設計者であり特異な縄文論で知られる上田篤氏と、工藤哲巳研究の第一人者として知られる島敦彦氏をお迎えし、大胆に想像力を飛躍させ縄文と天皇制と現代日本を直結させた晩年の工藤哲巳の作品群に、パネリストそれぞれが真摯に向き合うことで、その本質とはなにかを再検討しました。

まず基調講演では、上田氏が、環状列石や竪穴式住居、集落の配置、土偶のほとんどが女性の形をしていることなどから、縄文の社会は太陽信仰を中心とした母系社会だったと推測し、それが天皇制に引き継がれたのではないかと問題提起しました。「例えば、『隋書倭国伝』には推古天皇の使者が隋の高祖文帝に『天皇は太陽がでると政務をやめて1日の残りの仕事を太陽に任せている』と伝えたと書かれているし、『日本書紀』に敏達天皇が太陽を祭る部民として日祀部(ひまつりべ)を設置したという記述がある。実際、現在も天皇が旬儀を行ったり正月に四方拝を行ったりしていることなどは、天皇制が太陽信仰と深く関わっていることを示すものであり、縄文の生活の中心にあったであろう『太陽の動きを読む』ことが社会の発達とともに権力者(天皇)の役割となったと考えられるのではないか。」この仮説から上田氏はさらに論を敷衍し、「神武東征」や「戊辰戦争」などの歴史上のさまざまな内乱は天皇のアイデンティティをめぐる争いだとした上で、従軍慰安婦問題もまた天皇の軍隊をめぐる論争であるという点において同根だとするなら、現代のさまざまな問題として縄文や天皇制は存在していると展開しました。

では、このような視点から晩年の工藤の作品をみるなら、「縄文」や「天皇」を題名に冠した作品に用いられるブラックホールというモチーフは、どのような意味を帯びてくるのでしょうか。続いて発表した島氏は、初期の作品にみられる原子物理学への関心が、晩年に宇宙物理学におけるブラックホール現象への関心という形ではからずも回帰していたことや、近年の研究で制作された実際のブラックホールのシミュレーション画像と工藤哲巳の晩年の作品が近似していることに触れながらも、工藤が、欧州の父系社会の価値観を「去勢された男性器」というモチーフを用いることで20年間にわたって攻撃していたにもかかわらず、日本へ帰国した1982年前後から徐々にブラックホールをモチーフに用いるようになった背景を分析しました。
 島氏が、上田氏の発表と作家の発言をもとにしながら「工藤作品におけるブラックホールは、宇宙物理学的な意味だけではなく、女性器や軸のない独楽のイメージに重ねてつくられていることから、欧州型の父系社会の対極にある母系社会の構造を表すための隠喩といえるのではないか」と図像学的な視点から考察すると、上田氏は「あらゆるものを強力な重力場によって中空にむかって巻き込み解体し無力化するブラックホールのように、日本の風土とその文化は、ツングース系、南方系、江南系、漢人系、モンゴル系などの異なる人種や食習慣や宗教観を、倭の空なる存在である天皇を中心とした構造に巻き込み溶融してしまう。このような類推によって工藤の晩年の作品群は日本文化の本質を言い表したのではないか」と人類学的な視点からさらに論を進めました。

両氏の発表を受けたその後の議論では、飯田氏が「母性原理的な天皇制を中心とした日本の構造が回転によって自立する独楽のようなものであるなら、それが倒れるのは、世界大戦や原子力発電所の事故のように自然や他者を征服しようとする父性原理が台頭するときなのではないか」と述べ、母性原理と父性原理の併存という二重原理の問題として議論を展開したのに対して、司会の池田氏は「70年代までに圧倒的につくられた男性器を用いた作品群や、聖母子像を用いた《マザー・コンプレックス・パラダイス》といった作品が、聖母信仰にみられるように表面的には母性的な救いや慈愛を求めながらも実態はそれを父性原理によって抑圧する欧州の社会のゆがみを批判するためのものであったとするならば、80年代に日本に帰国してから制作されたブラックホール型の作品群は逆に、表面的には父系社会でありながら根底において縄文以来の母系社会が存続している日本社会を批評的に表現するためのものだったではないか」と述べ、工藤が一貫して社会構造の批評をテーマとしていたという観点からさらに問題を敷衍するなど、工藤哲巳の核心に迫るさまざまな問題提起がなされ、いくつもの仮説が提出されました。

環境汚染や放射能汚染、遺伝子組換え、文化の衝突など現代社会にまつわる諸問題のさまざまな矛盾をうつしだす工藤の作品には、きっと未来の私たちの姿が凝集されているはずです。世界的にみてもこれだけの規模で回顧展をすることは今後もまずないであろうというくらい空前絶後の工藤哲巳展。国際的に高い評価を受ける工藤哲巳の作品群と、その謎に迫る議論に参加すべく、この機会にぜひご高覧ください。

文責:高橋洋介(青森県立美術館エデュケーター)

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工藤哲巳展オープニングセレモニーを行いました

オープニング オープニング
本日、「あなたの肖像-工藤哲巳回顧展」のオープニングセレモニーを行いました
工藤哲巳氏ご夫人の工藤弘子様をはじめ、たくさんのゲストの方に出席していただき、無事にスタートを切ることができました!
また、報道の方々も多く来てくださり、この展覧会の注目度が高まっているなと感じました

いよいよ、明日から一般公開が始まります!
そして、明日は早速関連イベントのシンポジウムも開催されます
シンポジウム終了後は、参加者を対象に図録や青森県美オリジナルグッズが当たる抽選会も行います

工藤哲巳の作品はちょっと難しそう・・・
という方には、担当学芸員によるギャラリーツアーも用意しております
もちろんガイド料金はかかりません!
観覧料だけで参加できますので、お気軽にお越しください

工藤哲巳展 展示作業がスタートしました

写真1 写真2 写真3
3月30日に東京国立近代美術館での展示を終えて、4月4日の夜に青森県立美術館に作品が到着しました
そして、きのうから展示作業がスタートしています!
担当学芸員が立ち会い、その指示に従って、美術品取扱の専門の業者さんが作品を配置していきます
真ん中の写真はニューヨーク近代美術館所蔵の作品です
海を渡って青森までやってきました

右の写真は展示室Cの様子ですが、真っ白な展示室に蛍光色の工藤哲巳の作品が映えるなぁ、引き立つなぁと感じました

今日は東京国立近代美術館の方もいらっしゃっていたのですが、同じ作品でも展示施設によって見え方が変わってくるとおっしゃっていました
東京・大阪で見た方もぜひ青森県立美術館の工藤哲巳展をご覧になっていただきたいと思います!

シンポジウムのチラシが完成しました

チラシ
工藤哲巳展関連企画のシンポジウム「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造」のチラシが完成しました!
今回はシンポジウム終了後、参加者を対象に図録や青森県立美術館オリジナルグッズがあたる抽選も行います!
展覧会のオープニングイベントなので、たくさんの方々に来ていただきたいなと思います。

シンポジウム「縄文の構造=天皇制の構造=現代日本の構造」

大阪万博「お祭り広場」の建築家として知られるだけでなく、前天皇制の研究や特異な縄文論で知られる上田篤氏 (京都精華大学名誉教授) と工藤哲巳展を担当した島篤彦氏 (国立国際美術館学芸課長) をお招きし、「縄文」や「天皇」をテーマに掲げるようになった80年代の〝工藤哲巳〟に迫ります。

日時:4月12日 (土) 13:00-14:30[開場12:30]
会場:青森県立美術館シアター
定員:200名
トーカー:
上田篤(京都精華大学名誉教授)
島篤彦 (国立国際美術館学芸課長)
飯田髙誉(青森県立図書館近代文学館室長)
モデレーター:池田亨(青森県立美術館美術企画課長)
※申込み不要、入場無料

工藤哲巳展の記者発表を行いました

記者発表
本日11時に県政記者室にて、4月からの企画展「あなたの肖像-工藤哲巳回顧展」の記者発表を行いました。
鷹山館長の挨拶の後に、担当学芸員が企画展の内容や工藤哲巳についてご紹介しました。

<展覧会について>
会期:2014年4月12日 - 6月8日
観覧料:一般1,200(1,000)円、高大生900(700)円、小中生300(200)円
※( )内は20名以上の団体料金

工藤哲巳は五所川原市出身の父を持ち、幼少期を津軽で過ごしました。東京藝大卒業後、パリを中心に活躍、国際的な評価を受けたアーティストです。
大阪の国立国際美術館、東京国立近代美術館との共同企画による本展は、国内の主要美術館や個人が所蔵する作品に加え、ニューヨーク近代美術館など海外の美術館・コレクターの所蔵する作品を集め、日本初公開を含む約200点の作品と記録写真をはじめとする豊富な資料で工藤哲巳の全貌を包括的に紹介する大回顧展です。