小島ポートレート
青森市出身で、戦後の青森の風景を撮り続け、39歳で急逝した写真家・小島一郎の大規模な個展「小島一郎 北を撮る」を当館で開催したのは約一年半前のことです。その写真家・小島一郎が、このたび第26回写真の町東川賞において、飛彈野数右衛門賞を受賞いたしました。
 東川賞は北海道東川町が「写真文化への貢献と育成、東川町民の文化意識の醸成と高揚を目的とし」1985年から行っているものです。審査員には写真界の第一線で活躍する批評家や写真家などの方々が名を連ねています。
 今回小島一郎に与えられた「飛彈野数衛門賞」は、地元東川を被写体に写真を撮り続けて二年前に94歳で亡くなった写真家・飛彈野数衛門を記念して今年から設けられた賞で、「地域に根ざした写真活動をする写真家を顕彰する」ことをねらいとしています。
 審査委員の佐藤時啓氏の選評にはこのように記されています。

「初回である今回は、今後に向けて、賞の位置付けに対する議論から始まった。物故者のノミネートも多かったことから、誰に賞を出すのかという議論もあった。しかしながら審査会では机上に並べられた写真を見つめ、そこから選出することしかできない。今年は多くの議論があったが、『小島一郎写真集成』の写真の美しさと魅力は群を抜いて我々に訴えかけた。氏は青森の出身であり、1964年に39歳で夭折している。時代に翻弄されながらも、故郷青森をみつめ、津軽を中心としながら青森全域においてその風景と習俗を写真美に高めた。しかしながら、この作風は時代の流れの中では必ずしも十分な評価を残さなかった。その僅かな生の間に残された作品の数々の美しさ。2010年に飛彈野賞として顕彰することは必ずや意味があるはずだ。」

 受賞展が東川町文化ギャラリーで7月31日から9月6日まで開催される予定です。
 これを機会に小島一郎の写真の魅力がさらに多くの人に伝えられ、地方で活動する写真家が少しでも増えていくことを願ってやみません。



 
 
 
by 学芸 高橋 |  2010年5月20日 16:52  | 学芸

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