キッズ・アート・ワールドあおもり2000−終わる世紀とはじまる未来−

いつもの年よりちょっとだけ暑かった2000年の夏に開催された「キッズ・アート・ワールドあおもり2000」。青森県立郷土館、青森新町商店街、柳町商店街、三内丸山遺跡を会場に、8月12日から27日までの3週間、子どもたちをはじめ多くの人たちが街に展示された作品を見学し、そして参加したアーティストと楽しく交流していました。

青森県の目指す美術館は、作品の収蔵・展示といった基本的な機能に加え、芸術作品の創作や発表の場を整備するとともに、アーティストと県民、そして県民相互の交流を積極的に推進していく活動を行っていく予定です。
この「キッズ・アート・ワールドあおもり2000」も、こうした新世紀にふさわしい新しい機能をもった美術館のパイロット事業として開催したものです。21世紀を担う子どもたちを対象に、様々な美術作品を鑑賞し、その体験をもとにアーティストや親、地域住民と共同で作品を制作していくというプロジェクトで、様々な体験活動をとおして、子どもたちの創造力や感性を育むことを目的としました。
参加アーティストは、秋山祐徳太子、飯島永美、岡本光博、佐藤ヒロ、島脇秀樹、奈良美智、成田亨の7名。作品の展示とともに、佐藤ヒロをのぞく6名が青森にやってきて、ワークショップや共同制作会、シンポジウムやスライドレクチャーを青森市内各地で行いました。
展示では、日常の生活や文化にモチーフを得た作品や他の様々な現代文化とのつながりを持つ作品など、親しみを持ちやすい美術を紹介。既製品の人形を善知鳥神社の池に浮かべた「ドザえもん」という作品や、商店街のいろんな場所にあらわれるお坊さんの彫刻、郷土館にはウルトラ怪獣のデザイン原画、またある店には商品の中にイラストがまぎれているなど、ふだんあまり美術として意識されないものを展示することで美術のもつ可能性の広さと、何よりも「美術はこうあるべき」という既成概念を越えて「表現することの楽しさ」を伝えてみました。さらに、公共空間に美術作品を展示することで、魅力ある街づくりについて考えていただくことも狙いの一つとしました。
交流事業でも、上手に絵を描いたり、立体を作ったりするというよりも、子どもたちの自由な発想を大切にして、いっしょうけんめい考えたり、体を動かすことでも「表現」は可能であることを紹介しました。また、失われつつある性別、年齢、職業、地域をこえたコミュニケーションを美術によって再構築していこうという意図も交流事業には込めています。
グリコのマークになって三内丸山遺跡を駆け巡ったり、自分だけのかっこいい怪獣を考えたり、さらにはお店に取材して出来上がったちらしを本物の新聞に折り込み、それを見た人たちとお店で交流するといった大掛かりなワークショップも行いましたが、アーティストと触れあい、日頃接することのない人たちと交流できた子どもたちの顔はとてもいきいきしていました。
各事業に参加した子どもたちから寄せられた意見も「楽しかった!」、「おもしろかった!」、「またやってみたい!」というものがほとんどで、参加者数も郷土館の展示と各種交流事業あわせて4,580名にのぼるなど、初年度の取り組みとしては一定の成果をおさめることができました。
このプロジェクトは、参加アーティストや、プログラムを変えて、来年度以降も開催する予定です。もっと楽しい、もっとおもしろい、そしてもっと魅力的なプロジェクトを今回の成果をふまえて、企画していきます。ご期待ください。




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