八角堂のレモン

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開催中の美術館南側にぎわい創出プロジェクト「the south side プロジェクト」についてお話しするシリーズ。3回目で最終の今日は、現在、八角堂の上に設置しているシンボルオブジェについてです。

美術館南側(八角堂側)のスペースの魅力を、より多くの人に知ってもらうこと、それは今春開催を予定されていながら東日本大震災の影響で中止になった「青木淳×杉戸洋 はっぱとはらっぱ」展の中心的なねらいのひとつでした。この展覧会では、青森県立美術館を設計した建築家・青木淳さんと、現代アートシーンで活躍する画家・杉戸洋さんとが、美術館内だけでなく敷地全体を使って、展示を構成することが計画されていました。その中で、八角堂にのせることを想定して二人が制作したのが、この巨大なレモンのバルーンでした。

「はっぱとはらっぱ」展では、このバルーン以外にも八角堂の背後の草原に三角屋根の小屋を建てたり、赤レンガの倉庫の上に炎型のオブジェをとりつけたり、美術館の敷地をキャンバスにみたて、視覚的なアクセントをつけながら、周囲の環境にとけこんだ美術館のあらたな風景に目を向けてもらうことが意図されていました。

上のレモンのある風景の写真は、杉戸洋さんが撮影してくれたものです。レモンのある風景をセザンヌの静物画になぞらえて語っていた杉戸さん。八角堂のレンガの赤、空の青、美術館の壁の白、林や草原の緑と色彩的バランスをとるレモンの黄の効果や、草原の斜面や美術館の建物のラインの中でレモンの有機的な形がもつ造形的な役割がうかびあがってきます。

自然の中に幾何学的な形態を見出し、キャンバス上の色彩の響き合いに注意をはらったセザンヌ。開催中の印象派展にはセザンヌの風景画が展示されています。レモンのある風景とセザンヌの風景画、どちらにも自然の中に造形美を探究する画家の思いが反映されています。

「the south side プロジェクト」も残り三日となりました。最終日にはレモンのある八角堂周辺の秋の夕暮れを楽しんでいただく、吹奏楽の演奏会や奈良美智ショートスライドショウなどのクロージングイベントも企画されておりますので、ぜひご来場ください。
by 学芸 高橋 | 2011年10月7日 21:21 | 学芸 | トラックバック (0)

もぎ店「津軽の味・喫茶部 レモン」

津軽の味・食堂部 もぎ店内 店内かざり
開催中の美術館南側にぎわい創出プロジェクト「the south side プロジェクト」についてお話しするシリーズ。2回目の今日は、現在、地下1階で開いているもぎ店「津軽の味・喫茶部 レモン」についてです。

青森県立美術館の敷地に隣接する青森県総合運動公園の入口に一軒の食堂がありました。名前は「津軽の味・食堂部」。戦後まもない時期に青森市新町で創業し、60年以上にわたり営業を続けてきた食堂です。新町から現在の場所に店舗が移転したのは、昭和38年。運動公園の建設工事が始まったのとほぼ同じ時期でした。

運動公園の歴史とともにあゆんできたとも言えるこの食堂ですが、今年6月末に店主・工藤嘉巳(よしみ)さんが急逝したことで、閉店を余儀なくされました。

競技で運動公園にやってくるスポーツマンたちはもちろん、タクシーの運転手さんから、近所の子供たちまで、広く地域の人々に愛されたこの食堂。青森市民の中には、青春時代、運動公園での試合に勝った喜びや負けた悔しさとともに、ここですすったラーメンの味をおぼえている人もきっといることでしょう。

長年営業を続けるこの店には、少年時代に通いつめていた子が、大人になって自分の子どもを連れて訪れることもたまにありました。店主の工藤さんは、そんな再会を何よりも喜びとしていました。

5年前に青森県立美術館が開館してからは、食堂は熱心な美術館のサポーターとなってくれました。展覧会のチラシをラミネート加工した上で、一台一台のテーブルの上に置いてくれたり、美術館への進路の案内看板を出してくれたり、平成21年に企画展「ラブラブショー」を開催したときは、「ラブラブラーメン」という特別メニューまで開発してくれたのです。

今年3月に起こった東日本大震災を通じて、コミュニティの絆の大切さを思い知らされる昨今、「津軽の味・食堂部」の地域に根ざした営み、そしてそれを可能にしていたお店のたたずまいに、あらためて目をむけてみたいと考えました。

店主と二人三脚で店をきりもりしてきたパートナー・栄子さんのご協力を得て、食堂内にあった一部の装飾品をお借りして「レモン」店内を飾りつけました。また目玉メニューの「“あおもり犬”ホットドッグ」は、店主の工藤さんがアイデアを抱き続けていたものでした。

「津軽の味・食堂部」が私たちにくれたあたたかい時間を、ここで少しでも再現できたら、と思っています。

*もぎ店の営業は10/10までの土、日、祝日となっております。残すところあと4日となりましたので、ぜひご都合つきましたら、ご来店くださいませ。
by 学芸 高橋 | 2011年10月1日 15:47 | 学芸 | トラックバック (0)

「ミナ ペルホネンと青森県立美術館の制服」

制服展示1 制服展示2 制服展示3
現在当館では美術館の南側の施設のにぎわい創出をねらいとしたthe south side プロジェクトを実施中です。今日から3回にわけて、このプロジェクトのことをお話ししていきたいと思います。
 1回目の今日は、ワークショップ前の廊下にある「ミナ ペルホネンと青森県立美術館の制服」の展示コーナーについてです。
 青森県立美術館がファッションブランド、ミナ ペルホネンのデザイナー・皆川明さんにフロアスタッフの制服を依頼したのは2009年のことです。初めて「制服」というジャンルに挑戦してくれた皆川さんは、かたいイメージのある制服の印象を刷新するようなデザインを考えてくれました。
 美術館のサインや建物の魅力を深く理解する皆川さん。サインマークから少しグレーがかった水色を、館内の土の空間からブラウンを取り出し、ファブリックのカラーとしました。また刺繍には、「ミナ ペルホネン」の初期の代表的な柄である「タンバリン」を使って「ミナ」らしさを出しています。そうしてできた生地を贅沢に用いて、あたたかで、ゆったりとして品格あるデザインに仕立てました。
 そのどこか保母さんの上っ張りを思わせる親しみやすさとやわらかさは、これまでの「制服」の概念を大きく変えるものでした。
 来館者の方々から、そして着用するスタッフから愛されて、今年で三年目をむかえるこの制服ですが、使われ続けることで、少しずつ生地にほつれが出てきました。
 その修繕について皆川さんにご相談したところ、大胆なリメイクプロジェクトを提案してくれました。その手法は「パッチワーク」。
 皆川さんはこのプロジェクトについて、こんな言葉を寄せています。

「日本人は昔から衣類は何度も直して着続けてきました。東北地方ではその中でこぎん刺しなどの刺し子の美しい文化も生まれ育んでこられました。物を大切に長く着続けることで一着一着の個性が生まれる、そのような日本の習慣に見習って今回の制服リメイクプロジェクトは生まれました。」

 皆川さんがこれまでに創りだしたさまざまなファブリックの端切れが、新たな生命を得て、美術館の制服に息づこうとしています。そしてそれはそのまま美術館の個性を形作る大事なものとなっていきます。
 「パッチワーク」の制服は、10月下旬の今和次郎展からスタッフが着用いたします。
by 学芸 高橋 | 2011年9月24日 14:21 | 学芸 | トラックバック (0)

10月10日、奈良美智ショートスライドショウ開催決定!!

「光を描く 印象派展」の最終日で、「the south side プロジェクト」の最終日でもある10月10日、クロージングイベントとして、奈良美智さんのショートスライドショウの開催が決定いたしました。このスライドショウは、東日本大震災による被災地の支援プロジェクト、kizunaworld.orgのために奈良さんが制作したものです。10月11日からのインターネット上での配信に先立ち、青森県立美術館で特別先行上映いたします。

・日時: 2011年10月10日(月・祝)  17:15-17:30
[所要時間3分50秒の同じスライドショウを上記の時間帯で、3回繰り返して上演いたします。]
・上演作品: 奈良美智「studio days」(3分50秒)
 *作家ご本人は来場いたしません
・観覧料: 無料
・場所: 青森県立美術館屋外スペース(奈良美智作八角堂周辺)

上映会当日、大好評の「“あおもり犬”ホットドッグ」を味わえるもぎ店「津軽の味・喫茶部 レモン」は時間を延長して営業いたします。

奈良美智さんの八角堂前の白い壁面を利用した巨大なスクリーンでお楽しみにいただくスライドショウ、ぜひご来場ください。
by 学芸 高橋 | 2011年9月23日 16:16 | 学芸 | トラックバック (0)

NHK日曜美術館で「孤高のフィルム 写真家・小島一郎の津軽」放送決定!!

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2009年に当館で回顧展を開催してから、静かなブームとなりつつある青森県出身の写真家・小島一郎がNHK「日曜美術館」に登場します。

3/6(日) 午前9:00-10:00 NHK「日曜美術館」: 「孤高のフィルム 写真家・小島一郎の津軽」
3/13(日) 午後8:00-9:00 [再放送]

本日(2/23)発売の「NHKウィークリーステラ」でも特集が組まれています。

現在開催されている当館の「冬のコレクション」では40点の写真を展示しております。3/21まで開催されていますので、オリジナルプリントの迫力をぜひ味わってみてください。
by 学芸 高橋 | 2011年2月23日 19:01 | 学芸 | トラックバック (0)

4月からの青木淳×杉戸洋展、タイトルは「はっぱとはらっぱ」!!!

青木淳×杉戸洋展実行委員会
昨日開催された実行委員会で、今年春に実施される青木淳×杉戸洋展(仮題)の正式名称が決まりました。

青木淳×杉戸洋
はっぱとはらっぱ

期間は4/23-6/12です。
詳しくは特設ページをごらんください。
みなさまどうぞお楽しみに!
by 学芸 高橋 | 2011年1月21日 13:19 | 学芸 | トラックバック (0)

夏のコレクション展 オープンしました!

夏コレ
本日6月30日から「夏のコレクション展」がスタートしました。
「×Aプロジェクト:上田信のイラスト世界」、「澤田教一 安全への逃避」、「成田亨 怪獣デザインの美学」、「棟方志功 躍動する神仏」が春コレから大きく展示替え。
通年開催の「奈良美智インスタレーション」と「寺山修司幻想写真館」も一部展示をリニューアル!
「マルク・シャガールによるバレエ『アレコ』の背景画」はもちろんのこと、「没後20年 工藤哲巳 前衛芸術家の魂」も春コレに引き続き公開中です。
青森の生んだユニークな表現の数々をお楽しみください。

さらに!7月10日からの企画展「ロボットと美術」展にあわせて「こども美術館デー」もスタート!
なんと小中学生は全館無料となります。
さあ、夏休みの思い出作りに、青森県美へレッツゴー!!
by 学芸 工藤 | 2010年6月30日 20:19 | 学芸 | トラックバック (0)

小島一郎が東川賞受賞!!

小島ポートレート
青森市出身で、戦後の青森の風景を撮り続け、39歳で急逝した写真家・小島一郎の大規模な個展「小島一郎 北を撮る」を当館で開催したのは約一年半前のことです。その写真家・小島一郎が、このたび第26回写真の町東川賞において、飛彈野数右衛門賞を受賞いたしました。
 東川賞は北海道東川町が「写真文化への貢献と育成、東川町民の文化意識の醸成と高揚を目的とし」1985年から行っているものです。審査員には写真界の第一線で活躍する批評家や写真家などの方々が名を連ねています。
 今回小島一郎に与えられた「飛彈野数衛門賞」は、地元東川を被写体に写真を撮り続けて二年前に94歳で亡くなった写真家・飛彈野数衛門を記念して今年から設けられた賞で、「地域に根ざした写真活動をする写真家を顕彰する」ことをねらいとしています。
 審査委員の佐藤時啓氏の選評にはこのように記されています。

「初回である今回は、今後に向けて、賞の位置付けに対する議論から始まった。物故者のノミネートも多かったことから、誰に賞を出すのかという議論もあった。しかしながら審査会では机上に並べられた写真を見つめ、そこから選出することしかできない。今年は多くの議論があったが、『小島一郎写真集成』の写真の美しさと魅力は群を抜いて我々に訴えかけた。氏は青森の出身であり、1964年に39歳で夭折している。時代に翻弄されながらも、故郷青森をみつめ、津軽を中心としながら青森全域においてその風景と習俗を写真美に高めた。しかしながら、この作風は時代の流れの中では必ずしも十分な評価を残さなかった。その僅かな生の間に残された作品の数々の美しさ。2010年に飛彈野賞として顕彰することは必ずや意味があるはずだ。」

 受賞展が東川町文化ギャラリーで7月31日から9月6日まで開催される予定です。
 これを機会に小島一郎の写真の魅力がさらに多くの人に伝えられ、地方で活動する写真家が少しでも増えていくことを願ってやみません。



 
 
 
by 学芸 高橋 | 2010年5月20日 16:52 | 学芸 | トラックバック (0)

川上麻衣子さんと秋のコレクション展!?

秋コレ 川上さん 川上さん
大盛況だった馬場のぼる展、太宰治展がおわって、美術館は展示替えのための臨休館中なのですが、、、美術館のなかでは次の展覧会の準備が着々と進められ、毎日どたばたしております。普段みなさんにお見せする静かでゆったりとした空間からは想像がつかないようなどたばたぶりで展示替えしていると、たまにとても不思議な気持ちになるものです。。。

さてさて、今回の秋のコレクション展も、ピカソの「女の頭部、横顔」初公開や、バイエープロジェクトNO.8など、みどころ満載です!!ぜひぜひみなさま、秋のゆったりとした時間を美術館でお過ごし下さい。そうそう、人気ガラス作家石井康治氏の作品も展示されます!写真は、先日、パフォーミングアーツ部門の県民参加型演劇「津軽」にご出演いただいた川上麻衣子さんと、石井康治氏の作品。川上さんが石井康治氏のアトリエを訪れたときのものです!!カフェでの石井康治氏のお皿を使用したデザート企画も、しばらく続きますので、ぜひぜひ、この機会にお手にとってご覧になってみてはいかがでしょうか。展示ケースの中に入っているのとはまた違った魅力を感じられますよ。

ではでは明日も展示作業がんばりま〜す!!!

秋のコレクション展
2009年9月11日(金) - 12月25日(金)

by スタッフ | 2009年9月9日 20:25 | 学芸 | トラックバック (2)

太宰治展、馬場のぼる展閉幕。。。

太宰 馬場
太宰治展、馬場のぼる展は本日をもって閉幕となりました。
多くのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。太宰治、馬場のぼるという一見全く異なるキャラクターの作家に焦点をあてた展覧会が同時に開催されていたわけですが、巧みな人間心理の描写や、ストーリーの随所に散りばめられる絶妙なユーモア表現など、じつは共通する部分も少なくないのでは・・・などとスタッフの間で取り沙汰される今日この頃。
展覧会は終わりましたが、馬場のぼるの絵本、太宰治の小説はいつでも皆様の座右にあると思います。今回の展覧会が、ご覧いただいた皆様の今年の夏の楽しい思い出となっていただけたのなら幸いです。ニャゴニャゴニャゴ。元気で行こう、では、失敬。
by スタッフ | 2009年9月6日 17:47 | 学芸 | トラックバック (1)