プレスリリース

「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」展の開催について

2019年8月29日

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「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」展の開催について

青森の大地に根ざしたアートの可能性を探究するシリーズ企画「青森EARTH」。今回のテーマは「農業」。食料生産の営みや社会の礎としての農業をヒントに、人が生きる力を養う術(アート)として芸術を紹介する展覧会「いのち耕す場所」として開催します。
三方を海に囲まれ、奥羽山脈が中央を二分する青森において、人々は厳しくも豊かな自然をひたむきに耕し、様々な技術や農作物を得ることをとおして、今日まで互いの「いのち」をつないできました。本展はそんな青森の農業にまつわる章構成のもと、農業の現場を取材して制作された現代アーティストの新作を中心に、近代の芸術家の作品、青森の子ども達の版画作品、農具や「農の思想家」安藤昌益らの仕事をジャンル横断的に紹介します。
本展において農業と融けあう芸術は、人と自然を等しく活かす術(アート)ともなり、それらを展示する美術館は地域に根ざした「いのち耕す場所」として生まれなおすことになるでしょう。様々な危機に揺れる今日の世界で、本展が地域からアートの可能性を広げるための視座となれば幸いです。

展覧会概要

展覧会名:青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来
会  期:2019年10月5日(土)-12月1日(日)
休 館 日:10月15日(火)、28日(月)、11月11日(月)、25日(月)
開館時間:9:30-17:00 *入館は閉館の30分前まで
観 覧 料:一般1,500円(1,300円)、高大生1,000円(800円)、小中学生無料
※( )内は前売券及び20名以上の団体料金
※障がい者手帳をご提示の方とその付添者1名は無料
※前売券は、ローソンチケット(Lコード:21624)、セブンチケット、ポみっと!チケット、青森県内各プレイガイドで10月4日(金)まで販売

企画HPアドレス

(和文)
http://www.aomori-museum.jp/ja/event/88/

(英文)
http://www.aomori-museum.jp/en/event/88/

展示の見どころ

1 農業とのコラボレーションから見えてくる、現代アートの「いま」

現代アートは今日の社会の中で、その存在感を強めています。しかし同時に「現代アートって何だろう?」という根強い疑問もあります。そんな現代アートに私たちの生や社会を支える農業から迫ることは、アートのより一層深い理解につながり得るのではないでしょうか。複雑化の一途を辿る今日の社会の中で、農業の営みと自身の制作の間で「アメニモマケズ」の宮沢賢治のように思い悩む、国内外の気鋭の現代アーティストの作品をとおして、現代アートの「いま」を見つめる本展。それは自分なりの現代アート観を更新し、社会をよりよく見つめるための視座を得る絶好の機会です。

2 田畑としての美術館

近代から現代に至るまで、様々な美術作品を収集展示してきた美術館。そんな美術館に本展をとおして、美術作品とともに農具、肥料、作物の種子等、様々な農業関係資料が並びます。そうして農業と芸術の限りなく曖昧な境目から、人間が生きるための営みの核を探り提示する。人の生きる力を養う「畑」となった美術館で「つくること」と「生きること」がつながることで、美術館は芸術の可能性という果実を育て、収穫する場として生まれなおすことになるでしょう。

3 人は誰もが芸術家であり、農夫である

20世紀を代表する世界的芸術家ヨーゼフ・ボイスはかつて「人は誰もが芸術家である」と言いました。人間の生の全体性の中に芸術家を位置づけなおすボイスの発言は、本展理解のための重要な補助線の1つです。そしてこうしたボイスともつながる実践を試みた先人たちとして、青森ゆかりの安藤昌益(1703~62)、青森出身の江渡狄嶺(1880~1944)がいます。ともに農業(生業)を見つめなおすことから、自らの哲学体系を築いた郷土の偉才たち。本展では現代アーティストの仕事とともにそうした郷土の「農の思想家たち」を紹介することをとおして、人がこの世界で生きることそのものの可能性を広げることを試みます。

展示構成

※セクションタイトル等は変更の場合がございます。

セクション1 ひと玉のりんごから

アーティストによる青森のりんご栽培取材をもとに、「普遍的な林檎」を育てるアートプロジェクトを紹介します。
紹介アーティスト:雨宮庸介(アーティスト)

セクション2 土と心とを耕しつつ -「農民芸術」いまむかし

東北の詩人・宮沢賢治や青森出身の思想家・江渡狄嶺の農業と芸術を一致させる「農民芸術」的思想をヒントに思索と耕作、制作をつなげ、農業との交わりから生まれる「アート」の過去と未来を考える場をつくります。
紹介アーティスト:江渡狄嶺(青森出身の近代思想家)、ジョン・ラスキン(社会思想家/美術評論家)、ジャン=フランソワ・ミレー(画家)、常田健(画家/農民)、ザ・ユージーン・スタジオ(アーティスト)、岩名泰岳(画家)、青森の農具

セクション3 透きとおる農地で

青森を始めとする世界の農地の現状を取材したアーティストの作品を紹介します。
紹介アーティスト:丹羽良徳(アーティスト)、リ・ビンユアン(アーティスト)

セクション4 「余地」を育む -集まってつくること、耕すことの間で

青森の子どもたちが土地の開拓や農業をテーマに集団で制作した版画作品とともに、他者との協働をテーマにした現代アーティストの作品を紹介。これからの社会を育む「余地」について考察する場をつくります。
紹介アーティスト:田中功起(アーティスト)、青森の教育版画

セクション5 いのちの根、満ちる大地

青森ゆかりの思想家・医師の安藤昌益の米にまつわる思索をヒントに、人間と自然との新しい関係の結び方を模索し、それらをもとに芸術の未来を考える場をつくります。
紹介アーティスト:安藤昌益(青森ゆかりの近世思想家/医師)、オル太(アーティストコレクティブ)、久保寛子(アーティスト)、塚本悦雄(彫刻家)、浅野友理子(画家)、大小島真木(画家)+アグロス・アートプロジェクト、三原聡一郎(アーティスト)

関連イベント

会期中、参加アーティストによるパフォーマンスや連続勉強会、担当学芸員によるギャラリートーク等を予定しています。
展覧会情報とあわせて、詳細はプレスリリースや美術館ウェブページをご覧ください。