青森県立美術館は、隣の「三内丸山縄文遺跡」の発掘現場から着想を得て、設計されました。発掘現場のトレンチ(壕)のように、地面が幾何学的に切り込まれています。その上から白く塗装された煉瓦の量塊が覆いかぶさっています。上の量塊の下の面も、凹凸を見せています。土の上向きの凹凸と量塊の下向きの凹凸が、まるで並びの悪い歯列かのように、気ままに、隙間を持ちながら噛み合わされています。これがこの建築の基本構成です。
こうしてこの美術館は、古今東西まったく存在したことがなかった展示空間を獲得することになりました。それは、量塊のなかに設けられた真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室隙間と土の床や壁が露出する隙間の「土」の展示室が、対立しながらも共存する強度の高い空間です。そこで展覧会が催され、土の床や壁はその度ごとに部分的に壊され補修されていきます。私は、年を経て、やがてパッチワークのような味が滲み出していくことを期待しています。

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青木淳  Jun Aoki
建築家

1956年生。82年東京大学大学院修士課程修了。91年に青木淳建築計画事務所を設立。個人宅、美術館などの公共建築からブティックまで多方面で活躍。2004年作品集「JUN AOKI COMPLETE WORKS 1 1991-2004」を刊行、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。(撮影:筒井義昭)
www.aokijun.com

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