アート ハイ&ロー

工藤健志(学芸員)

先日、「静岡ホビーショー」へ行ってきました。模型メーカーの新製品を発表する見本市として年2回(春に静岡、秋に東京)開かれるイベントですが、お目当ては毎年静岡会場のみで同時開催される「モデラーズクラブ合同作品展」。一昨年の「キッズ・アートワールドあおもり」に参加してもらった八戸市在住のジオラマビルダー・島脇秀樹さんが会長をつとめる模型サークル「ロックウェーブ」の設立10周年記念展も行われると聞けば、行かない訳にはいかないでしょう。

で、会場となるツインメッセ静岡に入るやいなやの人人人・・・。国内最大規模の模型展示会として全国から集まったサークルの数109。1サークルが仮に10点並べていたとしても1,000点をゆうに超える出品作。人いきれと膨大な作品の数で、とてもじゃないけど、すべて見て回るのは不可能。台湾、韓国、香港といったアジア地域からの参加もあったそうだけど、残念ながらチェックし損ねてしまい、う〜む・・・。それでも、いろんなことを会場では考えさせられました。

基本的にはアンデパンダン形式(無審査制)をとるこの合同展、もちろん完成度にばらつきはあるけれど、作品を多くの人に見てもらいたいという出品者の想いと、テクニックであれ、表現性であれ純粋に感動できる作品を求めて真剣に会場をまわる観客の想いが調和した心地よい空間となっていたことにまずびっくり。美術館という器が作家の「ハクをつける」ために利用されたり、我々学芸員も、作品を少しでも良く見せるため、レイアウトや照明を含めて空間そのものを演出することで、ホワイトキューブに依存しなければ成立しない脆弱な作品を多数生み出しているのではないかという反省。訳知り顔の専門家が見れば「展示」としては最悪に写るんだろうな、などと思いつつ、一方で、作品そのものの力を信じた人々が展示を行い、その力を信じる人々が鑑賞していくという、私の理想とする展覧会の姿がそこにはありました。美術館の展示のように「作品→観客」という一方通行的なものではなく、作家と観客の緊密な交流や、さらには作家と観客の立場がいつでも軽やかに入れ替わり、相互に影響を与えあう関係。「アート」という枠組みが与えられていない分、逆に気負うこともなく、作品を核としたコミュニケーションが自然なかたちで成立しているのでしょう。

ここに「アート」の功罪を語るスペースはないけど、少なくとも美的な感動は「アート」と称されるものによってのみもたらされるのではないし、何かを見聞きして感動したとしても、それは、その対象から美や感動を引き出すことのできる感性を持った主体が素晴らしいからなのだと私は思っています。教科書や世間が作り上げる規範や流行なんて・・・。歴史は一部の特権階級が作るものかも知れませんが、「文化」、そして「未来」はすべての人間の生活の中から生まれるものだから。

青森の美術館でも単なる権威づけの機関を超えた活動をしていきたいなあ、とつらつら考えながら、静岡を後にしました。

でも何か忘れてる・・・・・・・・あっ、安倍川餅を買い忘れたぞ!


学芸員エッセイ