アートとこどもの関係−キッズ・アートワールド2001あおもり報告

市場最大の大作戦

立木祥一郎(学芸員)

去年7月、〈キッズ・アートワールド あおもり2001〉が開催された。2000年に引き続き青森市街を舞台にアーティストとこどもたちが繰り広げるアートプロジェクトだ。今回のテーマは「市場最大の作戦」。かつて、水野晴郎が名づけたハリウッド映画の日本語タイトルをもじったわけだが、こどもたちはわかったかな?それはともかく、青森の街の象徴ともいえる青森駅前に広がる「市場」を起点に青森県庁、県立郷土館というランドマークを結ぶ1キロちょっとのエリアを中心に、現代美術や映画、写真など多様なアーティストが、作品展示やワークショップを行い、こどもたちと活気ある市場みたいに交流しようというアート作戦である。
企画前にヤノベケンジさんと話していてとても印象に残っていたことがある。「ある時、突然へんなものが、街の中に現れて、また、ある日、消えている。それに出会ったこどもたちが、大人になって、あれは夢だったのか、現実だったのかと、ふと思い返すような、そんなことができればいい。」それでヤノベさんは大胆にも県庁前の公園に5トンもある魚型シェルター「ブンカーブンカー」を置き「サバイバル・システム・トレイン」を走らせてカフェを開いた。毎日、学校帰りの一団がやってきて「ケンジさん」を取り囲む。アーティストはすっかりなつかれていた。駅前の元「市場」の空き地に木のリンゴ箱2000箱を並べて、直径20メートルほどもある円形劇場のような構造を作って基地づくりワークショップ「りんご箱のコロシアム」を行ったPHスタジオ。最初、一日だけの予定で参加した男の子は、その後友達を引き連れ毎日のようにワークショップに参加した。学校帰り、まっさきに基地に駆け付け、猛烈な勢いで基地づくり。企画が終了してアーティストも帰り、夕方、駅前空き地の片づけをしているといつものあの子が飛んできた。リンゴ箱もすべて片づき、もとのまっさらな空き地。「もう、なくなっちゃたんだ。」泣きそうなのを堪えている男の子を見ていたら、こっちがなんだか泣けてきた。

キッズ・アートワールド あおもり2001
会 期: 2001年7月13日(金)〜7月24日(火)
会 場: 青森駅前広場、青森新町商店街、柳町商店街、青森県立郷土館、三内丸山遺跡等
参加アーティスト:
北島敬三(写真家)
佐藤真(映画監督)
中野渡尉隆(美術家)
PHスタジオ(美術・建築家)
ヤノベケンジ(美術家)
島脇秀樹(立体造形家)[展示参加]
首藤晃(美術家)[展示参加]



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