展覧会

アレコ特別鑑賞プログラムと「シャガール 三次元の世界展」

2018年4月16日

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アレコ特別鑑賞プログラムと「シャガール 三次元の世界展」

シャガールの「アレコ」背景画は1942年、プーシキン原作によるバレエ「アレコ」のための舞台背景画として描かれた作品です。
縦約8.5m、横約15mという巨大な画面に描かれたこの作品は、各幕で描き分けられた、シャガールならではの鮮やかな色彩と、空を飛ぶ恋人達や鶏や熊、宙をかける白馬といったシャガール独自のモティーフによって、広大なアレコホールの壁面を飾る4点シリーズの絵画として鑑賞しても、圧倒的な迫力を感じさせる作品となっています。
 しかしながら、「アレコ」には、バレエという総合的な舞台芸術の一部というもうひとつの側面があります。今回実施しているアレコ特別鑑賞プログラムは、1942年の初演時に観衆に圧倒的な感銘を与えたというその舞台美術としての魅力を伝える試みです。「アレコ」背景画に舞台用の照明をあて、音楽とともにドラマティックに演出を加えながら、作品制作の背景、ストーリー、バレエについてなどを紹介するナレーションとともにご覧いただく約15分のプログラムは、「アレコ」全4点がそろっている今だからこそ実現した企画として、「アレコ」の、これまで見ることのできなかった魅力を引き出してくれます。
 特に、照明の効果は驚くほどです。第一幕の神秘的な青の中に鮮やかに浮かび上がる真白い月や、第3幕の不吉なまでに赤々と燃えさかる二つの太陽、そして第4幕、悲劇の後に、救済を暗示するかのように天に輝くシャンデリアといったモティーフは、照明によってより力強い説得力をもって迫ってきます。
 企画展「シャガール 三次元の世界展」の最後の部屋では、シャガールが絵画平面を超えて、三次元の世界に展開した取り組みとしての舞台美術という視点から、バレエ「アレコ」の上演当時の記録映像を上映しています。この企画展からは空を飛ぶ恋人達や動物たちといった「アレコ」へとつながるモティーフの変遷もたどることができます。
 「シャガール 三次元の世界展」「アレコ特別鑑賞プログラム」、ともに5月6日(日)まで。この機会に、ぜひともお見逃しなく。